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獣医師
松本 千聖
猫が下痢をした時に考えられることは?

猫の正常な便とはどのような状態?

食べているものや体格、年齢などによる違いはありますが、正常な便とは基本的に以下のような便が該当するといわれています。

・大きさ:人差し指程度の長さと太さ
・色:濃い目の焦げ茶色や黄土色
・臭い:便独特の臭いは少しあるが、換気を必要としない
・硬さ:コロッとしていて指で押すと少しへこむくらい

猫の下痢とはどのような状態?

こちらも正常な便と同じように食べているものや体格、年齢による違いはありますが以下のような便が見られたら要注意です。

・軟便:長さと太さは正常だが指で押すと簡単につぶれてしまう、トイレスコップに付着するなどの場合
・水様便:形がなく泥や液体のようであり、トイレスコップで便だけを取り除くことができないなどの場合
・粘液便:便にゼリー状の透明な粘液のようなものがついている場合
・黒色便:真っ黒で口内や食道、胃などの上部消化管からの出血が疑われる。別名「メレナ」や、「タール便」と呼ばれることもある
・鮮血便:赤い血が混ざっており、大腸や肛門などの出血が疑われる。

異常な便の時は正常な便と比べて部屋全体が臭く換気が必要であったり、猫がお尻についた便を取ろうとして床にお尻をこすりつけることで便がトイレ周囲の床にたれていたりといった特徴が見られることもあります。

猫が下痢をしたときに考えられる原因

「下痢」という症状は多くの疾患に伴って見られるため、原因を突き止めるためには問診並びに検便だけではなく場合によっては血液検査やエコー、レントゲン、さらには全身麻酔下での内視鏡検査などが必要となることもあります。

また、人間と同様に病気以外の原因でも下痢が引き起こされることもあるため注意が必要です。

下痢という症状で動物病院に通院した場合、一般的に獣医師は以下の原因を頭に思い浮かべて診察を行います。

・病気:猫が下痢をしたときに最も頻繁に行われる検査は「検便」といって顕微鏡で便の状態を確認する方法となります。検便によって寄生虫が見つかった場合は寄生虫感染による可能性が高いため、まずは駆虫薬の投与による治療が第一選択肢として行われます。

検便で異常が見られなければ、血液検査や画像検査などの様々な検査を必要に応じて行い、便以外にも何か問題が起きていないかを確認していくことが多いでしょう。

・食事の急激な変化:急に今までのフードから新しいフードに切り替えてしまうことで消化機能が上手く働かずに下痢をしてしまうことがあります。

基本的にフードの変更は急に行うのではなく数日間~1週間ほどかけて徐々に新しいフードの割合を増やしていくようにしましょう。

・ストレス:個体差もありますが猫は犬と比べて繊細な傾向にあり、来客や騒音、模様替えなどの環境の変化をストレスと感じて、下痢をしてしまう場合もあります。

もし愛猫が下痢をする前にこれらのストレス源となりうることがあったならば、今後は可能な限り控えることをおすすめします。

冷え:猫は私たち人間と比べて体が小さく足元の位置にいることがほとんどであるため、猫が感じている室温は私たちが感じている室温とは異なると考える必要があります。

夏は冷房の冷たい空気が、冬は床からの冷気が猫に当たることが多く、その「冷え」によって下痢を起こしてしまう場合があるため、可能ならば猫がよくいる場所で猫の目線に近い位置に温度計を設置して温度管理を適切に行なってあげるようにしましょう。

猫が下痢をした時の対処法

猫が急に下痢をした場合は猫とともに可能な限り下痢便をビニール袋などに入れて動物病院へ持っていき、診察を受けることがベストとなります。

ただ、飼い主さんの状況や時間帯などによってはこれらの対応を取ることが難しい場合もあるでしょう。

よって、最後に状況別の猫が下痢をした時の対処法について解説していきます。ただ、あくまでも参考として、必要と感じたならばすぐに動物病院へ通院してください。

子猫や老猫の場合:下痢をしているということは水分が下痢便として体内から失われているとともに必要な栄養が摂取できていない状態であるともいえます。

体力がない子猫や老猫の場合は下痢によって健康状態が急激に悪化してしまう可能性が高いため、可能な限り早めに動物病院を受診することをおすすめします。

下痢以外に症状がない場合:下痢以外は嘔吐などの他の症状がなく食欲や元気もある場合は、急にフードを切り替えなかったか、ストレスとなる変化がなかったか、猫が冷えていないかなど、まずは病気以外の原因を考えてみましょう。

病気以外の原因を改善してみた後に便が正常な状態に戻ったならば、一過性の下痢であり特に治療は必要としない場合もあります。

改善してみても下痢が続く、または思い当たる原因が無い場合は早めに動物病院を受診したほうが安心です。

下痢以外に症状がある場合:下痢以外にも嘔吐や食欲不振、元気消失などの他の症状がある場合は病気による可能性が高いと考えられるため、可能な限りすぐに動物病院を受診するようにしましょう。

まとめ

下痢には「軟便」や「水様便」、「粘液便」、「黒色便」、「鮮血便」といった様々な種類が存在し、時にはそれらが同時に見られることもあります。

また、下痢を引き起こす原因としては急なフードの変更やストレス、冷えなどの病気以外のことも考えられます。

下痢をした猫が子猫や老猫であったり下痢以外にも何かしらの症状が見られたりした時は特に動物病院を速やかに受診して検便などの検査を受けることをおすすめします。

その際には下痢便を持参することを忘れないようにしてくださいね。

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