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獣医師
齋藤厚子
長寿化しつつあるペットたち、犬と猫のシニア期を迎える準備

シニア期は何歳から?

動物とヒトでは年齢を重ねる速さが異なります。
犬猫では特に成長期のスピードが速く、多くは1歳で成犬・成猫の状態まで成長し、そこから先は1年で大体ヒトでいう4歳ずつ年をとっていくとされています。

犬と猫、また小~中型犬と大型犬、一般的な大きさの猫と大型猫でも成長速度や寿命の差はありますが、犬も猫も7歳を過ぎたらシニア期に突入しつつあると考えておきましょう。

しかし近年はハイシニアという言葉も頻繁に見かけるようになるほど長寿の犬猫が増え、15歳以上の犬猫や、猫では20歳以上まで生きる個体もみられるようになってきました。

愛犬・愛猫が長く生きてくれることはとてもうれしいことですが、年を重ねることによって体には様々な変化が訪れるため、それらとどう向き合っていくかが重要になってきます。

シニア期に起こる体の変化

シニア期とされる7歳を過ぎた頃から見られる体の変化にはどのようなものがあるでしょうか?

見た目にはわからなくても徐々に体の代謝が落ち始め、筋力の低下や視力や聴力の変化、性格の変化なども見られるようになります。
また行動の変化として、食べるのが遅くなる、トイレの失敗、昼夜の逆転、夜中の吠えなどがみられるようになることもあります。

それと同時にこの時期からは様々な内臓疾患や関節疾患なども見られるようになります。
中でも、多くの腫瘍性疾患等は10歳以上で発生率が上がります。
「年をとってなんとなく大人しくなった、寝ていることが多くなった」と思っていたら実はそれが病気のサインだった、ということもあり注意が必要です。

このような変化の中には明らかに様子が変わったとわかるものもありますが、初期症状がわかりにくく、明らかな症状が現れて気づいた時にはすでにある程度進行してしまっていることが多い疾患も沢山あります。

加齢に伴って起こる変化の中からそのような疾患をできるだけ早く見つけることができれば、進行する前にケアを始めることで病気とうまく付き合うことができ、持病があっても症状を抑えて健康寿命を長くすることにつながります。

そのためにはどうしたらいいのでしょうか?

健康診断を活用しましょう。

病気の有無を調べるためには定期的な健康診断を受けることをお勧めします。

健康診断の内容は病院によって異なりますが、飼い主さんからのリクエストがあれば動物病院で希望の検査を受けることができます。

一般的に行われる検査としては、視診、触診、聴診などに加え、血液検査・尿検査・便検査などが挙げられます。
それに加え、必要に応じてレントゲン検査、超音波検査、心電図検査なども加えれば、体で起こっている多くの異常を検出できます。

CT検査やMRI検査もしてほしいという飼い主さんもいらっしゃるかもしれませんが、これらの検査は検査中に動いてしまうと実施が難しく、動物ではほとんどの場合麻酔をかけて行う検査であるため、一般的な健康診断としては行われず病気の診断に必要な場合にのみ行われます。

視診・触診・聴診では皮膚や眼、歯の状態、体の痩せ具合や筋肉の付き方、関節の動きの異常、しこりの有無、心臓や肺の音の異常などをチェックします。
また血液検査では肝臓や腎臓が正常に機能しているかどうか、貧血など血液自体の異常がないか、体のどこかで炎症などが起こっていないかどうかなどの他、甲状腺や副腎などホルモン疾患の可能性を検査できます。

中にはこれらの検査を行っても検出できない病気もありますが、加齢とともに発症しやすい多くの病気を早期発見できる可能性があり、また病気がない場合であっても定期的に検査しておくことで体調不良が起こった際に変化がわかりやすくなります。

検査結果を活用しましょう。

健康状態を把握することは食事内容の見直しに役立ちます。
一般的なシニア用の総合栄養食でいいのか、関節や腎臓、心臓などの内臓のケアに特化した食事の方がいいのかなど、検査結果を踏まえた上で決定できるのです。

また軽微なものでも将来的に体のトラブル・不調に発展する可能性のある異常を見つけることは大きな意味があります。

例えば早期に発見された関節炎などの場合は、症状を悪化させないためにサプリメントなどで補助的に関節ケア成分を補給したり、負担のかかりにくい適切な運動の仕方を指導してもらうことにつながり、体重管理の必要性なども実感することができます。

肥満傾向の場合はより計画的に無理のないダイエットが可能になります。
シニアに突入してすぐに足腰が立たないほど筋力が低下してしまう犬猫はあまりいません。
そのため元気なうちに減量が必要と診断されれば、適正体重を目指した食事管理と過度に負担のかからない運動(お散歩など)で筋力の低下を防ぎ、より効果的に理想的な体型を目指すことができます。

しかしすでに心臓病などを発症してお散歩にも出ることができない場合や、関節炎などで強い痛みを発症してしまってからでは運動による体重管理や筋力維持が難しくなってしまいます。
そのような状態は健康寿命を縮めてしまうことにつながります。

つまり、一見元気に見える時期に健康診断を受けることが体の問題点の早期発見につながり、それに対する幅広い選択肢から負担の少ない方法で最適な治療が可能になるのです。
せっかく健康診断を受けるのですから、その結果もうまく活用してあげましょう。

健康診断を受ける間隔は体の状態によって様々ですが、半年~1年に1回程度を目安に受けておくことをお勧めします。

予防できる疾患はしっかり予防しておきましょう。

感染症の予防に関しては多くの飼い主さんにその重要性が浸透してきているため、定期的な予防接種や犬のフィラリア感染症の予防薬投与、ノミやダニなどの予防薬などについては毎年しっかり行っているご家庭の方が多いでしょう。

ですが中にはワクチンや薬剤の副作用などを懸念して予防が十分にできていないケースや、なんとなく忘れてそのままになっているケースもあります。

混合ワクチンで予防できる感染症に関しては、感染・発症してしまうと致命的になる病気も含まれています。
特に体力の低下した高齢動物ではそのリスクが高いため、可能であればさらに体力が低下してしまう前に予防接種を受けて少しでも免疫を付けておきたいところです。

ワクチンに対するアレルギー反応が強く出てしまう場合や、体調がすぐれずワクチンを打つことが負担になりそうな場合には、かかりつけの獣医さんと一度よく相談してみてください。
必要に応じて、抗体価検査で病気に対する免疫がどれくらい残っているかを検査してワクチン接種の間隔を検討する、2種混合ワクチンなど病気の種類を絞って予防接種することを検討する、あるいはペットホテルやドッグランなど多くの動物が集まるような場所には連れて行かないようにするなど、様々な対応策を提案してもらえると思います。

健康状態に問題がなければ、やはり必要な予防接種などを定期的に受けておくようにしましょう。

生活環境を一度見直しましょう。

シニア期に突入したら、お部屋の中を一度見直してみましょう。

関節疾患を抱えている犬猫や肥満傾向の動物、あるいは筋力の低下し始めた動物は、滑りやすい床で走り回った際や高所への飛び乗り・飛び降り時、または段差を超える際にふいに躓いて怪我をしてしまうことがあります。

若い時には勢いよく転んでも平気だったとしても、目に見えないところで体の衰えが進行しているシニア期には靱帯を損傷したり骨折してしまう、椎間板ヘルニアを発症してしまうことなどがあるため、室内でも安全に運動できるように年齢に応じた改良を少しずつ加えてみましょう。

よく滑っている床には滑りにくいマットを敷く、よく飛び乗る場所にはスロープを設置する、キャットタワーなどはステップの数を増やす、ぶつかって眼などを傷つけそうな角にはコーナークッションを設置する、などといった対策が可能です。

またそれと共に爪が伸びすぎていないかどうか、パッドの間の毛が伸びてパッドを覆っていないかどうかなどといった動物の体のチェック・ケアもこまめにしましょう。

足腰が弱って歩くことが負担になっているような場合には、トイレの設置場所をアクセスしやすい場所に移動したり、トイレやベッドを入りやすい形状のものに変更することも検討すると良いでしょう。

介護が必要になる可能性も考慮しておきましょう。

ハイシニア動物が増える中で、さらにあらかじめ心づもりしておいてほしいことがあります。
それはペットに介護が必要になった場合のことです。

夏は比較的元気だったペットが、冬になるころには立てなくなってしまうということはよくあります。
それ程ペットたちの過ごす時間はヒトよりも早いのです。

必要になった時に準備できればいいので、あらかじめ購入しておく必要はありませんが、愛犬・愛猫が寝たきりになってしまったらどんなものが必要になりそうか、どんなグッズがあると便利なのか、ペットショップやペット用品のカタログなどをチラリと見ておくと良いでしょう。

小型犬や猫の場合は寝たきりになった時に床ずれができにくいような低反発のマットやオムツなどがあれば安心です。
しかし中型犬や大型犬の場合はそれだけでは不十分かもしれません。
体が大きい分、ペットを寝返りさせたり移動させること自体が大変な場合があり、さらに屋外でしか排泄しない習慣がある場合はよろよろ歩くペットを支えながら移動する必要があります。
その場合は腰などを支えて介助できるハーネスのようなものがあると便利です。

またペットの長寿化に伴い問題となりつつあるのが認知症です。
認知症には効果的な治療方法はなく、症状を軽減したり、夜しっかり寝てくれるように寝つきを良くするお薬などが対症療法的に処方される程度です。
そのため、ある程度覚悟を持って臨まなければ飼い主さんがお世話に疲れてしまうことも少なくありません。

認知症の症状の一つには無目的に歩く徘徊があり、普段は入ることがないような狭い場所に入り込んで出られなくなったり、階段や高所から転落してしまう可能性もあります。
そのような場合には部屋の中にサークルやゲートを設置して、危険な場所に入り込めないように対策すると良いでしょう。

このような状態になった時は家族全員で愛犬・愛猫を見守り、サポートしてあげることが必要です。
いざというときに家族みんなで向き合っていけるように話し合っておくことも大切ですね。

終わりに

今回ご紹介したシニア期の犬猫の体の変化や、それに対する飼い主さんの準備はあくまでも比較的多くみられるものについてです。

高齢になっても割とずっと元気な子もいますし、引っ越しや環境の変化によって思ったより早く加齢性変化が進むこともあり、どんなタイミングでどんな変化が出てくるかはその子その子によって異なります。

大切なのはそんなペットたちの様子を家族皆で共有し、必要な準備を検討していくことではないでしょうか。

高齢になったペットたちが安心して穏やかな老後生活を送れるように、愛犬・愛猫のシニア期をサポートしてあげましょう。

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