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猫のノミ対策について

獣医師
永井秀明
[記事公開日]  [最終更新日]
猫の外部寄生虫の代表としてノミがあげられます。猫をペットとして飼っている飼い主様からすると、ノミ対策には悩まされる事が多いと思います。ノミについて良く知る事で、ノミ対策を万全にして愛猫が快適に暮らす事が出来る様にしましょう。
[ 目次 ]
猫のノミ対策について
愛猫が痒がっていたり、点々とした虫刺されを発見出来たら、ノミが寄生している可能性があります。ノミの寄生により愛猫は強い痒みに苦しむ事になり、大きなストレスを愛猫に与える事となり、とても可哀想な状態になります。そうならない様にする為には、ノミ対策をする事が大切です。ノミの生態や特徴を考え、愛猫のノミ対策を万全にしましょう。

ノミの種類

ノミ目に分類されるノミは、世界中に約2000種類以上存在し、日本では約80種類あります。人間に寄生するヒトノミは、以前は主要な種類のノミでしたが、現在国内ではほとんど発生しなくなりました。熱帯地域に多く生息するイヌノミも、現在日本では減少傾向にあります。近年の被害のほとんどは、ネコノミによるものです。被害報告の多いネコノミは、寄生するのは猫だけではありません。猫の他には、犬・タヌキ・イタチ・クロネズミ・そして人間にも寄生して吸血します。

ノミの特性

ノミはペットに寄生すると、5分以内に吸血を始めて、最大2時間半吸血し続けます。ノミの雌が成虫になると、最大2ケ月間に生き続けます。その間にノミの雌は1日に40~50個の卵を産み、一生で約2000個の卵を産んでいます。ノミはとても繁殖力の強い生き物で、人間の生活環境に被害を与えています。ノミの成虫は非常にしつこく、自然に取り除く事は困難です。カーペットや家具類の奥深いに潜入していることが多いと言われています。

ノミのライフサイクル

猫に成虫のノミが寄生すると一生その猫の上で生きる事となります。吸血もしますし卵も産卵し、数日以内に家の中で大繁殖し、家の中に広がる事となります。
[卵]
雌のノミは1日に40~50個の卵を猫の上に産み落とします。最短期間1~10日以内にそれぞれの卵は幼虫に孵化します。
[幼虫]
ノミの幼虫は猫の生活環境で成長していきます。ジュータンやカーペットなどの隙間で、サナギなるまで、成虫の排泄物やその他の有機物質をエサとして成長します。
[サナギ]
サナギは小さな繭の中で、成長して成虫になります。この段階で長期休眠し、気温による熱、二酸化炭素、湿度、振動等によって反応し、孵化します。

猫に寄生するノミはネコノミ

猫に寄生するノミは、ネコノミが殆どです。ネコノミは体長2~3mmの大きさで、気温18~27℃、湿度75~85%程度の環境で活発化し、猫の体表で産卵して増殖します。ネコノミは成虫1匹につき、1日4~20個ほどの卵を産み、条件が揃うと一生のうち1匹1匹で1000個以上の卵を産むと言われています。。卵は早ければ2日で幼虫になるので、あっと言う間に繁殖します。ネコノミは春から夏にかけて一番繁殖しやすく、室内に寄生している場合は季節に関係なく一年中繁殖しています。ネコノミの特徴で、繁殖力が強い事を挙げましたが、その他に空中を飛ぶ、血液を吸血する等もあります。空中を飛んで移動して吸血するネコノミの、ビョンと飛んで移動する距離は、体長の1000倍以上とも言われており、猫の体表から血液を吸います。猫の体表から吸った血液を栄養しますが、雌だけしか血を吸わない蚊とは違い、ネコノミは雄も雌も血液を吸って栄養源にしています。

ネコノミの引き起こす深刻な症状

ネコノミは猫の被毛の中に潜り込み、血を吸って生きている寄生虫の一種です。そしてネコノミは、吸血する際に猫に刺激を与えて痒みをもたらします。猫がネコノミに刺されると激しい痒みによる精神的ストレスを受けます。さはにそれ以外には、貧血、細菌の二次感染、ノミアレルギー性皮膚炎、猫ヘモバルトネラ症、瓜実条虫の感染があります。その中で、瓜実条虫(サナダムシ)の感染は、ネコノミに感染に感染していると、高い確率で感染しています。ネコノミが媒介役となる代表的な寄生虫症です。これは瓜の種状の片節を持つ瓜実条虫(サナダムシ)として知られており、猫に感染する病気です。サナダムシは体長50cm以上になることもあります。ネコノミの幼虫がサナダムシの卵を食べると、そのネコノミの体内で発育します。猫がグルーミング等でサナダムシの卵を宿したネコノミの成虫を食べることにより小腸に寄生します。瓜の実に似た片節が、糞便や肛門の周囲に付着します。

愛猫に感染したネコノミの駆除方法

30年位前はノミ取り首輪が主流でしたが、現在はネコノミへの殺虫効力に耐性が出来てしまい、ネコノミの殺虫効力が無くなりましたが、ネコノミの忌避効果いわゆるネコノミを寄せ付けない効果はある様です。その後は愛猫に飲ませる液状の薬が発売されました。この薬は即時のネコノミの殺虫効力はなく、ネコノミの発育阻害剤でした。卵から幼虫、幼虫からサナギ、サナギから成虫にならない様に発育阻害する薬でした。そしてネコノミの発育阻害剤で6ケ月間効果ある注射薬が発売されました。そのあとは全身にスプレーする薬になり、全身スプレーするタイプからの薬から首の所に付けるスポットオンタイプとなりました。今現在は、スポットオンタイプや新しく飲ませる薬で3ケ月効果のある物等、数十種類のネコノミの駆除薬として発売されています。愛猫にどの種類の駆除薬を使うかは、愛猫にストレスにならない投与方法を選ぶ必要があります。

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