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ワンちゃんやネコちゃんを題材にした短歌

ワンちゃんが出てくる短歌

庭のそとを白き犬ゆけり。ふりむきて、犬を飼はむと妻にはかれる。石川啄木

「はかれる」は相談する意味。庭の外を歩く白い犬を見かけた啄木。振り向いて、妻節子に「犬を飼わないか」と相談します。犬を見て心惹かれ、衝動的に言ったのでしょうか。啄木には女性関係や借金で、さんざん悩まされていた妻。啄木の相談に何と答えたのでしょう?

・石川啄木(いしかわたくぼく)
本名は「一(はじめ)」。1886年(明治19年)岩手県生まれ。幼いころより大変優秀で、神童と呼ばれていました。盛岡中学校(現在の森岡第一高等学校)で文学に目覚めます。1905年(明治38年)には、詩集『あこがれ』を上梓しました。1908年(明治41年)に小説家を目指して上京、東京朝日新聞校正係として働きます。代表作は『一握の砂』『悲しき玩具』です。

悲しみて二月の海に來て見れば浪うち際を犬の歩ける 萩原朔太郎

悲しみの中、冬の寒い2月の海に来て見ると波打ち際を犬が歩いていました。どこか寂しさを感じる歌です。1匹で波打ち際をとぼとぼと歩く犬と、悲しみを抱えた朔太郎が重なって見えますね。犬に自分自身を投影したのかもしれません。

・萩原朔太郎(はぎわらさくたろう)
萩原朔太郎は1886年(明治19年)群馬県生まれ。日本近代詩の父と呼ばれています。前橋中学時代に文学に目覚め、このころから「明星」などに短歌を投稿します。1917年(大正6年)には第一詩集『月に吠える』を刊行。1942年(昭和17年)55歳で亡くなりました。

樟(くす)の木の春の落葉は地に滿(み)てり仔犬走らせ遊べるをみな 三好達治

「をみな」は、若く美しい女性という意味。樟の木は、春に一斉に落葉し、新しい葉を出します。その落ち葉が地に降り積もる地面で、子犬を遊ばせている若く美しい女性。新しい葉の誕生や元気な子犬を若い女性が遊ばせているところから、いきいきとした生命力を感じます。

・三好達治(みよしたつじ)
1900年(明治33年)大阪生まれ。詩人ですが、ボードレールやファーブルの翻訳も行っています。1928年(昭和3年)東京大学仏文科卒業。1930年(昭和5年)には、第一詩集『測量船』を刊行。1952年には、『駱駝(らくだ)の瘤(こぶ)にまたがって』で芸術院賞を受賞しました。1964年(昭和39年)63歳で亡くなりました。

ネコちゃんが出てくる短歌

朝の囲炉裡(いろり)猫もとりわけあまゆるをあやしてあれば啼(な)けるうぐひ(い)す 若山牧水

昔は、人も猫も囲炉裏や竈で暖を取っていました。囲炉裏ぬくぬく温まっていた猫、今日はやけに甘えてきます。猫をあやしていると、外でウグイスの声が聞こえました。春が近いようです。「猫をあやす」というのが、なんともやさしくていいですね。

・若山牧水(わかやまぼくすい)
本名「繁(しげる)」。1885年(明治18年)宮崎県生まれ。1904年(明治37年)早稲田大学に入学。旅と酒を愛した日本の代表的歌人です。大変な酒豪で、1日一升の酒を飲んでいたと言われています。代表作は第三歌集『別れ』。1928年(昭和3年)43歳で亡くなりました。

黒猫の細尾光りて触れにけり開き切りたる緋牡丹(ひぼたん)の花 岡本かの子

黒猫のつやつやした細い尾が、灯りに照らされ光ったのでしょうか。尾が触れたのは、開き切った緋牡丹の花。緋牡丹は、あざやかな赤やピンク色をしたサボテンの花です。猫の黒い尾と、緋牡丹の花の対比が幻想的。「尾が光った」という表現も印象的です。

・岡本かの子
本名は「カノ」。岡本かの子は1889年(明治23年)東京生まれ。歌人で小説家、仏教研究家でもあります。そして、芸術家・岡本太郎のお母さんでもあるのです。夫の漫画家・岡本一平と、自分の若き愛人と3人で同居するという変わった結婚生活を送ったことでも有名です。1939年(昭和14年)49歳で亡くなりました。

ふんわりとわが膝に乗るましろ猫まろまりて背中の毛をふるは(わ)せる 片山廣子

猫への愛情が伝わってくる短歌です。膝の上にふんわりと乗ってきた真っ白い猫。体を丸め背中の毛を震わせているのは恐怖心ではなく、喜びでしょう。「ましろ」「まろまりて」などの音感からも、猫のやわらかさが伝わってくるようです。

・片山廣子(かたやまひろこ)
1878年(明治11年)東京生まれ。歌人で随筆家でもあり、「松村みね子」の名でアイルランド文学の翻訳家としても活躍しました。芥川龍之介と交流が合ったことでも知られています。1954年(昭和29年)には、随筆『燈火節』で日本エッセイストクラブ賞を受賞しました。1957年(昭和32年)79歳で亡くなりました。

まとめ

ほんの少しですが、ワンちゃんやネコちゃんを読んだ短歌を紹介しました。他の短歌を探して味わってみてはいかがでしょうか?ご自分で、愛犬や愛猫の短歌を作るのも楽しいですね。

参考資料
・青空文庫
https://www.aozora.gr.jp/
・「新訂総合国語便覧」 第一学習社
・「俳句・短歌・川柳と共に味わう猫の国語辞典」佛渕健悟・小暮正子編 三省堂

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