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ペットトレーナー(ドッグトレーナー)
若林 亜希子
犬の「骨や関節のトラブル」多い症状や病気、原因や対策について

■骨や関節に起こる病気は?

•レッグ・ペルテス病(レッグ・パーセス病)
•変形性脊椎症(へんけいせいせきついしょう)
•変形性骨関節症DJD(へんけいせいこつかんせつしょう)
•変形性関節症(へんけんせいかんせつしょう)
•多発性筋炎(たはつせいきんえん)
•栄養性二次性上皮小体機能亢進症(クル病)
•椎間板ヘルニア(ついかんばんヘルニア)
•汎骨炎(はんこつえん)
•股関節形成不全(こかんせつけいせいふぜん)
•肘関節形成不全(ちゅうかんせつけいせいふぜん)
•膝の前十字靭帯断裂(ひざのぜんじゅうじじんたいだんれつ)
•膝蓋骨脱臼(しつがいこつだっきゅう)
•関節リウマチ(かんせつりうまち)
•関節炎(かんせつえん)

骨や関節のトラブルには、上記のような病気が隠れていることがあります。

その中でも、とくに犬に多く起こりやすい骨や関節の病気について「どのような症状が出るのか?」 「原因はなんなのか?」 「治療方法にはどのような種類があるのか?」「かかりやい犬種は?」 などを続けて詳しくご紹介していきます。

■股関節形成不全 (こかんせつけいせいふぜん)

■■ 症状 ■■

骨盤のくぼみに大腿骨の頭が上手くおさまらず、関節が外れたり、外れそうな状態を股関節形成不全と言います。

犬が股関節形成不全になると「モンローウォーク」と呼ばれる、腰を振るようにして歩く姿が見られます。足を痛がったり、足を引きずる、運動を嫌がるなどの症状があらわれます。

後ろ足を左右一緒のタイミングで、うさぎ跳びのように地面を蹴るような走りかたや、今までできていた階段の昇り降りを嫌うなどの症状がでたら、股関節形成不全が疑われます。


■■原因 ■■

原因の7割は、先天的に骨の発育に異常があると言われています。
残りの3割は、環境的な要因と言われており、仔犬の時期に食事を与えすぎて肥満になった場合や、成長中の股関節に大きな負担をかけた場合も発症の原因になります。


■■ 治療法 ■■

股関節形成不全の治療方法として、若い犬の場合や症状が軽度の場合は内科的治療となります。
まずは安静にして過ごし、食事や運動を管理します。症状が進行している場合は、鎮痛剤や抗炎症剤などを投与します。

症状がかなり進行してしまい、内科的治療の効果がないときは外科手術をおこないます。手術には犬の年齢や大きさ、症状などに合わせていくつかの種類があります。

現在、効果的とされている手術は、股関節を人口関節にとりかえる方法です。


■■股関節形成不全になりやすい犬種■■

•シェパード
•ゴールデン・レトリーバー
•ラブラドール・レトリーバー
•セント・バーナード
•バーニーズ・マウンテン・ドッグ
•ボーダー・コリー 
•ニューファンドランド
•ロット・ワイラー
•グレート・ピレニーズ
•シベリアン・ハスキー
•ウェルシュ・コーギー・ペンブローク
•ブルドッグ など

■膝蓋骨脱臼 (しつがいこつだっきゅう)

■■ 症状 ■■

膝蓋骨が正常な位置から内側または外側に外れてしまう状態のことを、膝蓋骨脱臼(しつがいこつだっきゅう)と言い、パテラと呼ばれることもあります。

膝蓋骨脱臼が起こると、脱臼した足を浮かせるようにして歩いたり、足を引きずるなどの症状があらわれます。またスキップするような歩きかたをする場合も膝蓋骨脱臼の可能性があります。

膝の内側に外れる状態を「内方脱臼」、外側に外れる状態を「外方脱臼」、両方向に外れる状態を「両方向性脱臼」といいます。一番多いのは内方脱臼です。

チワワやトイプードル、ポメラニアンやマルチーズなどの小型犬では、亜脱臼(脱臼よりも比較的軽い状態)がよく見られます。

大型犬に膝蓋骨脱臼が認められる場合は、一緒に股関節形成不全の症状が出ていることが多いです。
両足ともに膝蓋骨脱臼が起こっている場合は、後ろ足がO脚やX脚になります。

膝蓋骨の脱臼の程度によって、グレード1からグレード4まで分類されます。


■■ 原因 ■■

膝蓋骨脱臼になる原因としては、先天的なものと後天的なものがあります。

先天的には、もともと膝周辺の骨や関節、筋肉や靭帯などの形成異常があり、年齢とともに進行することで発症します。

後天的には高いところからの落下や着地時の衝撃、打撲や事故などにより膝に強い力がかかることで生じることがあります。


■■ 治療法 ■■

膝蓋骨脱臼の症状が軽い場合は、保存療法を行います。関節を保護する薬や炎症を鎮める薬の投与、運動の制限、生活環境の改善などです。

歩行の異常や痛みが頻繁にある場合や、根本的な治療を希望する場合には、膝蓋骨を正常な位置に戻す外科手術をおこないます。

犬種や年齢、グレードによって治療方法が異なるため、獣医さんとよく相談しましょう。


■■ 膝蓋骨脱臼になりやすい犬種は? ■■

•チワワ
•ダックスフンド
•トイ・プードル
•ヨークシャー・テリア
•ポメラニアン
•マルチーズ など

■関節リウマチ

■■ 症状 ■■

関節リウマチは、免疫介在性多発性関節炎とも言われます。
犬の関節リウマチの症状は、四肢の末端の関節に多く見られます。

発症すると、起床時や休息後に関節のこわばりや痛み、関節の腫れがあらわれたりします。また、発熱や食欲の低下、足をひきずるなどの症状もあらわれます。

起きたばかりのときには関節が上手く動かず歩けないことがありますが、時間がたつと普段通りに歩けるようになるため「少したてば動くから」と言って放置してしまうと、病気が進行してしまいます。

激しい痛みをともない、最終的には痛みだけでなく関節が変形して歩けなくなってしまう病気です。


■■ 原因 ■■

犬の関節リウマチは自己免疫疾患のひとつです。

免疫機能の異常で、本来は外敵から自分を守るための免疫機能が自分自身の関節を敵とみなして攻撃することで、関節炎が多発する病気です。


■■ 治療法 ■■

関節リウマチは進行性の病気のため根本的な治療法はなく、内科的治療で痛みや進行を抑えるしかありません。
関節リウマチの治療は、消炎鎮痛剤や抗リウマチ薬などを投与して痛みを和らげます。

早期発見・早期治療で進行を抑えることは可能ですので、かかりやすい犬種と言われている場合は普段から愛犬の動きに気を配り、少しでも変化を感じたら早めに受診してください。


■■ 関節リウマチにかかりやすい犬種 ■■

•シェットランド・シープドッグ
•ミニチュア・ダックス
•トイ・プードル
•シー・ズー
•マルチーズ 
•秋田犬
•ボクサー など

■椎間板ヘルニア(ついかんばんヘルニア)

■■ 症状 ■■

椎間板ヘルニアは、脊椎の中でクッションの役割をする椎間板に負荷がかかり、椎間板内の髄核が飛び出してしまう状態のことをいいます。

これが脊髄などを圧迫してしまい、麻痺や痛みを生みだします。
そのため、背中を触ると痛がったり、ふらつくようになったり、足を引きずるしぐさや段差の上り降りを嫌がる、などの症状があらわれます。


■■ 原因 ■■

椎間板ヘルニアは、ジャンプや激しい運動などで椎間板を傷めてしまうことで起こりやすくなります。老化などで骨や筋肉が弱くなることも要因のひとつです。

また、胴が長い犬種はもともと腰に負担がかかる体型のため、椎間板ヘルニアになりやすいと言えます。


■■ 治療法 ■■

椎間板ヘルニアは一度発症してしまうと長期にわたり治療が必要となります。
治療には大きく分けて内科的治療と外科的治療があり、症状の強さに応じて治療法は異なります。

痛みだけの場合は内科的治療になり、安静にすることや薬での治療になります。非ステロイド性消炎鎮痛薬などの薬を使用します。
麻痺が出ていても軽度の場合は、ステロイドなどで治療することで軽減することもあります。

重度の麻痺や痛みがでたり、歩けないような場合は手術が必要になります。脊髄が圧迫を受けている部分の背骨をけずり、圧迫を取り除きます。


■■ 椎間板ヘルニアになりやすい犬種は? ■■

•ダックスフンド
•ウェルシュ・コーギー・ペンブローク
•フレンチ・ブルドッグ
•ボストン・テリア
•パグ
•コッカー・スパニエル
•シー・ズー
•ピーグル
•プードル
•ペキニーズ など

■レッグ・ペルテス病(レッグ・パーセス病)

■■ 症状 ■■

レッグ・ペルテス病は、レッグ・パーセス病、大腿骨頭壊死症と呼ばれることもあります。
成長期の小型犬がなりやすく、とくに生後6ヶ月から9ヶ月の間に発症する仔犬が多いのが特徴です。

大腿骨頭が壊死すると、犬は激しい痛みを感じ正常に歩けなくなってしまいます。また、足を触ると嫌がる、歩くときに足を引きずるなどの症状があらわれます。
片足だけに発症することが多いと言われています。


■■ 原因 ■■

レッグ・ペルテス病は、大腿骨頭(だいたいこっとう)と呼ばれる太ももの骨と骨盤とが連結している部分の血管が傷ついてしまい、血液の供給量が不足して骨頭が壊死することによって起こります。

血流障害が原因なのはわかっており、原因の1つには遺伝的要素があると考えられていますが、どうして血流障害になってしまうのかは、まだ良くわかっていません。


■■ 治療法 ■■

レッグ・ペルテス病の治療は、一般的には外科治療となり、壊死した大腿骨頭を切除する手術をおこないます。

症状が軽い場合は、運動を控えて安静にさせる保存療法をおこない、鎮痛剤で症状を抑える場合がほとんどです。

しかし、一時的に症状を抑えても病気の進行を止めることはできないため、最終的には手術とリハビリが必要になります。


■■ レッグ・ペルテス病になりやすい犬種は? ■■

•トイ・プードル
•マルチーズ
•ヨークシャー・テリア
•ミニチュア・ピンシャー
•ミニチュア・シュナウザー
•ジャック・ラッセル・テリア
•ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア など

■犬の骨や関節を守るためにできること

先天性の疾患の場合は避けられないこともありますが、気を配ることで発症を抑えたり遅らせたりすることは可能です。

また、犬種によってかかりやすい病気があるので、健康で過ごせるように事前に気をつけておきたいですよね。

犬は高い身体能力を持っているため、日々の普通の動きの中でも骨や関節に負荷をかけています。愛犬の身体を考えて、日頃から対策をしてあげましょう。


■■床を滑りにくくする■■

犬にとってフローリングの床は滑りやすく、骨や関節に負担がかかっています。犬が過ごす場所は、床にカーペットや絨毯を敷いたり、滑り止めの対策をしましょう。


■■肥満にならないように心掛ける■■

肥満になると骨や関節に大きな負担がかかります。また、犬も人間と同じように、肥満はさまざまな病気の原因になります。

ぽっちゃりだったり真ん丸だったりしても、それがまた可愛いのですが、愛犬の健康を守るためには適正体重を維持することが大切です。


■■骨や関節を痛めたときは安静に■■

犬は基本的に弱っている姿を見せないようにするので、多少の痛みであれば変わらずに元気に動き回ります。しかし、犬が骨や関節を痛めた様子がわかったときは、なるべく安静に過ごし負担を減らすように心掛けてあげてください。

様子がおかしいと感じたら、動物病院を受診して痛みの原因を調べたり、今後についての相談をしましょう。


■■適切な栄養と適切な運動を■■

骨の病気は事故や日常のトラブル、先天性によるものなどがありますが、成長期の栄養管理や運動管理がとても影響すると言われています。

バランスのとれた食事を与えたり、栄養をサプリメントで補ってあげたり、運動で筋肉をつけたりすることで骨や関節を守ってあげることができます。


★飼い主の皆さんと大切なワンちゃんが、1日でも1分でも、長く一緒に過ごせますように★

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