猫の脱水の原因について知っておこう!
健康な動物は、体重の約60%が水分(体液)で占められています。
体液は体を健康に保つための働きをいくつも担っているとても大切なものです。
この体液が何かしらの原因で大量に体の外に出てしまい、体液が減ってしまった状態を脱水症といいます。
脱水を起こしてしまう原因は色々ありますが、大まかに分けると以下の3つになります。
・必要な水分量を摂れていない
・体から水分が出て行ってしまう状態
・腎臓の病気により水分を吸収する能力が低下
これらの原因は別の病気から来ることがほとんどなので、自己判断はしないで獣医師の診断を仰ぐようにして下さい。
脱水になるとどうなるの?
体の水分が足りない脱水状態になると、体に様々な症状が現れます。
ここからは脱水の症状を病院に行く重要度で分けたのでご覧ください。
<病院へ>
・食欲がない
・吐く
・下痢をする
<至急病院へ>
・呼吸が早い
・ぐったりしている
・熱がある
・おしっこが出ない
脱水は他の病気の症状の一つとして現れることが多く、そのままにしていると原因の病気によっては最悪死に至るケースもあります。
考えられる主な病気としては
・口内炎
・猫白血病ウイルス感染症
・猫免疫不全ウイルス感染症
・猫カリシウイルス感染症
・猫伝染性鼻気管炎
・猫汎白血球減少症
・甲状腺機能亢進症
・出血
・熱射病
・腎不全
・糖尿病
などがあります。
ここで紹介した病気は脱水の症状も現れる病気の一部でしかありません。
なので脱水が疑われる場合は、自宅で様子見はしないで受診をするのが基本です。
どんな治療が必要なの?
脱水が起きた場合、どのような方法で治療をするのか疑問を持つ方もいると思います。
ここからは脱水時の治療法について解説します。
脱水状態の治療では輸液治療が最も効果的な治療法です。
輸液治療は、脱水の原因を調べ、適切な輸液剤を選択し、すぐに投与して急激に起こった体液の損失を補正するものです。
輸液療法には3つの方法があります。
ここからは、輸液療法について1つづつ解説していきます。
①静脈内に輸液を投与する方法
投与された水分、電解質などの吸収がもっとも早く行われるため、特に重度な脱水やショックを起こしている動物に対してとても効果的です。
しかし、投与をするときには血管を確保する必要があります。
また、投与するスピードにも限界があるので、投与する輸液量が多い場合には時間がかかります。
その場合は入院もしくは通院での治療が必要となります。
②皮下内に輸液を投与する方法
輸液剤を皮下組織に投与する方法です。
投与は静脈よりも簡単で、多量の輸液剤を短時間で投与できます。
しかし、組織への刺激が強くて使えない輸液剤があったり、投与された輸液剤の吸収に時間がかかるという欠点があります。
そのため、重度の脱水があり、衰弱した動物には皮下投与は行いません。
③口から輸液を投与する方法
口から水分を補給する方法で、もっとも生理的な方法です。
しかし、吐いたり食欲がない場合には、口からの投与が困難になります。
そのため、急速に大量の体液を失ってしまった場合に、大量の水分を口から摂取させるには無理があります。
猛暑に備えよう!脱水の予防法
脱水が起こった際の正しい治療も大切ですが、一番大切なのは「脱水にさせないこと」です。
当たり前のことですが、脱水の予防には水分補給が大切です。
ここからは、脱水の予防法を5つ紹介します。
まず大前提として猫は、必要最小限の水を必要なときに飲む動物です。
そして、非常にきれい好きで神経質な動物でもあります。
そのため、いつでもきれいな水が飲めるようにしておく必要があります。
しかし、いくら環境を整えても猫によっては水を飲んでくれない場合もあります。
その時は以下の方法を試してみて下さい。
・ドライフードを水やぬるま湯でふやかす
ドライフードの水分量は約10%です。
ドライフードに直接水分を足すことにより食事から水分を強制的に取らせることができます。
・食事にウェットフードを取り入れて水分量を増やす
お水やお湯を嫌がる子にはウェットフードや猫用スープなどもおすすめです。
理由は上と同じですが、風味が増すことになるのでより食いつきが上がるはずです。
しかし、その分カロリーも増えてしまうのでダイエット中の猫にはドライフードを減らすなどして気を使う必要があります。
・飲み水に味をつける
ささみのゆで汁やペースト状の猫用おやつを水で薄めてあげる方法もあります。
しかしこの方法は、通常よりも飲み水の痛みが早くなるため、よりこまめなチェックが必要となります。
・おやつ氷を作る
お気に入りのおやつを水と一緒に凍らせてから与える方法です。
溶けだした氷にはおやつの香りや風味も加わるのでオススメです。
冬にこの方法は寒いので、夏限定のお楽しみにしても楽しいかもしれません。
・ふちが広い器
食器のふちが狭く、ひげが当たってしまうと嫌がってそこからお水を飲まなくなる猫がいます。
そういうタイプの猫は、ふちが広くひげが当たらない構造の食器に変更してあげると飲んでくれる場合があります。
通販サイトで色々売られていますので気になる方は探してみてください。
「脱水」のリスクを知って楽しい夏休みを!
猫は、あまり多くの水分補給を必要としない動物ですが、その分水分不足に気が付きにくい動物です。
そして、健康維持のためにも水分は欠かせないものです。
これからどんどん暑くなる夏に備えて、人も猫も脱水に注意をして楽しい夏休みを過ごして下さい。