人とワンちゃんは1万年以上前から友だちだった
ワンちゃんと人の付き合いは、最近の研究では、なんとおよそ11,000年前までさかのぼれるといわれています。人間との付き合いの歴史長い動物は、ワンちゃんであるといえるでしょう。人間の狩猟の手伝いをし、夜はさまざまな野生動物から人を守る番犬として働いてくれていたはず。今も、実は人々は愛犬に守られているのかもしれません。
愛知県田原市にある井川津貝塚では、ワンちゃんとの絆が感じられる発掘がありました。この貝塚は今から3,000~2,400年前である縄文時代後期末から晩期にかけてのもの。ここで、犬を「埋葬した」と考えられる跡が発見されています。驚くのは、加工を施した巻貝も犬の骨と一緒に見つかっている点です。
巻貝の種類は食用ではないことからも、あくまで縄文犬の装飾品として使ったと推測されています。死後に付けられたのか生前から付けていたのかは不明のようですが、愛情を感じますね。きっと人に懐いていたかわいいワンちゃんだったのではないでしょうか。
人々を昔から魅了してきたネコちゃん
一方ネコちゃんは9,500年ほど前から、人に飼われるようになったようです。キプロス島にある遺跡には、人と共に埋葬されたネコ科動物の骨が発見されています。猫は、人間の大切な穀物を狙うねずみなどを狩っていたのでしょう。そして人間からご飯をもらうようになり一緒に暮らすようになったと考えられます。大切な書簡なども、ねずみが齧らないように猫が守っていたようですよ。
日本で最初のネコちゃんについての記録は、なんと平安時代にさかのぼります。その記録とは、宇多天皇(867~931)が自分の飼い猫について記した『宇多天皇御記(寛平御記)』。現代のヨーグルトのような食品「乳粥」を毎日食べさせていたほど、かわいがっていたそうです。『枕草子』にも、猫好きな一条天皇のお話があるのも有名ですね。江戸時代には、歌川国芳がたくさんの猫の浮世絵を描いたように、昔からネコちゃんは人々を魅了していたことがわかります。
人がワンちゃんやネコちゃんと暮らす喜び
さて、そんな付き合いの長い愛犬や愛猫と暮らしていると、どのような喜びやメリットがあるでしょうか。
・笑顔が増えて癒される
愛犬や愛猫と一緒にいると、笑顔が増えているのが実感できます。仕草や表情のひとつひとつがかわいらしく「気がつけば笑っている」という経験のあるオーナー様もいらっしゃるでしょう。
つらいことがあったときも、黙って寄り添ってくれる愛犬や愛猫。撫でたり触れたりしていると気持ちが癒されますよね。
癒されるのは、決して気のせいではありません。実はワンちゃんやネコちゃんを撫でることで、人を癒す物質「オキシトシン」が血中に増えるからなのです。オキシトシは、別名「幸せホルモン」。
分娩を促進する働きがあるほか、人をリラックスさせる働きがあると注目されている物質です。人と人が抱き合うなどでも分泌されますが、ワンちゃんやネコちゃんと人間との愛情あふれる触れ合いでも分泌されると考えられています。
・健康的な生活ができる
健康的な生活が送れるのも、愛犬・愛猫と暮らすメリットです。特にワンちゃんを飼っている方は、毎日の散歩で歩く回数が増えます。歩くのは有酸素運動のであり、続けていけば生活習慣病の予防などが期待できるでしょう。一人で歩くのは大変ですが、愛犬がいれば自然と歩くことが習慣になります。季節を感じながらのお散歩は、愛犬との何よりの楽しみです。
散歩中には人に会ったり話したりすることも多くなるため、社会参加をする機会が増えるのも特徴です。こういった楽しみや刺激があるおかげか、ワンちゃんを飼っている高齢者では、飼っていない人よりも認知症になるリスクが4割近く低いといった調査結果もあります。
ネコちゃんを飼う人も、飼っていない人に比べて頭痛などの健康的な問題が少ないと報告されています。愛猫を撫でるだけで、動悸が落ち着いていくというデータもあるのです。ネコちゃんが出すゴロゴロの音を聞くと、心拍数が減ってストレスが緩和されるという研究結果もあります。
・生活が規則正しくなる
愛犬・愛猫と暮らしていると、必然的に規則正しい生活ができるようになるのもうれしいですね。これは、お散歩やご飯の時間のために、早寝早起きするようになっていくためです。朝、ちゃんと散歩ができるようにとお酒の飲みすぎに注意しているオーナー様もいらっしゃるでしょう。
お休みの日でも愛犬や愛猫のためには朝起きる必要があるため、「もう少し寝ていたい」と思われるかもしれません。しかし、愛犬・愛猫のおかげで規則正しい生活ができている、と思うと早起きも苦になりません。規則正しい生活は、健康的な生活にもつながっているため一緒に暮らすメリットは大きいといえます。
・子どものためにもメリットがたくさん
愛犬や愛猫の存在は、子どもにとってもメリットがたくさんあります。言葉を話さない愛犬や愛猫の存在は、子どもの「非言語コミュニケーション能力」を向上させるのです。言葉を話さないからこそ、相手の気持ちや感情を察する力を育ててくれるのですね。
愛犬や愛猫は、子どものことを批判したり意地悪を言ったりしません。むしろ、どんなときも寄り添ってくれる存在です。そういった点からも、愛犬や愛猫は子どもにとって大切な友人にもなります。孤独感の解消や不登校、非行などの抑制にもつながると期待できるのです。命の大切さを学ぶ機会にもなるでしょう。
大切なパートナーである愛犬・愛猫と幸せに
愛犬や愛猫と暮らす喜びやメリットは、まだまだたくさんあって書ききれないほどです。それだけかけがえのないものだといえます。
愛犬や愛猫は、私たち人間にたくさんの喜びや幸せをもたらしてくれる存在です。私たち人間も、愛犬や愛猫に愛情をたっぷり注いでいきたいですね。そして人間と愛犬・愛猫の幸せのためにも日々を大切にしていきましょう。
参考サイト
・社団法人ペットフード協会「笑顔あふれるペットとの幸せな暮らし」
https://petfood.or.jp/breeding/dictionary/webcatalog.pdf
・ Science「Origins and genetic legacy of prehistoric dogs 」
https://www.science.org/doi/10.1126/science.aba9572
・読売新聞オンライン「縄文時代の犬は人間の「大切なパートナー」…埋葬跡から装飾品発見、現代のペットにも似た関係性か」
https://www.yomiuri.co.jp/national/20231124-OYT1T50066/
・sippo「猫と人類との出会い ネズミを巡るウィンウィンの関係 」
https://sippo.asahi.com/article/12095227
・地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター研究所「プレスリリース|ペット飼育と認知症発症リスク」犬の飼育を通じた運動習慣や社会との繋がりにより認知症の発症リスクが低下することが初めて明らかに」
https://www.tmghig.jp/research/release/2023/1024.html