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TOP > 会報誌「ウィズペティ倶楽部」 > 犬と猫の運動不足、その原因から解決策を見つけよう!
獣医師
齋藤厚子
犬と猫の運動不足、その原因から解決策を見つけよう!

運動と健康

適度な運動をすることはヒトや動物の健康を維持・増進するために重要であることはすでによく知られていることですね。
ヒトの生活習慣病の予防のためにウォーキングなどが薦められることなどからもその効果の大きさは想像できることと思います。

では運動不足になると具体的に何が良くないのでしょうか?

いろいろありますが、大きくは以下のようなことが挙げられます。
・太りやすくなる
・筋力が低下する
・心肺機能が低下しやすい
・病気の誘因になる
・ストレスがたまる

運動不足が肥満につながることは言うまでもありません。
肥満は万病の元と言われるように、糖尿病や関節疾患、心臓への負担の増加など、他の病気を引き起こすことに繋がります。
猫で多い下部尿路疾患などは肥満が発症の誘因の一つと考えられています。


また運動不足の見過ごせないデメリットの一つは筋力低下です。
体の筋肉を維持することは健康寿命を延ばす上でとても重要なのです。

筋力低下の影響を最も大きく受けてしまうのが関節です。
四肢の関節をはじめとして全身の関節は、関節を形成する骨、靱帯、関節包などの関節を作っている組織に加え、その周りを強固に支える筋肉の働きによって滑らかに動き、しなやかな体の動きを可能にしています。
しかし筋肉が低下してしまうと関節を支える他の組織にかかる負担が大きくなり、靱帯を傷めたり関節炎を起こしてしまったり、強い力がかかった時に亜脱臼や脱臼を起こしてしまうこともあるのです。

また筋力が低下して転びやすくなったりすることで、骨折や靱帯の損傷、その他の怪我を引き起こすリスクが高くなります。


運動することは心臓や肺などの内臓機能を保つことにも繋がります。
負荷のかかりすぎないお散歩程度の運動を少し長めにすることで全身の血行が良くなり、心臓や肺に程よい刺激が与えられ、心肺機能の低下を予防できます。
それだけでなく腸の動きや全身の代謝も良くなり、心臓や肺以外の内臓の働きも良い状態に保たれると考えられます。


さらにヒトでは運動することは認知機能低下の予防効果もあると言われています。
運動することで脳を含めた全身の血流が良くなり、全身の筋肉が動くことで脳に適度な刺激が加わることで脳が活性化すると考えられており、動物でもこの効果は少なからずあると考えられます。


運動不足になってしまうとこうした心肺機能や脳に対するプラスとなる作用がない上に、体重増加などのマイナス要素が加算されて関節や循環器に負担をかけてしまうことになりかねません。
このような状態で年齢を重ねると、将来的に立てなくなってしまう可能性も高くなってしまいます。


そのような状態を招いてしまわないためにも、運動不足は回避したいところです。

どうして運動不足になってしまうの?

運動不足の原因はいくつかあります。

一つはペット自身が運動を好まないケースです。
外に出るのを怖がる、お散歩に行っても歩こうとしない、お散歩中に他の犬や車が怖くて歩けなくなってしまうなどといった理由で、お散歩が難しいことがあります。
散歩中に歩かなくなってしまう場合は体に異常がないかどうかも見極める必要がありますが、ペットの性格や気質によって外でお散歩できないような場合は何かしらの対策を講じて楽しくお散歩や運動ができるように仕向けてあげたいところです。

二つ目は健康上の理由で運動を控えざるを得ないケースです。
関節疾患や重度の心臓病・呼吸器の病気を抱えている場合、その他の疾患あるいは加齢が原因で体力が低下したためにお散歩や運動が難しいケースも多くあります。
この場合はケースバイケースですが、運動する方法を変えて負担のかからない運動をさせてあげたり、室内でできる運動やケアで筋力低下を防ぐことを考えてあげると良いでしょう。

三つ目は飼い主さん側の要因です。
お散歩に行く時間やペットと遊んであげる時間が取れないなどといった飼い主さんの時間的な制約がある場合や、飼い主さんのケガ・体調不良からペットが運動不足になってしまうケースなどがあります。

ペットを飼育する以上、お散歩やスキンシップを図る時間はできれば確保してほしいところですが、飼い主さんの生活環境の変化などによってそれが難しくなってしまう場合もあるでしょう。
こういったケースでは、運動不足によってペットの精神的なストレスも溜まっていることが多いため、やはり何らかの対策をとってあげたいところですね。

どんな運動をすると良いの?

運動は意識して取り入れなければ続かないものですが、一度習慣化してしまえばそれほど難しくはありません。

運動と言っても激しい運動をしなければいけないわけではなく、ゆっくりと歩くお散歩を日課にしているだけでも十分です。

もちろん若くて元気な子であればたくさん走り回ったり、アジリティーのような激しい運動をするのも結構です。
しかし年齢を重ねたり何らかの疾患がある場合は、無理なく続けられる運動を選んであげることを重視しましょう。

健康的な体を保つための運動としては、お散歩のようなゆっくりとした運動を20~30分程度、できれば1日1~2回(朝晩など)毎日継続することが理想的です。
お散歩であれば過度に体に負担をかけることはありませんし、30分程度(可能であればそれ以上でも)ならば心肺機能を維持するのにもちょうどいいでしょう。

さらに可能であれば室内遊びも取り入れてみましょう。
大型犬の室内遊びは自宅では難しいかもしれませんが、小型犬~中型犬であればボール遊び程度はできるかもしれません。


猫の場合はどうでしょうか?
猫ではリードを付けて外を一緒に歩いてお散歩できる子はかなり少数派で、自宅内での遊びが運動のメインになります。

同居の動物がいる場合は自然とじゃれあって追いかけっこなどが始まることが多いため、程よい運動ができているケースも多いでしょう。
また、若い猫であれば一人遊びで走り回ったりすることもあり、それほど運動不足の心配はないかもしれません。
可能であれば、キャットタワーを設置したり家具の配置を工夫して高いところにも登れるようにしてあげると、高いところから周りを見下ろすのが好きな猫は自然と生活環境内で上下運動するようになります。

それでもあまり動かずじっとしていることが多い、寝てばかりいるような子の場合は、おもちゃで誘って遊び相手になってあげましょう。
好みのおもちゃはその子その子によって異なりますが、追いかける遊びが好きな子が多いので、猫じゃらしやレーザーポインターのような光で興味を引き、追いかけっこをさせるとよく遊んでくれます。

運動不足から抜け出すためには?

運動不足が常態化してしまっている場合、可能であれば運動を習慣化していくように生活を見直していくのが理想的ですが、先にも言ったようにケースバイケースです。


例えば運動不足によって肥満傾向となっている場合、急に強い運動負荷をかけてしまうと、心臓や関節に大きな負担をかけて体調を悪化させてしまう可能性があります。
この場合はお散歩を始めるとともに、まずは食事療法を取り入れてダイエットを始めなくてはなりません。

ダイエットというと運動をたくさんするイメージを持っている方も多いと思いますが、動物の場合は運動だけでダイエットすることは難しく、まずは食事内容の見直し(減量用フードや低脂肪食などを取り入れる)と食事量の厳密な管理が必要です。
そのうえでお散歩の時間を少しずつ長くしていくことで運動の負荷の調節を行うと良いでしょう。


関節に疾患を抱えている場合や、椎間板ヘルニアなどの既往歴があるような場合は、あまり強い負荷がかかるような運動は控えた方がいいでしょう。
段差のない歩きやすい散歩コースでゆっくりと歩き、途中で歩き方に異常が見られたら無理せずそこで一旦終了して抱き上げて帰って来られるように、状態を観察しながら運動させることが大切です。
また自宅内で運動させる場合は、フローリングで滑らないようにマットや毛足の短い絨毯を敷くなどして転ばないように対策を講じてあげましょう。

このようなケースでは、患部となる関節を外側から支持するサポーターや、体の内側からサポートできるサプリメントなどを取り入れてみるのを検討しても良いでしょう。

関節のサポーターは部位別に様々な商品が販売されています。
手足のナックリングを予防するもの、膝や肩関節を補強するもの、下半身のふらつきなどを支える下半身用のハーネスや、歩行時のよろめきを支えやすい補助ベスト、腰や首用のコルセットなど、用途に応じて多くの商品があります。
必ずしも必要なものではありませんが、かかりつけの病院でどんなタイプのものが適しているか、サイズ選びや装着の仕方なども相談しながら検討してみてはどうでしょうか?

また、ペットのリハビリや運動療法を指導してくれる施設などが近隣にあれば、利用してみるのもおすすめです。
どんな設備があるかは施設毎に異なりますが、専門知識を持ったスタッフがいることが多いため、患部に負担のかからないリハビリ・運動の仕方について専門的にアドバイスしてもらえます。
中には水中歩行のように体重の負荷がかからないような状態で運動できる設備があるところもあり、ペットにかかる負担も最小限にしつつ筋力維持・回復ができるでしょう。


椎間板ヘルニアなどで下半身不随になってしまった場合も歩くことを諦める必要はありません。
ペット用の車いすや上記のような施設でのリハビリを検討してみましょう。

前肢だけでも立つことができるのであれば、下半身を支えてあげることで歩くだけでなく勢いよく走ることもできるようになることもあり、ペットの自由度はかなり上がります。
そこにリハビリを加えると、中には完全ではなくとも運動機能が少し回復するケースもあります。
何よりも重要なのは、補助しながらでも歩けるようにしてあげることで思うように動けないペットのストレスを大きく発散することができることです。

お散歩に行くのを嫌がる場合…

お散歩に行くのを嫌がる場合、まずは嫌がる原因について見直してみましょう。

外に出るのが怖い、他の人や犬に会うのが苦手、車の音にびっくりしてしまう、などといった場合は、まずは無理せず抱っこでお出かけし、外の環境に慣れさせる期間を作りましょう。
外に出るのに慣れてきたら徐々に外での遊びを加えて『外で遊ぶことが楽しい』と印象付け、最終的には自宅から自分の足で歩いてお散歩に出られるように目指しましょう。


単にお散歩嫌いなのかと思っていたら体に異常があるために歩きたがらないという場合も時々見られます。

お家で過ごしている時に全身をよく触り、触れられるのを嫌がる・痛がる部位がないか、腫れたり熱を持ったりしている部位がないか、出血していたり瘡蓋がないかどうかなどをチェックしましょう。
抱き上げるとキャンと鳴く、腰のあたりを触ると鳴いたり体がこわばる、という症状がみられる場合もあります。

また自宅の中で歩き方・行動をよく観察し、片足をかばって歩いている様子や手足の先をしきりに舐めている、左右の脚の太さが違う、などという異常が見られたら、一度病院で診察を受けることをお勧めします。

お散歩に連れていけない場合…

外に連れて行く時間が取れない場合、できれば室内での遊びでストレスを発散させてあげましょう。
猫ではキャットタワーを設置するなど、お留守番中に自然と運動できるように生活環境を工夫するのも一つの方法です。

ただし留守中にケガや不慮の事故が起こらないように配慮する必要もあります。
激しく遊んだ時に倒れる危険性のあるものはあらかじめ片付け、滑りやすい床には滑りにくい素材の敷物を敷く、転落や水没(お風呂や洗濯機、水洗トイレなど)の危険がある場所には立ち入らせないように工夫しましょう。

飼い主さんの休日は、普段遊んであげられない分、少し多めに時間をとってお散歩をしたり、ドッグランで思い切り遊ばせてあげるなど、ペットのストレスを発散させてあげることに努めましょう。


どうしても難しい場合はペットシッターなどを依頼する方法もあります。
その場合、信頼できるシッターさんかどうか、シッターさんとペットの相性なども見極める必要がありますので、焦らず慎重に検討することをお勧めします。

運動自体が難しい場合は?

重症疾患や加齢によって寝たきりとなり自力歩行ができなくなってしまった場合、ペット自身に運動をしてもらうことは難しくなってしまいます。
それどころか、食事の介助や排泄の管理、褥瘡ができないようにこまめに体位変換をするなど様々なケアが必要となるため、飼い主さんの負担はかなり大きいものとなり、運動不足云々と言っている場合ではないと思う方も多いでしょう。

しかし、横たわったままでいると日を追うごとに体の筋肉が落ち、関節周りの筋肉が落ちると褥瘡もできやすくなってしまいます。

そんな寝たきり状態になってしまった犬猫にもしてあげられることがあります。
それはマッサージです。

毎日のお世話の中に、四肢や体のマッサージ、手足の関節の屈伸運動やストレッチなどを取り入れてみましょう。
受動的であっても筋肉に運動の刺激を与え続けることで筋肉に分布する神経機能の低下を予防し、筋肉が極端に落ちるのを抑制することにつながります。

老衰による衰弱であればあまり無理できませんが、何らかの疾患で一過性に状態が落ち込み寝たきりに近い状態になっているケースでは、回復の兆候が見られたらリハビリとして体を支えて起立状態を保ってあげるバランス運動なども取り入れてみてもいいかもしれません。

多くはありませんが、こうした地道なケアが実り、もう立つことはできないと思った犬猫の運動機能が回復することもあります。

また回復が見られない場合でも、飼い主さんに毎日触ってもらい全身をマッサージしてもらうことは、少なくとも状態の低下したペットたちの癒しとなり、心の支えとなるに違いありません。

終わりに

ペットの運動不足は様々な原因で起こります。
適度に運動をさせていた方が健康状態を保つために良いことは明らかですが、ペットの体の状態や飼い主さんの生活スタイルの変化などでどうしても運動不足がちになってしまうこともあります。

そのような時も諦めてしまわず、その状況下でも何か改善・解決できる方法がないかどうかを模索してみましょう。

一人で解決できない場合は病院や専門施設のアドバイスをもらったり、ペットシッターさんに頼ってみたりするのも良いと思います。
そのようなサポートとつながりを作っておくことも将来的に大きなメリットとなりうるからです。

健康に問題がなければ、愛犬・愛猫が若い内からお散歩や室内運動を習慣化して、飼い主さんと一緒に健康増進を目指しましょう。

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