
夏本番前には健康チェックを
気温も上がり外での遊びも楽しいこれからの季節は、熱中症など気をつけなければならないこともいろいろありますが、あらかじめしっかり対策をして計画すればペットとの思い出がたくさん増えることは間違いありません。
そのためにも、夏の始まりである今のうちに体の健康状態をしっかりチェックし、熱中症に対する備えをするとともに、お出かけに向けた準備もしておきましょう。
4月~6月は狂犬病の予防接種月間ですので、犬を飼っているご家庭の多くはこの時期に狂犬病の予防接種を受けたと思います。
それと同時に夏~秋に予防するフィラリア感染症の抗原検査や健康診断を受けたという方も多いのではないでしょうか。
健康診断を受けた場合にはその結果を元に追加検査が必要かどうか、何らかの治療が必要かどうかを獣医師と相談し、ペットの健康維持・管理に役立てましょう。
腎臓病や心臓病、ホルモン疾患等などが指摘された場合は、夏の暑さで脱水症状を起こしやすかったり、暑さによるストレスで体調が悪化したりしやすいことがあります。
具合が悪くなってからでは対処が間に合わないこともありますので、あらかじめチェックして備えておくことは非常に重要です。
暑い季節は病気を媒介する節足動物の活動も活発になります。
もしまだノミ・ダニ予防薬、フィラリア予防薬などを準備していないのであれば、夏のお出かけの前に処方してもらい、投薬しましょう。
短頭種や肥満傾向を指摘されている犬猫は特に熱中症に注意が必要です。
パグやフレンチブルドッグなどを代表とする短頭種の犬猫は、『短頭種気道症候群』といって外鼻孔狭窄、軟口蓋過長、気管形成不全など呼吸器の異常をもともと複数抱えていることが多く、パンティングで熱を放散しなければならない暑い季節に呼吸が苦しくなりやすいことから熱中症の発生リスクが高くなります。
肥満傾向で体の脂肪が多い動物も熱がこもりやすい上に、首の周りの脂肪によって呼吸が苦しくなりやすい傾向がありますので、熱中症のリスクが高くなると考えられます。
呼吸の苦しさが重篤である場合には、本格的な暑さが来る前に外科的な処置を検討したり、肥満傾向の犬猫では可能であればダイエットをしておくことをお勧めします。
まずはかかりつけの動物病院で相談し、効果的なダイエットをできるように計画しましょう。

暑さ対策・熱中症対策はお早めに
夏と言えば暑さ対策についてもお話ししておかなければなりません。
ここ数年の気温上昇は世界的に問題になっており、屋内にいても熱中症になる人が増え続けていることから、犬や猫も室内外問わず熱中症には常に気を付ける必要があります。
まずは自宅内の温度管理に問題がないかどうか見直してみましょう。
エアコンのあるお宅では暑すぎないのはもちろんですが、冷えすぎないようにも気を付け、できれば一日を通して室内が22~26℃位で維持されるように調整すると良いでしょう。
エアコンがない場合は、扇風機やサーキュレーターなどで空気を循環させつつ風を当てることで暑さをしのげるようにし、ペット用のクールマットや冷感素材のベッドなどで体温上昇をできるだけ抑えるように工夫してみましょう。
日差しが強く当たる部屋には遮熱効果のある機能性レースカーテンを付けたりするのもある程度の効果が期待できます。
留守番の時間が長い場合は、いつでも自由に水が飲めるようにたっぷりと水を用意しましょう。
器に汲み置きの水を入れていく場合は複数箇所に水を設置したり、自動給水器を利用する、ボトルタイプの給水器を利用するなど、生活スタイルや留守番の時間を考慮してうまく使い分けましょう。
お散歩時に熱中症を起こしてしまうこともありますので注意が必要です。
外気温が高いことももちろん影響しますが、夏の強い日差しで熱せられたアスファルトの上は非常に熱く、我々よりも体高の低い犬や猫はその影響を強く受けて体温が上昇しやすいため、ヒトよりも熱中症になりやすいのです。
加えて熱いアスファルトの上を歩くことで足の裏を火傷してしまう危険もあります。
夏の暑い時期にはお散歩をする時間帯を変更して、気温や路面温度が上昇する前の朝早めの時間帯や、日が落ちて少し暑さが和らいだ夕方~夜の時間帯に行くようにしましょう。
また散歩中にも十分に水分補給ができるように飲み水をたっぷり持っていく、こまめに休憩をはさむ、暑さでバテている様子が見られたら早めに帰宅することなどを意識し、体調の変化をよく観察しながら無理せずお散歩するようにしましょう。
クールベストやネッククーラーのようなものを装着するのも効果的です。
飼い主さんも愛犬・愛猫もお互いに熱中症になってしまわないように気を付けてお散歩しましょう。

ペットと楽しむ夏ならではのアクティビティ
毎日暑くて夏バテ気味になってしまうこともあるかもしれませんが、夏だからこそできるアクティビティも沢山あります。
外遊びがあまり得意ではないワンちゃんもいるかと思いますが、今年は思い切って新しい遊びにも挑戦してみてはいかがでしょうか?
愛犬とキャンプ
週末や夏休みはキャンプというご家庭も増え、ペットも同伴できるサイトを探してペットと一緒にキャンプを楽しむ方も増えてきていますね。
キャンプ場はワンちゃんが走り回れるような広いスペースがあったり、キャンプ場周辺を一緒に散策して歩けるようなコースがあるだけでなく、ペットOKのキャンプ場の中にはリードを外して過ごせる柵が設置されていたりドッグランが併設されているキャンプ場もあり、美しい自然の中でペット達とのびのびと過ごすのにうってつけです。
ただし普段と違う環境ではしゃぎすぎて事故が起こらないようにすること、マナーを守ることなどは忘れてはいけません。
広いスペースがあり開放的だとは思いますが、許可された範囲外でリードを外して自由に走らせるのはNGです。
ドッグランやドッグフリーサイトなどがあるキャンプ場はまだ少数で、多くのキャンプ場では基本的に首輪やハーネスにリードを付けて過ごすことを義務付けています。
他の利用者に迷惑をかけることがないようにキャンプ場ごとのルールを事前に確認し、リードは必ずつけておく、迷子札を付ける、排泄物の処理は徹底して行うなど、マナーを守って過ごすことを心がけましょう。
またワンちゃんの中には慣れない環境で疲れて体調を崩したり、不安を感じているために夜もなかなか寝つけず、落ち着きなくクンクン鳴いたり吠えてしまう子もいます。
そのような状態を少しでも緩和するために、初めてキャンプに行くときには普段使っているトイレやベッド、ブランケットなど、自分の臭いの付いたものをいくつか持っていくようにしましょう。
キャンプに行くときには食事やおやつはいつも与えているものを持っていくのがベストです。
特別感を出していつもと違う食事にしてしまうと、お腹を壊して吐いたり下痢したりすることがあるからです。
また同じ理由で飼い主さんが食べているものを少しおすそ分けするのもNGです。
ローテーブルなどに食事を置いておくと、あげるつもりがなくても食べられてしまうことがありますので気を付けましょう。
ペットとのキャンプに役立つ便利なグッズもいろいろ販売されています。
コンパクトに折り畳めるサークルや屋根付きのケージ、リードを係留しておける係留ペグ、ドッグコットや犬用シュラフ、折り畳み式のフードボウル、携帯トイレ、夜間にペットの居場所がわかるようにできるペットライトや光る首輪、蛍光テープの付いたウェアなど、様々なグッズがあります。
ベッドやトイレはワンちゃん自身がキャンプに慣れるまでは普段自宅で使っているものの方が安心して過ごせて良いかと思いますが、ペットの安全を守れるグッズもあるため、出発前にどんなものがあるのかペットのキャンプ用品コーナーなどを覗いてみてはいかがでしょうか?

愛犬と川遊び・海遊び
暑い時期だからこそ、水で体を冷やしつつ遊ぶことができる川遊びや海での遊びもおすすめです。
水深の浅いところで水の中を歩くだけでも暑さが和らぎますが、水遊びが好きなワンちゃんの場合は川や海で泳いだり、飼い主さんと一緒にアクティビティに参加できるツアーなどで楽しめるかもしれません。
ただし水遊びに慣れていないワンちゃんの場合は、急に川や海に連れて行ってパニックになってしまうと危険です。
まずは自宅で水に慣れさせることから始め、体が濡れても平気になってきたら徐々に川辺や砂浜で水に足を浸けてみたり水の中で遊ぶことにも挑戦する、というように段階を踏んで慣れさせるようにすると良いでしょう。
初めて水辺へ連れていく際は、愛犬が水を怖がっていないかどうか、水に入ることができるかどうかを確認し、ある程度水深が深いところまで入っていくことができる場合には必ず犬用のライフジャケットを装着しましょう。
ワンちゃんは犬かきができるというイメージがあるかもしれませんが、愛犬が泳ぐことができるかどうかは実際に泳いでみないとわかりません。
中には足がつかないところに入り込んでパニックになってしまうこともありますので、決して目を離さないようにしましょう。
慣れれば楽しい水遊びですが、時に危険も伴います。
川や海は急に水深が深くなる部分があっても見た目だけではわかりません。
事前に水深を確認しておくなど安全確認を忘れないようにし、雨が降った後など川の水量が増えているような時には入らないようにしましょう。
また体調によっては水遊びを控えた方が良い場合もあります。
皮膚病がある子の場合は海水などの刺激で皮膚の状態が悪くなってしまうことがありますし、心臓の悪い子が冷たい水に入ったことで苦しくなってしまうこともあります。
愛犬の健康状態を考慮して、水遊びが安全にできそうかどうかをよく考えた上で計画することも大切です。
元気な子であっても、長時間水の中にいることで体温が下がってしまったり、疲れて水の流れから抜け出せなくなってしまう可能性もあります。
水遊びをする場合には飼い主さんとワンちゃんがあまり離れすぎないように見守り、疲れや体調の変化が見られたらすぐに水から上げられるようにしましょう。
水辺で遊ぶ場合は小さなお子さんをつれて行くときと同様で、決して目を離さない事、安全対策としてライフジャケットなどを装着することを心がけましょう。
最近は愛犬と一緒に参加できるカヤックやSUP(スタンドアップパドル)の体験ツアーなども増えてきています。
ワンちゃんも参加できるツアーでは犬用のライフジャケットなども用意されていることが多い上に、初めてでもインストラクターがついて指導してくれるため、比較的安全にチャレンジでき、ペットも含めた家族みんなで楽しめそうです。
この夏、ペットとの思い出作りにチャレンジしてみてはいかがでしょうか?

愛犬とハイキング・トレッキング・登山
いつものお散歩コースとは違う自然の豊かな公園や散策路などを一緒に楽しむのもおススメです。
トレッキングができるようなコースがあるところは木陰の中を歩くため街中よりも涼しく、緑の生い茂るこの季節に景色を楽しみながらゆっくりと散策するのはとても楽しい体験になります。
初めは気軽にできるハイキング、長く歩くのに慣れてきたらトレッキングコースへ、もっとアクティブにチャレンジしてみたいなら登山に挑戦というように、レベルに合わせていろいろ計画してみるのもいいかもしれません。
山道のような自然の多い場所へ出かける際にも何点か気を付けたいことがあります。
トレッキングコースや登山道などは多くの人が行き来しますので、まずはペットを連れて行ってもいい場所であるかどうかを事前に確認しておきましょう。
また天気や気温の変化にも対応できるように、飼い主さんとワンちゃん用の水を十分持つこと、雨具を用意しておくことも必要です。
山道は足場が悪く転落の危険がある場所もあるため、お互いに安全確認ができるように離れずに同じペースで歩けるようにしておくこと、いざというときにすぐ呼び戻せるようにトレーニングしておくことがとても重要です。
また不必要に知らない人に吠えたり飛びかかっていってしまうのは危険です。
リードやハーネスが外れることがないように確認しておくのはもちろんのこと、飼い主さんが愛犬をちゃんと制御できる状態であることが求められます。
草や木が多いところは、ダニなどの外部寄生虫がヒトやワンちゃんが通りかかるのを待ち構えています。
ヒトも動物も虫よけやダニ対策を忘れないようにしましょう。
自然の多い散策路では普段遭遇することのない動物と出会ってしまうこともあります。
蛇や鹿、猪などに遭遇してしまった場合は刺激せずに静かにその場を立ち去るようにしましょう。
このように注意事項が多いとうちの子には無理かも…と思ってしまうかもしれませんね。
ですが、飼い主さんと愛犬がお互いを気遣いながら一緒に自然の中を歩いたり登山をすることはとても楽しく、一緒に目標をもってやり遂げたという達成感も生まれ、これまでよりもさらに絆が強くなります。
準備はある程度必要ですが、まずは気軽にできるハイキングからチャレンジしてみてはいかがでしょうか?

終わりに
木々の緑と青空が美しい夏は、暑さにも気をつけなければいけませんが、色々な屋外アクティビティにもチャレンジしてみてほしい季節でもあります。
愛犬の性格や体力に応じてチャレンジできそうなものはそれぞれ異なるとは思いますが、お散歩も行きたがらないようなワンちゃんもキャンプ場などで飼い主さんと一緒に自然の中でお泊まりを体験することで何かが変わるかもしれません。
登山などはちょっとレベルが高く、飼い主さん自身の登山経験がないとなかなか踏み出せないステップかもしれませんが、決して無理をする必要はありませんので、まずは自分たちの経験値に合わせてのんびり楽しめるお出かけ計画を立ててみましょう。
お出かけを心から楽しむためには、お出かけ先の下調べと事前の準備がとても大切です。
実際に訪問した人の口コミなども参考に、何が必要か、どんなことに気をつけたらよいかを事前に確認しておくと良いでしょう。
また当日の天候やペットの体調に応じて、柔軟に計画を変更するようにしましょう。
大自然の中ペットと一日中一緒に過ごすことはきっと素晴らしい体験になり、飼い主さんとペットの絆がより深まることと思います。
ぜひ自分たちに合ったお出かけ計画を検討してみてください。
