【獣医師監修】 梅雨の時期に気をつけたい ― 湿気とペットの健康管理 | 著者:石川 愛美 | 公式 ウィズペティ倶楽部 会報誌

ウィズぺティ 国産ペットサプリメント
国産ドッグフード
ウィズペティ【公式通販サイト】
初めての方へ会員登録ログイン買い物かご

【獣医師監修】 梅雨の時期に気をつけたい ― 湿気とペットの健康管理 | 著者:石川 愛美 | 公式 ウィズペティ倶楽部 会報誌

TOP > 会報誌「ウィズペティ倶楽部」 > 梅雨の時期に気をつけたい ― 湿気とペットの健康管理
獣医師
石川 愛美
梅雨の時期に気をつけたい ― 湿気とペットの健康管理

梅雨の時期の体調不良の原因と注意点

梅雨の時期が近づくと、わたしたち人は「気温はあまり高くないのに、なんとなくつらいな」と感じることがあると思います。犬たちも同様に感じているケースも多く、この時期に体調を崩す背景には、暑さそのものだけではなく、蒸し暑さや環境の変化が関係していることがあります。室内の空気がべったりと重く、いつも休んでいるソファやベッドがなんとなくしっとりしているような変化が犬や猫の体に少しずつ負担をかけていきます。
湿度は温度に比べると軽視されがちですが、梅雨時の健康管理では、温度と同じくらい意識しておくと良いと思います。湿気対策として、何か特別なことをするというより、湿度が上がらないよう空気を「こもらせない」ことや、水分がある箇所を放置せず「濡れたままにしない」「傷まないように注意する」ことが重要となります。

なんとなく元気がない…その背景に潜む湿気の影響

まず覚えておきたいのは、犬は人のように全身で汗をかいて体温を下げるのではなく、主にパンティングといって舌を出し、ハァハァしながら熱を逃がしているという点です。そのため、梅雨時から始まる蒸し暑い環境では熱がこもりやすく、元気がなくなったり、食欲が落ちたり、落ち着かなくなったり、というような変化が見られることがあります。中でも熱中症は救急対応が必要な状態であり、パグやシーズー、ペキニーズなどの短頭種と呼ばれるような犬たちは、涼しく感じられる日であっても興奮やストレスなどでオーバーヒートしやすいことが知られています。
猫では不調のサインが犬ほどわかりやすく現れないこともあります。食欲が落ちたり、じっとしていたり寝ている時間が増えたり、普段と違う場所で過ごしたりするなど、「なんとなく様子が違う」という変化も気にかけておくと安心です。
湿気の問題は体調の変化だけではありません。
室内の湿度が高い状態が続くと、湿った場所が増え、カビが生えやすくなります。犬たちが快適だと感じる湿度は、わたしたち人と同様、およそ40−60%程度だと考えられています。
犬や猫は人よりも床に近い位置で生活することが多く、寝具やラグなどの湿気の影響を受けやすいと考えられています。床近くの空気が澱み、寝床が乾きづらいような住環境では皮膚や耳などのトラブルが起こりやすくなり、快適性も下がりがちです。人がジメジメすると感じるような環境は動物にとっても快適でないと考えて良いでしょう。

皮膚と耳は要注意

臨床的に梅雨時に増えやすいトラブルとしても皮膚や耳の問題があります。柴犬など被毛が密集して生えている犬種や、ダックスフントやコッカースパニエル、レトリバーなど垂れ耳の犬種、またパグやブルドッグなど皮膚のシワが多い犬たち、あるいはベースにアレルギーを持っているような体質の子たちは湿った状態が続くことで、皮膚の状態が悪化しやすく、赤みや痒み、べたつきや匂いなどのトラブルが見られることがあります。被毛の生えている犬たちは、わたしたちとは違い塗り薬のみで治療をすることは困難なため、患部の被毛を短くしたり、必要に応じて薬浴(薬用シャンプーを使用する)をしたり、場合によっては飲み薬なども併用しながら悪化を防ぐことが重要となってきます。また、ご自宅でシャンプーを行う際にはシャワーやドライヤーの温度を上げすぎない工夫も重要です。人でも蕁麻疹が出ている時に入浴すると痒みが増すように、動物も体が温まると痒みが強くなり、掻きこわしてしまうことがあります。これを防ぐため、シャワーは人が少し冷たいかな、と思う程度の温度(35度程度)で行い、泡で洗ってあげるのが基本です。シャンプー後はしっかりとタオルドライを行い、できる限り冷風で被毛を乾かしてあげることをお勧めしています。特に脇や足先は乾きづらい箇所のため、注意しましょう。場合によってはトリミングサロンやトリミング室を併設している動物病院で行うのも良いと思います。
外耳炎は湿気のみに起因するものではなく、アレルギーや寄生虫、内分泌疾患など複数の要因が関わります。耳の環境が変化すると、常在する細菌や酵母が増えやすくなることがあり、梅雨時のような湿った状態が続くと悪化因子になりえます。特に酵母は増えることで、犬たちは強い痒みを感じるため注意が必要です。
毛足が長かったり、アンダーコートが厚かったりして、被毛が乾きづらい体質の子たちは、シャンプー後や雨のお散歩の後のケアも梅雨時は丁寧にしてあげましょう。雨に濡れた被毛や足先、脇、内股や耳の付け根、カラーやハーネスの当たる部分は、拭いたつもりでも湿り気が残りやすい部分です。可能な限りタオルドライだけではなく、ドライヤーなどを使いながら根元まで乾いているかを確認しておくと安心です。※皮膚の弱い子は温風ではなく、冷風を優しく当ててあげましょう(温かい風は皮膚への刺激になり痒みが増すことがあります)
また、長毛種では暑さや高い湿度により熱中症の危険性がより高まります。犬種によってはサマーカットを検討してみるのも良いと思います。今までサマーカットをしたことがある、あるいは毎年している場合には変わらず対応していただいて問題ないことが多いですが、初めてサマーカットを検討する場合には注意が必要です。犬種によっては(個体差もありますが)一度短く切ってしまうと、被毛が生えそろうのに時間がかかったり、中にはあまり伸びてくれないケースもあります。また、生えてくる被毛の質感が少し変わることもあります。ふわふわの毛しか生えてこなかったり、被毛の色味が少し変わって見えるケースもありますので、初めてサマーカットにするときには専門家としっかりご相談された上でご検討いただくと良いと思います。

数字で見る湿度管理 除湿と換気の基本

気象庁による相対湿度によると、ここ最近では5月くらいから70%を超えて来ており、10月頃までは、60%を超えていることがほとんどのようです。気温やお住まいの地域、住環境にもよりますが、GW頃から湿度対策をしてあげると良いと思います。
家庭での対策として最も実用的なのは、室内の湿度を「感覚」ではなく、「数値」で把握することです。除湿機やエアコンのドライ機能をうまく使い、湿度計を用いて室内環境を確認する習慣をつけましょう。
また、夏場を含め外気そのものが高湿度の日は、窓をあけて換気をしても湿度管理がうまくいかないこともあります。サーキュレーターで空気を循環させたり、床に近い部分や家具の隙間に空気だまりを作らないようにしたりする工夫が有効です。特に、お留守番時間が長いご家庭では、温度とともに湿度にも目を向け、快適なお留守番環境を作ってあげると良いと思います。

寝床は「ふかふか」より「乾きやすさ」

ふかふかのベッドやブランケットを好む犬たちも多いと思いますが、湿度の高い時期はやわらかい以上に「乾きやすい」「通気性が良い」ことを優先しましょう。梅雨時は厚手で通気性の悪いベッドが湿気を抱え込みやすいクッションやブランケットなどが快適性を下げることがあります。カバーは洗濯しやすい素材を選び、こまめに交換できるよう複数枚用意しておくと良いと思います。
また、床にベッドを直置きにすると湿気が抜けづらいことがあります。すのこや通気性のあるマットなどを併用し、底面にも空気が通るような構造にするとより快適だと思います。猫では、休めるところを複数箇所用意し、その日の温度や湿度に応じて自分で移動できるようにしておくと、無理のない環境選択につながります。犬でも冷たいフローリングや玄関の石、お風呂場のタイルの上を好む、風通しの良い廊下にずっといる、というような行動は環境を見直すヒントにもなります。もちろんこれらを好んでいる場合には、無理にリビングへ誘導したり、寝床を新たに用意しなくても良いと思います。基本的には動物たちの好きな場所でゆっくりできる環境づくりをしてあげましょう。ただし、梅雨が終わり夏場に入ると、ほとんどの地域でエアコンを使用しなければならなくなると思います。全館空調を除き、ある程度は動物たちの移動できる空間が制限されると思いますので、その頃にはまた新たな環境設定が必要です。

見落としたくない食事の衛生管理

食事周りも梅雨時には今一度見直しをしておくと良いと思います。
ドライフードは、保管場所(高温多湿の場所など)によっては油分が劣化する可能性があります。湿度や温度の高い時期には、普段より小さめの規格のパッケージに切り替えたり、高温多湿を避けるなど保存の場所を見直したりするなど、パッケージ内でカビや細菌などが繁殖しづらい工夫をすると良いと思います。様々な災害などにより、ストックをしているご家庭が多いと思いますが、特に夏場はストックの場所や量を見直し、せっかく貯めているのものが無駄にならないよう、注意しましょう。
ウェットフードは、必要量だけを与え、開封した残りのものは必ず冷蔵保存を行い、長くても2日以内(夏場はできれば1日以内)に使用しましょう。お腹が強い子は冷蔵保存したものをそのまま与えても問題ないこともありますが、寒暖差があったり、季節の変わり目など、犬たちがストレスを感じやすい場合には、電子レンジなどで人肌程度に温めてから与えるようにしましょう。中には冷たい食事を好む犬たちもいると思います。食事の温度の好みは、犬によって様々なので、体調を崩さない程度に好みの温度を見つけてあげると良いと思います。
気温が極端に高くなくても、蒸し暑い日は体がなんとなくだるくなることがあり、飲水量にも変化が出てくる子もいます。お水は「置いてあるから大丈夫」ではなく、「新鮮で飲みやすい状態か」どうかをしっかりと確認しておきましょう。
まず、飲用水は新鮮なものを用意できるよう、心がけましょう。飲水用のお皿は毎日必ず洗い、ヌメリを残さないよう、注意しましょう。また、お水はこまめにとりかえてあげましょう。また、ボトルポンプを使用している場合には口金の部分を洗うのを忘れないようにしましょう。循環式の給水機をご使用の場合は見える部分以外の洗浄を忘れないように気をつけてください。
湿気の多い季節は目に見えない汚れが匂いの原因となることもあり、少し風味が変わるだけで飲水量が減ってしまうこともあります。もともとあまりお水を飲まないタイプの子たちは蒸し暑い時期だけでもドライフードをお水でふやかしたり、ウェットフードに切り替えるなど、トータルで水分摂取量が減らないよう、気をつけておきましょう。

受診の目安 「季節のせい」で済ませないために

どの段階で受診をすべきでしょうか。
耳の状態にせよ、皮膚の状態にせよ、普段と違う様子が見られたら早めにかかりつけの獣医師にご相談されると良いと思います。特に4月から6月は狂犬病の接種期間(令和9年より通年接種へと移行予定です)でもあるため、一度は動物病院を訪れると思います。また、お住まいの地域によって多少の差はあると思いますが、ゴールデンウィーク前後にはフィラリア検査を行うために動物病院へ足を運ぶ方が多いのではないでしょうか。ワクチン接種であろうが、フィラリア検査であろうが、皮膚や耳の状態を含め、全身で気になることは、ぜひこの時期に獣医師にご相談されると良いと思います。
また、食欲低下が続いていたり、元気がなくなってきたりするような場合には、あまり様子を見ずに動物病院を受診してください。
梅雨時は季節の変わり目でもあり、体調を崩しやすい時期ではありますが、普段と異なる様子が見られたら、様子を見過ぎないことも、病気の見逃しを防ぐひとつのポイントです。

梅雨は「不快な季節」ではなく 環境を見直す好機

梅雨の健康管理で大切なのは完璧を目指すことではありません。温度と湿度をしっかりと確認すること、寝床を乾いた状態に保つこと、濡れたら早めに乾かすこと、食器を清潔な状態に保つこと、そして普段と違うサインを見逃さないこと。これらの積み重ねが結果として大きなトラブルを防ぎます。
人にとっても過ごしづらい季節は、犬や猫たちにとっても同様、過ごしづらいものです。湿気そのものを避けることはできなくても日々の環境を調整することで、ある程度快適さは維持できます。毎年やってくる梅雨だからこそ、今年は一歩先回りした管理を心がけてみるのはいかがでしょうか。

ページ先頭へ SSL グローバルサインのサイトシール