フレンチブルドッグの特徴について
幅広で短いマズル、しわだらけのお顔が愛嬌たっぷりです。
コウモリの羽のような立ち耳、少し離れた大きな眼、幅広で短いマズルが、フレンチブルドッグ独特の愛嬌を醸し出しています。
被毛は滑らか短毛で抜け毛は多いです。様々な毛色がありますが、フォーン、ブリンドル、及びそれぞれの毛色にホワイトの斑があるものがベースとなっています。
オスの体高は27cm~35cm、メスの体高は24cm~32cmとされています。オスの体重は9kg~14kg、メスの体重は8kg~13kgとされています。
コンパクトなボディですが、骨太で筋肉が豊富ながっしりとした体つきです。しっぽは通常短く、ほとんど振る事はできません。
フレンチブルドッグの性格について
明るく活発です。
性格は明るく遊び好きで、友好的です。さらに、愛情深く家族に接してくれます。寂しがりやな子が多いので、お留守番が多いご家庭には向いていないかもしれません。
また、飼い主が甘やかして育ててしまいますと、本来闘犬の遺伝子が組み込まれているためか、攻撃的な面が出てきてしまうこともあります。仔犬の頃からたっぷりとコミュニケーションを取って愛情を注ぎつつ、飼い主がコントロール出来るように育てましょう。
フレンチブルドッグの飼い方(日常の世話)について
温度管理、皮膚のケアが重要です。
暑さに非常に弱く、フレンチブルドッグにとって日本の夏は非常に厳しいものとなります。食欲旺盛の為肥満になりやすいので、栄養管理及び適度な運動が必要です。しかし、フレンチブルドッグは暑さに非常に弱いため、温度及び湿度が高い日の過度な運動は厳禁です。暑さ対策として、首の周りに保冷剤を付けたり、気化熱で体温が下がる洋服などが利用されています。
皮膚が敏感な子が多く、皮膚疾患が多い犬種と言えます。鼻のしわの間や尻尾の根元のしわの部分に汚れがたまりやすいため、定期的なチェックをお勧めいたします。また、眼球が大きくやや突出して傷つきやすいため、眼を開けづらそうにしているなどの気になる様子が見られたら動物病院で診てもらうことをお勧めいたします。
フレンチブルドッグの歴史・起源について
イングリッシュブルドッグが基礎になっていると言われています。
フレンチブルドッグの起源には諸説ありますが、イングリッシュブルドッグを基礎にパグやテリアを交配して作出されたという説が一般的です。
1800年代にパリで生まれ、ネズミ捕りに使われていましたが、その独特な外見によって上流社会や芸術家の世界に受け入れられ急速に広まり、愛玩犬として飼われるようになりました。日本では昭和初期には数多く飼育されていましたが、その後人気は衰えてしまいました。2000年代に入ってから人気が復活し、飼育頭数が急増しています。
フレンチブルドッグの気を付けたい病気について
フレンチブルドッグは病気が多い犬種と言えます。
フレンチブルドッグは、他の犬種に比べると治療を必要とする病気を持っている割合が高いという統計が出ています。これは、短頭種により呼吸器に問題を抱えている場合が多いこと、しわが多いため蒸れて皮膚炎を起こしやすいこと、軟骨異栄養性犬種であること、などが起因すると考えられています。
・短頭種気道症候群
フレンチブルドッグ、イングリッシュブルドッグ、パグなどの短頭種に見られる気道の解剖学的な異常による呼吸器症状のことを短頭種気道症候群と呼びます。
短頭種気道症候群は、鼻から喉までの上部気道の閉塞が特徴とされています。上部気道の閉塞から、スターター音と呼ばれるいびきのような呼吸音が見られ、吸気努力と呼ばれる息を吸いにくい状態が見られるようになります。換気が難しくなってしまうことから、高体温もよく見られます。パンティングと呼ばれる開口呼吸が見られている時は、すぐに処置が必要です。誤嚥性肺炎を起こしてしまうこともありますが、パグよりもフレンチブルドッグ、イングリッシュブルドッグで発生率が高いとされています。
・熱中症
熱中症は、高温多湿環境下において、高体温および脱水によって生じる全身性の疾患です。
犬の熱中症は、高温多湿環境への長時間の曝露、熱放散能の低下、過度の運動、などが原因となりますが、条件が揃えば30分程度の運動でも熱中症が起こることがあります。
熱放散能が低下する要因としては、短頭種、肥満、呼吸器疾患や心疾患の悪化、などが挙げられます。
熱中症の症状としては、頻呼吸、頻脈、粘膜のうっ血や充血などが挙げられます。より重篤になりますと、虚脱、運動失調、嘔吐、下痢、流涎、意識消失などが認められます。
熱中症に伴い高体温になると、細胞を構成する蛋白質が変性し全身の臓器の機能が障害を受けます。高体温の状態が持続すると、脱水に加えて細胞障害がより一層深刻になり多臓器不全に陥ります。
・チェリーアイ
チェリーアイとは、第三眼瞼(瞬膜)の基部に存在する第三眼瞼腺(瞬膜腺)が眼窩内から脱出した状態のことを言います。第三眼瞼腺が脱出することで、サクランボのような赤く腫れたできものとして確認されます。サクランボのように見えるため、チェリーアイと呼ばれています。これは飼い主様もすぐに気付くことが出来ます。
第三眼瞼腺が脱出していると犬自身は痛みや違和感により、前肢で顔を掻いたり、顔をこすりつけようとします。この時に脱出した第三眼瞼腺は刺激されてしまい、涙や眼脂が増えてしまうこともあります。眼球を傷つけてしまい、角膜炎や結膜炎が続発することもあります。
・アトピー性皮膚炎
遺伝的素因を背景とした、慢性の痒みが見られる皮膚疾患です。アトピー性皮膚炎の発症には多くの要因がありますが、室内飼育の犬ではハウスダストマイトが最も認められる要因です。
発症年齢は一般的に6ヶ月~3歳頃が多いとされています。痒みから誘発された自傷により脱毛、糜爛、潰瘍、苔癬化、色素沈着などを引き起こします。
・膿皮症
細菌感染が原因となる皮膚疾患を膿皮症と呼びます。膿皮症は、細菌感染の深さにより表在性膿皮症と深在性膿皮症に区別されます。
表在性膿皮症は、表皮や毛包への細菌感染で引き起こされます。皮膚表面の赤み、痒みなどが見られ、表皮小環と呼ばれる円形の鱗屑が見られます。色素増加もよく認められます。
深在性膿皮症は、毛包よりも深い組織に細菌感染が起こることで発症します。細菌感染を受けた毛包に潰瘍が形成されます。とくに体重がかかる箇所や胴体に見られることが多く、脱毛、皮膚組織の浮腫、炎症が見られます。病変部位が大きく、暗赤色である場合、とくに細菌感染が重度であるとされています。
・椎間板ヘルニア
椎間板ヘルニアにはHansen Ⅰ型とHansen Ⅱ型があり、Hansen Ⅰ型は椎骨と椎骨の間のクッションの役割である椎間板の弾力性の低下によって変性した髄核が脱出する急性の疾患です。Hansen Ⅱ型は椎間板の加齢性変化によって線維輪が背側へ突出する慢性の疾患です。
椎間板ヘルニアの発生個所には頚部と胸腰部があります。頚部椎間板ヘルニアでは、頚部痛、四肢の歩行異常などが見られます。胸腰部椎間板ヘルニアでは、背部痛、両後肢の歩行異常、深部痛覚の消失などが見られます。
フレンチブルドッグの価格相場について
45万円前後になります。
フレンチブルドッグは45万円前後になります。
メスはオスよりもの少し高くなります。
毛色によっても少々価格が変わり、フォーン、パイドなどが高価になるようです。
獣医師から見たフレンチブルドッグを飼う際のアドバイス
健康面には常に注意が必要です。
日本の夏に弱い、皮膚疾患になりやすい、肥満になりやすい、など健康面に関しては常に気を配っていなければなりません。
対策をとるなど飼い主さんもわかってはいても、夏に熱中症にかかってしまうフレンチブルドッグは非常に多いです。
フレンチブルドッグを迎える際は、信頼出来る動物病院が重要になります。
フレンチブルドッグの性格面に関しては、明るく友好的な子が多いので大きな心配は要りませんが、興奮しやすい子が多いので、なるべく興奮させない、興奮してもすぐにクールダウンさせるなど、対策が必要になる場合もあります。
フレンチブルドッグの飼育チャートについて
性格的には友好的な子が多くお勧めできる点ではあるのですが、高温に弱い、病気が多いなど、初心者には飼いづらい犬種かと思います。
初心者 | 5 初心者には普通程度の飼いやすさ |
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しつけ | 5 しつけのし易さは普通程度 |
お手入れ | 2 お手入れはやや難しい |
気性 | 5 気性は普通程度 |
多頭飼育 | 5 多頭飼育のし易さは普通程度 |
散歩 | 5 必要な散歩量は普通程度(30分~1時間程度) |
病気 | 2 病気にはやや弱い |
抜け毛 | 2 抜け毛はやや多い |
吠え方 | 5 吠え方は普通程度 |
におい | 5 臭いは普通程度 |