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執筆獣医師:齋藤厚子先生
[記事公開日]  [最終更新日]
[ 目次 ]

ラグドールの特徴について

ぬいぐるみのようなフサフサの大型猫です。

ラグドールはその名の通りぬいぐるみのようなフサフサの被毛に包まれた大きな猫です。

特徴はセミロングの豊かな被毛と大きな体です。
被毛の色はホワイトを基調とした淡い色合いで、顔の周りや耳、四肢の先端、尻尾などに濃い茶色、ブルー、チョコレートなどの色がついたポインテッド、ポインテッド&ホワイト、ミテッド(四肢の先端だけが靴下をはいたように白い模様)などのパターンが多くみられます。
毛の長さはセミロングで尻尾までフサフサですが、毛質はサラサラしてもつれにくく、長毛種のわりに抜け毛も少なめのためお手入れは比較的しやすい方です。

頭はやや丸みを帯びた幅広で中くらいの大きさ、たまご型の大きな目は目尻がやや吊り上がり色は薄いブルー、耳は中くらいの大きさで先端はやや丸みを帯びています。

体は大きく長方形で筋肉質です。
足も骨太でがっしりしており、足の長さは中くらい、前足よりも後ろ足の方がやや長めです。

他の大型の猫と同様に成長はゆっくりで、被毛の色が完全に現れるまでに約3年(仔猫の時はほぼホワイトのことが多い)、体の成長が止まるまでに3~4年かかります。

ラグドールの性格について

のんびりしたおだやかな性格です。

ラグドールは全般的におだやかな性格で、抱っこが大好きな甘えん坊気質です。
抱き上げると力を抜いて体を預けてくることから「ラグドール(ぬいぐるみ)」という名がつけられました。

知的なためしつけもよく覚え、飼い主さんに従順でついて歩くこともあるため、「puppy cats(仔犬のような猫)」と呼ばれることもあります。

一方で物怖じしない性格のためか、少々機敏さにかけ、鈍感な一面もあるようです。
子供や他のペットとも仲良くできる猫ですが、怪我をしないように少々気を付ける必要があります。

ラグドールの飼い方(日常の世話)について

定期的にブラッシングしてあげましょう。

被毛はもつれにくいとはいえ、やはり長毛種ですので、適度にお手入れしてあげることは必要です。
抱っこが好きな猫なのでスキンシップも兼ねて週1~2回はブラッシングし、きれいな毛並みを保ってあげましょう。

怪我の予防のためにも室内飼育を徹底しましょう。

物怖じしない性格のため、猫同士のケンカや犬による咬傷事故、交通事故などに注意が必要です。
それらのリスクを回避するためにも室内飼育を徹底することが重要です。

ラグドールの歴史・起源について

アメリカで人為的に生み出された猫です。

ラグドールは1960年代にアメリカのブリーダーによって生み出された猫です。

白のペルシャとシールポイントのバーマンを交配し、さらにその仔猫にセーブルのバーミーズを交配させてラグドールの基礎となるシールポイントの長毛種の猫が生み出されました。
そこからさらに改良を重ね、美しいブルーアイを持つ大型の長毛種である現在のラグドールが誕生しました。

ラグドールの気を付けたい病気について

肥大型心筋症に注意が必要です。

肥大型心筋症は心臓の筋肉が肥厚することで心臓の内腔が狭くなり、全身にうまく血液を送り出せなくなる心臓の病気です。
重症化すると、循環不全、呼吸不全、動脈血栓塞栓症などを発症し、命にかかわります。

発症してしまうと根治する治療方法はなく、できるだけ早期発見して進行を抑制していくことが重要です。

発症には遺伝的な素因が関与しているとされており、ラグドールでは家族性の発症も報告されています。

毛球症を予防しましょう。

長毛種のため、自身で毛づくろいしたときに飲み込んでしまう被毛によって、消化管の通過障害が起こる毛球症をおこしやすい傾向があります。
毛球ができにくいフードや毛球症予防の潤滑剤を定期的になめさせて予防する方法もありますが、ブラッシングをすることで抜け毛を取り除いてあげることも発症予防に効果的です。

尿石症にも気を付けましょう。

他の猫と同様、尿石症が起こることがあるため、排尿状態に気を付けましょう。
尿石症では尿の中に結晶や結石ができ、その刺激によって膀胱炎症状を起こしたり尿道閉塞が起こったりします。
頻尿や血尿、排尿時の痛み、トイレに入っているのに尿が出ないなどという症状はその重要なサインです。

尿石の中でもストルバイト結晶・結石であれば食事療法によって溶かして治療することができますが、ラグドールでは溶解することのできないシュウ酸カルシウム結晶・結石ができやすい傾向があるようです。

シュウ酸カルシウムは結石になってしまうと手術による結石の摘出が必要になりますので、定期的に尿検査を受け、結晶の段階で治療できるようにしましょう。

ラグドールの価格相場について

月齢によって変動が大きい傾向があります。

ラグドールの価格は25万円前後が多くみられますが、どこで購入するか(ブリーダー、ペットショップなど)、血統などによって15~50万円と幅があります。

また月齢が上がると比較的大きく成長しているため、10万円以下の価格でも販売されていることがあります。

獣医師から見たラグドールを飼う際のアドバイス

若い内から健康診断を受けるようにしましょう。

ラグドールで家族性の発症がみられる肥大型心筋症は、進行してしまうと呼吸状態が悪化したり運動不耐性が現れるなど、生活の質を著しく低下させてしまう疾患です。

発症を予防する方法は現段階ではありませんが、早期発見できれば進行を抑制するための治療方法があります。

そのためにもワクチン接種時などに健康診断を受けるようにし、早期発見に努めましょう。

ラグドールの飼育チャートについて

性格は非常におだやかでスキンシップも好む飼いやすい猫です。
体は大型ですがめったに大きな声で鳴くこともないため、共同住宅などでも気を使う必要があまりありません。
大人になると運動量が落ちる傾向があるので、時間のある時にはたっぷり遊んであげるようにしましょう。

初心者  9 初心者でも非常に飼いやすい
しつけ  9 しつけは非常に簡単
お手入れ  7 お手入れはかなり楽
気性  10 気性は非常に穏やか
多頭飼育  9 多頭飼育は非常にし易い
運動量  5 運動量は普通程度
病気  8 病気にはかなり強い
抜け毛  5 抜け毛の量は普通程度
鳴き方  9 ほとんど鳴かない
におい  8 あまり臭いがない
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