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執筆獣医師:齋藤厚子先生
[記事公開日]  [最終更新日]
[ 目次 ]

シャンティリーの特徴について

フワフワな毛に覆われた金色の目を持つおしゃべりな猫です。

シャンティリーはアメリカで生まれたセミロングの毛に覆われたエレガントな猫です。
フワフワな毛の中で光る金色の目が美しく、か細い声でたくさんおしゃべりする猫としても知られていますが、日本ではなかなか見かけない品種です。

体の大きさは中型です。
頭の形は三角形で、頬骨が高く突き出ており、耳の大きさは中くらいで左右に離れてついており、中から飾り毛が生えています。

特徴である被毛はセミロングで、アンダーコートのないシングルコートです。
首回りにはたてがみのように豊かな毛をたくわえ、全身の毛はシルクのように滑らかで、尻尾の先までフワフワな毛で覆われています。
被毛の色はブラック、ブルー、チョコレート、シナモン、ライラック、フォーンなどがあり、毛色のパターンはソリッドカラーのみです。
毛の色が完成するまでには2~3年かかると言われています。

目は目尻がやや上がった楕円形で、色はゴールドです。
歳をとるとともに目の色が少しずつ濃くなっていくという特徴があります。

典型的なシャンティリーはチョコレート色の被毛と金色の目をしており、バーミーズをセミロングにしたような外見をしていますが、バーミーズとは血縁はありません。

シャンティリーの性格について

フレンドリーでおしゃべりな猫です。

シャンティリーはとてもフレンドリーな猫で、人にもよく懐き、飼い主さんの膝の上に乗ることも好きな猫です。
おしゃべりな猫としても知られていますが、小鳥がさえずるようなか細い声で鳴くことから「さえずる猫」とも言われます。
猫とのコミュニケーションを楽しみたい人に向いている猫です。

子供や他のペットがいる家庭でも飼育できますが、寂しがり屋のため、長時間留守にすることの多い家庭よりは常にだれかが家にいるような家庭での飼育の方が向いています。

穏やかな性格ですが遊ぶときは活発です。

シャンティリーは基本的には穏やかな性格です。
しかし常にじっとしているわけではなく、遊ぶときには活発に遊びます。
時間のある時に遊び相手をしてあげるとさらに飼い主さんとの絆が深まるでしょう。

シャンティリーの飼い方(日常の世話)について

被毛のお手入れをこまめにしてあげましょう。

シャンティリーはセミロングの毛ですがアンダーコートがないため、抜け毛はそれほど多くありません。
ブラッシングは週に1~2回でも十分と言われますが、美しい被毛を保つためにはこまめなブラッシングが欠かせません。
できるだけ毎日ブラッシングしてあげ、ツヤツヤふわふわの毛を保ってあげましょう。

定期的に耳のチェックをしましょう。

シャンティリーは耳垢が溜まりやすい猫です。
耳の病気に発展させないために、ブラッシングの際は耳のチェックも一緒にするようにしましょう。
耳の汚れがある場合には、イヤークリーナーなどをコットンに含ませて優しく拭きとってあげましょう。

シャンティリーの歴史・起源について

始まりはニューヨークのブリーダーのもとにやってきた2匹の猫です。

シャンティリーの始まりは1960年代のアメリカのニューヨーク州でした。
1967年ごろ、ニューヨークでブリーダーをしていたジェニー・ロビンソンはセミロングでチョコレート色の被毛と金色の目を持つ2匹の猫を入手しました。
1969年、この2匹の間に同じ特徴を持つ6匹の子猫が生まれ、1970年代に「フォーリン・ロングヘアー」としてACAに登録しました。

しかしその後、ブリーディングを引き継いだ他のブリーダーにより名前がふさわしくないとして名前を「ティファニー(Tiffany)」に変更・再登録されました。
ティファニーはその後、登録頭数が少ないことから品種としての記録を抹消され、絶滅の危機に瀕してしまいます。

ちょうどそのころ、カナダのとある地主の元にセミロングでチョコレート色の被毛に金色の目を持つ猫が迷い込み、同様の特徴を持つ子猫を生みます。
これらの猫はカナダのブリーダーに引き渡された後、絶滅の危機に瀕していたティファニーの存続のために交配され、1980年代、ティファニーが再興され始めました。

ところが1992年、イギリスの猫種登録団体に「ティファニー(Tiffanie)」という名前の猫が誕生して登録されたことが判明し、混乱を避けるために「シャンティリー」として再び登録し直されました。

現在でもアメリカやカナダでは「シャンティリー/ティファニー」として知られている猫です。

シャンティリーの気を付けたい病気について

外耳炎に注意しましょう。

シャンティリーは耳垢が溜まりやすく、耳が汚れやすい傾向があります。
耳垢が溜まったままでいると細菌などが繁殖しやすく外耳炎になりやすいため、ブラッシングの際などに耳の中の様子をチェックすることを習慣にし、汚れている場合にはイヤークリーナーを含ませたコットンなどで優しく拭きとってあげましょう。

耳をしきりに痒がっている場合や臭いがする場合、耳の奥が汚れている場合には、自宅で無理に掃除せず、一度病院を受診して炎症などが起こっていないかどうか見てもらうことをお勧めします。

シャンティリーの価格相場について

日本ではあまり見かけない猫です。

シャンティリーは日本ではあまり認知度が高くない猫です。
国内のブリーダーや販売しているペットショップの情報はありませんので、家族に迎えたいとお考えの場合は海外からの輸入が必要になるでしょう。

海外での子猫の価格については不明ですが、生体価格に加え輸入にかかる輸送費や輸入代行業者などへの仲介料などが加算されるため、価格は高額になることが予想されます。

獣医師から見たシャンティリーを飼う際のアドバイス

寂しさがストレスになりやすい猫種です。

シャンティリーは人と一緒にいることを好む猫です。
一人ぼっちで過ごす時間があまりにも長いとストレスを感じ、体調不良の原因にもなりかねません。

家族が多い家庭であればだれかが家にいるように工夫するようにし、一人暮らしの場合は生活スタイルがシャンティリーと暮らすのに向いているかどうか事前によく検討する必要がありそうです。
性格的に多頭飼育も可能ですので、状況に応じて検討すると良いかもしれません。

シャンティリーの飼育チャートについて

性格は穏やかで、小さな子供がいる家庭や他のペットがいる多頭飼育家庭でも飼いやすい猫種です。
声はそこまで大きくはありませんがおしゃべりな猫なので、鳴き声を気にしなければならないような集合住宅の場合は少し気を付けなくてはなりません。
日本ではなかなかお目にかかれない品種です。

初心者  6 初心者には普通程度の飼いやすさ
しつけ  6 しつけのし易さは普通程度
お手入れ  5 お手入れのし易さは普通程度
気性  8 気性はかなり穏やか
多頭飼育  7 多頭飼育はややし易い
運動量  5 運動量は普通程度
病気  7 病気にはかなり強い
抜け毛  7 抜け毛はかなり少ない
鳴き方  2 やや鳴く
におい  5 臭いは普通程度
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