ピーターボールドについて【獣医師執筆監修】猫種辞典・猫図鑑
ピーターボールドの特徴について
無毛~ごく短毛の毛で覆われた細身のエレガントな猫です。
ピーターボールドはヘアレスキャットの一種であるドンスコイとオリエンタルショートヘアーの交配によって生まれた新しい猫種です。
被毛は全くない~ほとんどない、あるいは針金のようなごわごわした毛が密に生えているのが特徴です。
体は中型のオリエンタルタイプで、胴体はほっそりとして長く、華奢に見えますが実は筋肉質です。
手足も尻尾も細くて長く、毛のない尻尾は鞭のようです。
頭は小さく、頭の形は長めの逆三角形です。
額が平らで頬骨が高く、やや長めのマズルに小さな顎、大きくて離れた耳が目立ちます。
目はアーモンド型でやや吊り上がり気味、目の色は豊富ですべての色があり、毛色との関連性は特にありません。
最大の特徴はその被毛で、無毛の遺伝子ではなく脱毛の原因となる遺伝子によってその特徴が現れます。
被毛の長さ・量・毛質によって以下のように分けられています。
ボールド(無毛種)
・ウルトラボールド:毛が生えない完全な無毛タイプ
・フロック/シャモア:体のところどころに毛が生える(体の90%ほどが無毛)
・ベロア:全身に桃のような短い産毛が生える(体の70%ほどが無毛)
へアリー(有毛種)
・ストレートへアリー:直毛、普通の短毛猫と同様(脱毛遺伝子を持たない個体)
・ブラッシュへアリー:ワイヤーヘアー、針金のような5mmに満たない短い毛が全身を密に覆う
被毛が生えるか生えないかによってボールドとへアリーの2タイプに分かれ、さらにボールドの中では毛の生える範囲によって3タイプ、へアリーの中では毛質によって2つに分かれます。
被毛の色も豊富ですべての種類が存在し、無毛のタイプは肌色をしています。
ピーターボールドの性格について
陽気でやんちゃです。
ピーターボールドはやんちゃに遊ぶのが大好きな陽気で活発な猫です。
とても人懐こく甘えん坊な愛らしい猫ですが、飼い主さんへの依存がやや強いことが多いため、一人ぼっちになることはあまり好きではありません。
社交的で家族に対する愛情が深く、小さな子供や他の同居動物とも仲良くすることができるため飼いやすい猫です。
構ってほしい時や要望があると鳴いてアピールすることが多いですが、声は小さめです。
賢く好奇心が強い猫です。
非常に頭がよく、しつけもしやすい猫です。
好奇心が強くいろいろなものに興味を持つので、いたずらされて困るものや危険なものは手の届かないところにあらかじめ片付けておく方がいいでしょう。
ピーターボールドの飼い方(日常の世話)について
肌のお手入れが必要です。
ピーターボールドは無毛~毛が少ないため、分泌された皮脂が毛になじんで拡散されず、皮脂でべたつきがちです。
そのため、体質に合わせてこまめにお手入れをしてあげる必要があります。
皮脂がべたつく場合には暖かい蒸しタオルで拭き取ったり、定期的にシャンプーしてあげるようにしましょう。
特に皮膚の皺の間には皮脂が溜まりやすく、そのままでは皮膚炎の原因になることもありますので丁寧に拭き取ってあげましょう。
室温管理を徹底しましょう。
毛が非常に少ないため、寒さに対する耐性がありません。
寒くなり始める秋口から冬にかけては寒さ対策を徹底してあげる必要があります。
室温は暖房やエアコンなどでできるだけ暖かく保ち、必要に応じてペット用の服を着せたりヒーターマットを使用すると良いでしょう。
また夏場は逆に熱中症に注意が必要です。
他の猫に比べて体温調節があまり上手にできないため室内飼育が必須で、室温管理はしっかりしてあげる必要があります。
紫外線対策も必要です。
皮膚が毛で厚く覆われている猫に比べ、皮膚が露出しているため、紫外線に対する配慮も必要になります。
強い紫外線にさらされることによって皮膚障害や皮膚の腫瘍などの発生リスクが上がってしまいます。
特に日差しの強い初夏~夏の期間は注意が必要です。
基本的には室内で飼育し、窓にはUVカット効果のあるレースカーテンやフィルムなどを設置して直射日光がピーターボールドの肌に直接当たらないように工夫しましょう。
ピーターボールドの歴史・起源について
ロシアで誕生した新しい猫種です。
ピーターボールドは1990年代、ロシアのサンクトペテルブルグで誕生しました。
ロシアのネコ科動物研究家であるオリガ・マリノワが、ロシア生まれのドンスコイとオリエンタルショートヘアーを実験的に交配させると4匹の子猫が誕生しました。
このうちノクターンと名付けられたオスは短く滑らかな桃の表面のような短い産毛が密生して生えており、ノクターンとオリエンタルやシャムのメスを交配させて誕生した猫が高い評価を得て、後にピーターボールドという名で呼ばれるようになりました。
ピーターボールドの名前はサンクトペテルブルグ(St.Peterburg)と無毛(bald)をもじって名付けられました。
1996年にはロシアの品種登録団体SFFに公認され、1997年にはTICAに予備登録された後2005年には正式に猫種として認定され、2003年にはWCFにも公認されています。
ピーターボールドはその遺伝子を健全に保つため、ドンスコイやオリエンタル、シャムなどとの異種交配が認められていますが、シャムの長毛種であるバリニーズやオリエンタルの長毛種との交配、また同じく無毛で有名なスフィンクスとの異種交配は認められていません。
ピーターボールドの気を付けたい病気について
歯の形成異常が起こることがあります。
ピーターボールドの元となったドンスコイの遺伝子には歯の形成異常が起こる可能性が指摘されています。
その影響から、ピーターボールドも歯の異常が起こることがあるため、健康診断などの際には口腔内のチェックもしてもらうようにしましょう。
乳汁分泌障害が起こる可能性があります。
乳汁の分泌にも異常が起こることがあり、授乳中の母猫が乳腺炎になってしまうことがあるようです。
周産期・授乳期は特に体調の変化が起こりやすい時期でもありますので、食欲や活動性に気を付けてよく観察し、元気がない、熱っぽい、おっぱいが固く腫れているなどという場合にはすぐに対応できるようにしておきましょう。
皮膚病や皮膚の変化に気を付けましょう。
皮膚を守る被毛が少ない(または全くない)ため、外界の刺激がダイレクトに皮膚に刺激を与えやすく、紫外線による皮膚障害や細菌感染、真菌感染などの感染症に注意が必要です。
被毛が少ない分皮膚の状態は把握しやすいので、皮膚が赤い、痒がっている、化膿している、フケが多いなど、いつもと違う様子があった場合にはできるだけ早く病院を受診しましょう。
ピーターボールドの価格相場について
「高級猫」とも言われる猫です。
ピーターボールドは比較的新しい品種で、世界的にもまだまだ希少な猫です。
日本ではほとんど見かけることはなく、国内ではブリーダーや販売しているペットショップの情報はありませんので、入手するためには海外のブリーダーを探して輸入することになります。
価格は20~60万円ほどとも言われており、ブリーダーによって(あるいは被毛のタイプによって)かなり幅があるようです。
キャットショーなどに出場するような血統の場合はさらに高額になることもあります。
輸入の際には子猫の生体価格だけでなく輸入にかかる輸送費や輸入代行業者などへの仲介料などが加算されるため、価格は非常に高額になることを覚悟する必要がありそうです。
獣医師から見たピーターボールドを飼う際のアドバイス
怪我に気を付けましょう。
体を守る被毛がない~少ないため、活発に遊んでいる最中に家具の角や突起物などに接触して思わぬ怪我をすることがあります。
あらかじめ怪我の原因になりそうなところにはコーナークッションを設置し、尖ったものや怪我の危険があるものは撤去するなど、予防策を講じておく方がいいでしょう。
また猫同士のケンカやじゃれあいでも爪や牙などによって怪我をするリスクが高いと考えられますので、多頭飼育する場合には特に気を付けて様子をみてあげる必要があります。
ピーターボールドの飼育チャートについて
陽気で活発な愛らしい猫ですが、独特な皮膚・被毛を持つため、そのお手入れには少し手をかけてあげる必要があります。
甘えん坊な分寂しがり屋なため、一人でお留守番することがあまり多くならないように家族で協力して配慮してあげるようにしましょう。
| 初心者 | 3 初心者にはやや飼いづらい |
|---|---|
| しつけ | 8 しつけはかなり簡単 |
| お手入れ | 2 お手入れはやや難しい |
| 気性 | 8 気性はかなり穏やか |
| 多頭飼育 | 8 多頭飼育はややし易い |
| 運動量 | 5 運動量は普通程度 |
| 病気 | 6 病気への強さは普通程度 |
| 抜け毛 | 10 抜け毛は非常に少ない |
| 鳴き方 | 4 普通程度に鳴く |
| におい | 3 やや臭う |











