パピヨンの特徴について
パピヨンとは、フランス語で蝶を意味します。
大きな立ち耳が羽ばたく蝶のように見えることから、フランス語で蝶を意味するパピヨンという名前を着けられられました。絹糸のような被毛や優美な立ち姿から、古くから愛玩犬として親しまれてきました。
垂れ耳のパピヨンもおり、そのような個体ハファーレンと呼ばれています。
パピヨンの毛色は、白地であれば全ての色が認められています。体や四肢は白の割合が多いのが好ましいとされています。大きく広がった飾り毛を持つ耳に加えて、顔、しっぽ、体の各部に飾り毛があります。成長とともに美しさが一層引き立っていきます。
体高は20~28cm、体重は1.5~4.5kgとされています。
ほっそりとした体つきですが、丈夫で飼いやすく、初心者にもお勧めできる犬種です。
パピヨンの性格について
利口で活発ですが、プライドが高い傾向があります。
利口で活発なので、訓練には意欲的に取り組みます。一方で、気が強く、プライドが高い傾向があるので、甘やかさずに接する必要があります。甘やかしてしまいますと、わがままな面がエスカレートしてしまい、自己中心的な神経質な犬になってしまうこともあります。攻撃的な面が出ないように注意しましょう。
厳しすぎるしつけにも向いていません。失敗を叱るのではなく、出来たことをしっかり褒めてあげて、長所を伸ばすようにしてあげましょう。
パピヨンの飼い方(日常の世話)について
被毛がもつれないようにケアしましょう。
フワフワとした被毛は、比較的もつれにくく、お手入れは難しくはありません。週に数回程度のブラッシング、定期的なシャンプーをおこないましょう。
活発なので運動は好みますが、運動量は少なめでも良いかと思います。毎日30分程度散歩すると良いでしょう。アジリティやフライボールなどのドッグスポーツもお勧めですが、四肢が強くないため、激しい運動には注意が必要です。
音に対して少々敏感なところがありますので、ちょっとした物音に対して甲高い声で吠え続けることがあります。集合住宅で飼育される際は、特に注意が必要です。
パピヨンの歴史・起源について
歴史のある愛玩犬です。
スペインの小型スパニエルを祖先として、1500年頃に誕生したという説が有力です。イタリアのボローニャ周辺で盛んに繁殖され各国に広がりました。
フランス宮廷では絶大な人気を誇り、中世の絵画に多く描かれています。マリーアントワネットの飼い犬としても有名です。
ブルボン朝の時代までは垂れ耳が一般的でしたが、19世紀末ごろにスピッツやチワワと交配させて、現在の立ち耳を持つタイプが出現したと言われています。
パピヨンの気を付けたい病気について
骨や関節が弱いことなどに注意しましょう。
パピヨンは骨が強くない犬種であると言えます。ちょっとした段差から飛び降りただけで骨折してしまうことがありますので、注意が必要です。
また、顎が小さいことから歯の疾患に罹りやすいと言えます。比較的若いうちから歯が抜け落ちてしまうこともあるため、定期的な歯のケアは必要です。
以下にパピヨンによく見られる疾患を挙げていきます。
・歯周病
歯周病とは、歯周組織が破壊、吸収されることで歯を失う進行性の炎症性疾患です。その発症要因は、歯垢中の歯周病原細菌であるとされています。
歯周病が悪化すると歯を支持する骨の吸収が進み、歯肉の退縮や歯の動揺が認められるようになり、口腔鼻腔瘻や顎骨骨折などの重篤な続発症を引き起こしたり、血行性や免疫反応を介して遠隔器官(腎臓、心臓、肝臓)に影響を及ぼすことがあります。
歯周病に見られる症状は、口臭、歯垢歯石の付着、歯の動揺、歯の脱落、硬いものを食べづらくなる、出血、疼痛、くしゃみ、鼻汁、などが挙げられます。
・膝蓋骨内方脱臼
膝のお皿である膝蓋骨が正しい位置からずれてしまう疾患です。パテラと呼ばれることがあります。後肢を挙上する、触ると嫌がる、後肢を引きずって歩くなどの症状が見られます。
・白内障
白内障は眼球内の水晶体蛋白質が不可逆性の変化を受けて、不透明化することによって起こります。その原因は加齢、遺伝、外傷性、代謝性など多岐にわたります。
白内障はステージによって、初発白内障、未熟白内障、成熟白内障、過熱白内障に分類されます。
初期は視覚に影響はありませんが、徐々に視覚は失われていきます。
・流涙症
流涙症とは、痛みを伴わずに涙が流れ出ている状態のことを言います。流涙症には、涙液産生量の増加、涙液排泄経路の異常、眼表面への涙液保持能の低下、の3つのパターンがあります。
涙液産生量の増加には、睫毛の疾患が挙げられます。涙液排泄経路の異常には、涙点閉塞症、涙嚢炎、鼻涙管閉塞などが挙げられます。眼表面への涙液保持能の低下には、マイボーム腺機能不全,下眼瞼の内反などが挙げられます。
パピヨンの価格相場について
30万円前後になります。
パピヨンの価格の相場は30万円前後になります。
獣医師から見たパピヨンを飼う際のアドバイス
骨折、無駄吠えに注意しましょう。
比較的丈夫な犬種と言えますが、四肢は細いため骨折などの怪我には注意が必要です。抱っこしている高さから落としてしまうだけでも骨折することがあります。
インターホンの音に慣らす、家族以外の人や犬に慣らす、など無駄吠えの対策をとりましょう。とくに集合住宅で飼育される際は、無駄吠えを防ぐしつけが欠かせません。
パピヨンの飼育チャートについて
お手入れは見た目ほど大変ではなく、利口な犬種ですので、初心者にもお勧め出来る犬種と言えます。
骨折などの怪我には注意しましょう。
初心者 | 10 初心者でも非常に飼いやすい |
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しつけ | 8 しつけはかなり簡単 |
お手入れ | 8 お手入れはかなり楽 |
気性 | 5 気性は普通程度 |
多頭飼育 | 8 多頭飼育はややし易い |
散歩 | 6 必要な散歩量は普通程度(10~30分程度) |
病気 | 5 病気への強さは普通程度 |
抜け毛 | 5 抜け毛の量は普通程度 |
吠え方 | 2 やや吠える |
におい | 5 臭いは普通程度 |