アビシニアンの特徴について
小顔に大きな目、美しい被毛のスタイル抜群の猫です。
アビシニアンは細身の体に小さな顔、大きな目と耳が特徴的な非常にスタイルの良い猫です。
被毛はやわらかく、一本の毛が数色で構成されたティックドタビーのため、動きによって被毛の色が微妙に変化して見える神秘的な美しさも特徴の一つです。
毛色はブルー、フォーン、レッド、ルディが存在し、被毛のパターンはティックドタビーのみ、眼の色はゴールドまたはグリーンです。
しなやかで細身の体は筋肉質で、運動能力が高く活発に運動します。
四肢は細く引き締まっており、つま先立ちをしているように見えます。
尻尾は体に対してやや長めで、付け根が太く先端に向かうに従って細くなります。
顔の形はやや丸みを帯びたくさび型で体に対してやや小さめです。
大きくカップ状に開いた耳とアーモンド型の大きな目が印象的で、目の周りはアイラインのように縁取りされています。
「最古のイエネコ」とも言われており、古代エジプト時代に描かれた壁画や美術品にはアビシニアンによく似た猫が描かれています。
美しい容姿と陽気な性格から日本でも人気の高い猫種です。
アビシニアンの性格について
陽気で活動的です。
アビシニアンは高貴な印象を与える見た目と裏腹に、陽気で活動的な猫です。
好奇心が強く遊びが好きで、呼ぶと走ってきておしゃべりをすることもあることから、犬のような猫と表現されることもあります。
飼い主に対する愛情が深く、忠実で甘えん坊ですが、知的なためしつけもよく覚えます。
一方で、知らない人に対しては少し人見知りするようなやや神経質な個体もいます。
個々の性格に合わせて、ストレスのかかりにくい生活環境を整えてあげましょう。
アビシニアンの飼い方(日常の世話)について
毛のお手入れは比較的容易です。
アビシニアンは短毛種で、抜け毛も多くない品種のため、被毛のお手入れに神経質になる必要はありません。
飼い主さんとのコミュニケーションが好きな猫なので、スキンシップの一環としてグルーミングしてあげると良いでしょう。
アビシニアンの歴史・起源について
イギリスで確立した品種です。
古代エジプト時代に聖なる猫としてあがめられていたのではないかという説もありますが、近年の遺伝子解析によって、アビシニアンのルーツはインド洋沿岸部や東南アジアに生息していた猫であることがわかりました。
エジプト人がアジアから輸入した猫が増え、1868年のアビシニア(現在のエチオピア)戦争の後にイギリス人兵士が連れ帰った猫がイギリスの土着の猫と交配して生まれたのがアビシニアンの祖先です。
品種として確立したのはイギリスですが、アビシニアから来た猫ということで「アビシニアン」という名前が付けられました。
その後アメリカにわたり、さらに品種の開発が進められ、よりカラフルな毛色のアビシニアンが誕生しました。
アビシニアンの気を付けたい病気について
ピルビン酸キナーゼ欠損症が起こることがあります。
ピルビン酸キナーゼとは、細胞のエネルギーを作るのに必要な酵素の一つです。
この酵素が生まれつき欠損して生まれてくることがあり、その場合は血液中の赤血球の寿命が短くなってしまうため、若齢から慢性的な貧血を繰り返します。
この病気は遺伝性に起こるとされており、アビシニアンでも報告されています。
根本的に治療することは難しく、貧血が重度になった場合には輸血を繰り返す等、対症療法を行いますが、肝臓に徐々に鉄分が沈着して機能障害が起こり、短命になってしまうことが多い病気です。
アミロイドーシスが起こることがあります。
アミロイドーシスとはアミロイドと呼ばれる異常な繊維状のタンパクが様々な臓器の細胞と細胞の間に沈着し、臓器の機能障害を起こしてしまう病気です。
アビシニアンでは遺伝的にアミロイドの構造に変異があり、他の品種よりもアミロイドーシスを発症しやすいとされています。
症状はアミロイドの沈着が起こった臓器によって異なりますが、多飲多尿や食欲低下、元気消失などがみられることが多くなります。
発症してしまった場合には根治することはできず、対症療法と進行を遅らせるための投薬治療が行われます。
重症筋無力症を発症することがあります。
重症筋無力症とは、神経から筋肉に刺激を伝達する物質がうまく作用できなくなることによって筋肉の脱力が起こる病気です。
アビシニアンやソマリでは、免疫の異常によって起こる後天性の重症筋無力症が好発することが確認されています。
全身性に起こる場合と局所性に起こる場合がありますが、進行すると食事が摂れなくなったり誤嚥性肺炎などを起こして命に関わることがあります。
発症を予防することは難しいですが、発症しても早期に正確に診断されれば投薬療法や食事療法でうまく維持・管理することができます。
アビシニアンの価格相場について
20万円前後が多いようです。
アビシニアンの価格は月齢やどこで購入するか(ブリーダー、ペットショップ)によって多少価格帯が異なり、15~30万円前後の価格帯が多く見られます。
日本でも人気の猫種のためブリーダーも比較的多く、ペットショップでも割と手に入りやすい猫種です。
獣医師から見たアビシニアンを飼う際のアドバイス
活発な運動量に見合った環境を作ってあげましょう。
アビシニアンはとても活発な猫です。
また、飼い主さんとのコミュケーションをとることも好きなため、飼い主さんの気を引くために高いところに上って物を落としたり、いたずらをして気を引くような行動も見られることがあります。
そのため、時間が空いた時にはたっぷりと遊んであげるようにし、生活環境もキャットタワーを置いたり、家具の配置を工夫して上下運動ができるようにしてあげることで運動不足にならないようにしましょう。
また、好奇心旺盛で体も身軽なため、いたずらによる事故にも注意が必要です。
猫が口に入れると危険なものや壊されると困るものは徹底して片付け、誤飲やケガを予防しましょう。
アビシニアンの飼育チャートについて
陽気な性格で人懐こく、気性の荒い個体は少ないため飼いやすい猫です。
ある程度の運動量が必要で、飼い主さんともコミュニケーションをとりたがる猫が多いため、猫と一緒に遊ぶ時間をある程度確保できる飼い主さん向きです。
初心者 | 8 初心者でもかなり飼いやすい |
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しつけ | 8 しつけはかなり簡単 |
お手入れ | 9 お手入れは非常に楽 |
気性 | 8 気性はかなり穏やか |
多頭飼育 | 8 多頭飼育はややし易い |
運動量 | 2 運動量はやや多い |
病気 | 3 病気にはやや弱い |
抜け毛 | 9 抜け毛は非常に少ない |
鳴き方 | 4 普通程度に鳴く |
におい | 8 あまり臭いがない |