シンガプーラの特徴について
独特な毛色の小さな愛らしい猫です。
シンガプーラは小さな体に大きな瞳と大きな耳を持つ可愛らしい猫で「妖精」「天使のよう」などと表現されることの多い猫です。
体は小柄で、大きな個体でも4kgほどにしかならず、雌では2kgを切ることもあります。世界の猫の中でもトイボブに次いで最小の種類とされています。
体の小ささに加えて特徴的なのは被毛の色で、1種類しかありません。
セピアアグーチと呼ばれる淡いブラウンの色をしており、その発色パターンはティックドタビーで1本の毛に濃い色と淡い色が交互に発色するため、体の動きに応じて立体的に色が変化して輝きます。
額にはM字に見える模様がわずかにあり、前肢の内側には濃色の横縞があります。
毛は短毛で手触りは柔らかくシルクのようです。
小柄ですが体は筋肉質でがっしりとしており、高いところにも難なく登ります。
四肢もまた筋肉質で、付け根がやや太く脚先に向かって細くなります。
尻尾は体に対してやや短めで、先端はプツリと途切れたような形をしています。
頭は丸く、マズルは横幅が広く短め、大きなカップ状の耳とアーモンド型で大きく見開いた目が印象的です。
大きな瞳の周りにはアイラインがあり、瞳の色はイエロー、ヘーゼル、グリーンなどが存在します。
シンガプーラはその愛らしい姿から、1991年にはシンガポールの観光局のPRマスコットにも選ばれています。
シンガプーラの性格について
穏やかな性格でよく懐きます。
シンガプーラは基本的にはおとなしい猫で、飼い主への愛情も深く人によく懐く飼いやすい猫です。
甘えん坊で、飼い主さんの膝の上や肩の上に乗りたがります。
賢いためしつけもよく覚え、鳴き声は小さくあまり鳴かないため、集合住宅などでの飼育にも適しています。
好奇心が強く活発に遊びます。
シンガプーラは穏やかな猫ですが、遊ぶときは俊敏で活発です。
好奇心の強さと体の小ささも重なって、狭い隙間に入り込んでしまったり小物を追いかけじゃれて遊び、口に咥えて持っていくなどいたずらをすることもあります。
高いところが好きで家具の上などにいることも多いですが、そこから飼い主さんの方をめがけて飛び乗ってくることもあり、お互いケガをしないように気を付ける必要があります。
多頭飼育にはあまり向いていません。
基本的には優しく人見知りをしない猫ですが、他の猫や同居の動物に対しては独占欲が強く神経質な面も持ち、飼い主さんを独り占めしたがる子もいるようです。
個々の性格にもよりますが、多頭飼育に向かない個が比較的多いようです。
シンガプーラの飼い方(日常の世話)について
寒さに弱い猫です。
年中暖かく日本のように四季のないシンガポール原産の猫であるため、寒さには耐性がありません。
そのため秋から冬にかけては温度管理に気を付ける必要があります。
服を着せたり、暖かい寝床を用意してあげ、エアコンや暖房で室内を温かく保つようにしましょう。
家庭内での事故に気を付けましょう。
シンガプーラは好奇心旺盛な上、体が非常に小さいため、狭い隙間に入り込んで家電をいたずらする可能性もあります。
またあまり水を怖がらない個体も多く、お風呂に水を張って蓋をせずにおいておいたり、洗濯機や水槽の蓋を開けたまま置いておくのは危険です。
起こりうる危険をできるだけ回避するために、猫に入ってほしくない場所にはアクセスできないように工夫しましょう。
また猫は全般的に狭いところを好みますので、お気に入りの箱などを用意してあげるのも事故の予防策として良いかもしれません。
シンガプーラの歴史・起源について
シンガポールの土着の猫がルーツです。
シンガプーラはもともとシンガポールの野良猫として下水溝などで暮らしていた猫から生まれた猫とされています。
1970年代、シンガポールを訪れていたアメリカのブリーダー夫婦が、路上で見つけたセピア色の被毛にティッキングを持つ小さな3匹の猫をアメリカに持ち帰りました。
この猫たちをアメリカで計画的に繁殖して誕生したのがシンガプーラです。
1979年には猫の血統登録機関であるTICAに公認され、その愛らしい姿から瞬く間に世界中で人気の品種となりました。
シンガプーラの気を付けたい病気について
ピルビン酸キナーゼ欠損症が起こることがあります。
ピルビン酸キナーゼとは、細胞のエネルギーを作るのに必要な酵素の一つです。
この酵素が生まれつき欠損して生まれてくることがあり、その場合は血液中の赤血球の寿命が短くなってしまうため、若齢から慢性的な貧血を繰り返します。
根本的に治療することは難しく、貧血が重度になった場合には輸血を繰り返す等、対症療法を行いますが、肝臓に徐々に鉄分が沈着して機能障害が起こり、短命になってしまうことが多い病気です。
この病気は遺伝性の疾患で常染色体の劣性遺伝によって発症します。
発症していないキャリア猫の場合も遺伝子検査による繁殖リスクの判断が可能ですので、繁殖を計画する場合には一度検査しておくことが推奨されています。
肥大型心筋症にも注意が必要です。
肥大型心筋症は心臓の筋肉が肥大して心臓の内腔が狭くなり、体へうまく血液を送ることができなくなる病気です。
猫の心臓疾患では最も多く認められます。
重症化すると心不全、呼吸不全、動脈血栓塞栓症などを発症し命に関わるため、早期発見してできるだけ進行を抑制する治療を始めることが重要です。
皮膚のトラブルが起こりやすい猫種です。
シンガプーラは日本とはかなり気候の異なる高温多湿な国が原産の猫です。
寒さ対策として暖房やエアコンを使用していると室内も皮膚も乾燥しやすくなり、皮膚のバリア機能が低下して皮膚のトラブルが起こりやすくなります。
また神経質な一面もあるシンガプーラは、ストレスによって皮膚を掻いたりしつこく舐めたりすることもあります。
痒みや脱毛などがみられた場合にはできるだけ早く病院を受診し、掻き壊して悪化する前に対処するようにしましょう。
シンガプーラの価格相場について
18~30万円前後が相場のようです。
シンガプーラは日本でも人気が高い猫種です。
ペットショップやブリーダーから購入可能で、価格は月齢などによって変化しますが18~30万円前後が多いようです。
購入時には遺伝子検査の実施の有無などについても確認しておくようにしましょう。
獣医師から見たシンガプーラを飼う際のアドバイス
栄養バランスの良い食事を与え、運動できる環境を整えましょう。
シンガプーラの体は小柄ですが筋肉質で活発に遊ぶ猫です。
体の筋肉を保つためにも、良質なたんぱく質を含むバランスの取れた総合栄養食を与えるようにしましょう。
高いところに上ることを好む猫ですので、家具の配置を工夫したりキャットタワーを置いて上下運動ができるようにしたり、時間のある時はたっぷり遊んであげるようにしてストレス発散させてあげるようにしましょう。
遺伝子検査を活用しましょう。
ピルビン酸キナーゼ欠損症は遺伝性の病気で、発症してしまうと完治させることはできない病気です。
繁殖を考える場合にはできるだけ遺伝子検査を受け、発症する遺伝子を持っている場合には将来的に病気の猫を増やさないためにも交配を控えましょう。
シンガプーラの飼育チャートについて
優しく人懐こい性格の猫ですので、初めて猫を飼う飼い主さんでも飼いやすい猫です。
多頭飼育にはあまり向かないことと、狭いところに入り込んでいたずらするような事故には少し気を付ける必要があります。
初心者 | 6 初心者には普通程度の飼いやすさ |
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しつけ | 8 しつけはかなり簡単 |
お手入れ | 7 お手入れはかなり楽 |
気性 | 7 気性はかなり穏やか |
多頭飼育 | 3 多頭飼育はやや難しい |
運動量 | 4 運動量は普通程度 |
病気 | 4 病気への強さは普通程度 |
抜け毛 | 7 抜け毛はかなり少ない |
鳴き方 | 8 あまり鳴かない |
におい | 8 あまり臭いがない |