エジプシャン・マウの特徴について
古代エジプトの壁画にも登場した神秘的な猫です。
エジプシャンマウの特徴は、野性味を感じさせるスポット(斑点)模様で、家猫の中では唯一自然に発生したスポットを持つスレンダーな猫です。
非常に運動神経に優れ足が速く、その速度は時速50kmを記録したこともある俊足です。
体の大きさは中型のセミフォーリンタイプで、わき腹から後ろ脚(膝付近)までルーズスキンが垂れていますが、体は筋肉質で引き締まっています。
このルーズスキンは走る時により後ろまで足を蹴り出すのに役立っていると考えられています。
四肢も筋肉質で細く引き締まっており、尻尾は長くまっすぐで、体全体のバランスがとても良い猫です。
被毛はシルクの様にやわらかく光沢があり、滑らかな手触りです。
毛色は主にシルバー、ブロンズ、スモークの3色で、この他に公認はされていませんがブラックとブルーも存在します。
それらをベースにした被毛には、大小様々なスポットがランダムに濃くはっきりと現れており(スポッテッドタビー)、このスポットは地肌にまで現れています。
首にはネックレスのような模様があるのも特徴です。
頭は幅広で、平らな面がない自然な丸みのあるくさび型です。
耳はやや大きめのカップ状で耳と耳の間隔は広め、眼の形は大きなアーモンド形で、眼の色はグースベリーグリーン(スグリの色)といわれるグリーンのみ、眼尻から後ろに伸びるくっきりとしたアイラインがあり、額にはM字模様があります。
額の模様や少し下がった目尻によって、困ったような顔をしていると表現されることもあります。
野性味を感じさせるスポットを持ちながらどこか気品を感じさせるオリエンタルな雰囲気が日本でも人気の猫種です。
エジプシャン・マウの性格について
賢く遊び好きです。
エジプシャンマウは野性味を感じさせる見た目の通り、運動神経が良く非常に俊敏で遊び好きです。
狩猟本能が強く残っているため、ネズミのおもちゃやボールなどを追いかけて捕まえるのが大好きです。
時間のある時はおもちゃでたくさん遊んであげると喜びます。
飼い主さんや同居の家族には従順でよく甘え、そばにいようとします。
また非常に賢いため、しつけにも苦労しません。
人見知りで臆病な一面もあります。
好奇心旺盛で活発なエジプシャンマウですが、臆病で怖がりな一面も持っており、知らない人や環境の変化、騒々しい場所は苦手です。
そのため来客時には隠れてあまり姿を見せません。
そういった面ではストレスを受けやすいため、頻繁に人を呼んだり外に連れて出るのは控え、自宅でも静かに落ち着いて過ごせる環境を確保してあげましょう。
エジプシャン・マウの飼い方(日常の世話)について
遊べる環境づくりをしてあげましょう。
エジプシャンマウは非常に活発で遊び好きな猫です。
運動量が多いため、走り回ったり高いところに上り下りできるようにキャットタワーを設置するなど、思いっきり体を動かして遊べるような環境を作ってあげ、時間のある時はたくさん遊び相手をしてあげましょう。
被毛のお手入れは比較的容易です。
エジプシャンマウは短毛種で抜け毛もそこまで多くはありません。
被毛のお手入れには特に神経質になる必要はありませんが、定期的にブラッシングしてあげるようにしましょう。
極端に汚れることがなければシャンプーも頻繁にする必要はありません。
エジプシャン・マウの歴史・起源について
エジプトに古くから存在する猫です。
エジプシャンマウの「マウ」とはエジプト語で猫という意味です。
エジプトの猫というその名の示す通りエジプシャンマウの祖先はエジプトに元々生息していた猫で、その起源は古代エジプトにまでさかのぼるともいわれています。
古代エジプトの壁画にもエジプシャンマウのようなスポット模様とくっきりしたアイラインを持つ猫の姿をした女神が描かれています。
これほど古い歴史を持つ猫でありながら、エジプシャンマウが世界に知られるようになったのは比較的近年で、1950年代でした。
きっかけはローマに亡命していた当時のロシアの王女がエジプシャンマウに魅了され、繁殖したことであったとされています。
その後王女とともに3匹のエジプシャンマウがアメリカにわたり繁殖が行われ、1960年代に猫種として公認されました。
しかし少数の猫がもとになって繁殖が行われた影響か、遺伝性疾患の発生に苦しんだ時期がありました。
そのため、遺伝子のプールを広げるために繁殖家によってヤマネコの血を引く猫との交配が行われ、さらにエジプトの土着の猫との交配を経て、現在のエジプシャンマウが誕生しました。
エジプシャン・マウの気を付けたい病気について
ピルビン酸キナーゼ欠損症が起こることがあります。
ピルビン酸キナーゼとは、細胞のエネルギーを作るのに必要な酵素の一つです。
この酵素が生まれつき欠損して生まれてくることがあり、その場合は血液中の赤血球の寿命が短くなってしまうため、若齢から慢性的な貧血を繰り返します。
この病気は遺伝性に起こるとされています。
根本的に治療することは難しく、貧血が重度になった場合には輸血を繰り返す等、対症療法を行いますが、肝臓に徐々に鉄分が沈着して機能障害が起こり、短命になってしまうことがある病気です。
尿路疾患にも注意が必要です。
尿路疾患は猫全般に起こりやすい疾患で、ストレスなどが原因と考えられている特発性膀胱炎や尿中に結晶や結石ができる尿石症によって膀胱炎症状(頻尿、血尿、有痛性排尿、排尿困難)をおこすものが多く認められます。
結石によって尿路閉塞が起こってしまうと、水腎症、尿毒症を起こし命に関わることもあります。
尿石症の中ではストルバイト結晶やシュウ酸カルシウム結晶によるものが最も多く認められますが、エジプシャンマウでは尿酸塩によるものもあり、それぞれ注意が必要です。
定期的に尿検査を受け、適切な食事管理と十分な水分摂取、適度な運動で肥満にさせないことが予防に効果的です。
エジプシャン・マウの価格相場について
日本ではまだまだ希少な猫です。
エジプシャンマウは美しいスポット模様が人気の猫ですが、日本ではまだまだ飼育頭数は少なく、ペットショップでも出会える機会は少ないでしょう。
多くの場合はブリーダーさんから購入することになりそうです。
月齢や毛色、スポットの出具合によっても異なりますが、一般的な価格は20万円から40万円ほどが多いようです。
獣医師から見たエジプシャン・マウを飼う際のアドバイス
性格に応じた飼育環境を整えてあげましょう。
エジプシャンマウは信頼する家族にはよく甘える猫ですが、知らない人や動きの予測できない小さな子供の遊び相手は苦手です。
あまりにも頻繁に来客があったり、小さな子供に追い掛け回されるのはストレスになりますので、そのような場合には避難して落ち着ける場所を確保してあげるようにしましょう。
また、同居の動物とも仲良くなるまでには時間がかかることもあります。
多頭飼育にはあまり向かないこともありますので、ペットを増やす予定がある場合には猫の性格をよく見極め、同居させる予定の動物と相性が合うかどうかを良く考慮したうえで決めるようにしましょう。
遺伝性疾患に注意しましょう。
エジプシャンマウが気を付けたい病気の中には、遺伝性の疾患(ピルビン酸キナーゼ欠損症)が含まれます。
もし、将来的に繁殖させたいと考えているのであれば、一度遺伝子検査を受け、発症遺伝子を持っている場合には残念ですが繁殖はあきらめましょう。
そうすることが将来的に病気の遺伝子を持つ猫を減らすことにつながります。
エジプシャン・マウの飼育チャートについて
信頼関係の出来上がった飼い主さんにはよく甘え、家族への愛情も深い猫です。
ただし臆病で繊細な一面も持っているため、小さな子供がいる家庭や同居動物がたくさんいる環境ではストレスを感じてしまうこともあります。
非常に活発なため、たくさん遊んであげる時間が取れる飼い主さんに向いています。
初心者 | 5 初心者には普通程度の飼いやすさ |
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しつけ | 9 しつけは非常に簡単 |
お手入れ | 7 お手入れはかなり楽 |
気性 | 5 気性は普通程度 |
多頭飼育 | 3 多頭飼育はやや難しい |
運動量 | 1 運動量は非常に多い |
病気 | 5 病気への強さは普通程度 |
抜け毛 | 7 抜け毛はかなり少ない |
鳴き方 | 5 普通程度に鳴く |
におい | 8 あまり臭いがない |