キムリックの特徴について
尻尾がない丸いお尻の長毛種の猫です。
キムリックは尻尾のない猫「マンクス」の長毛種タイプです。
体の特徴は被毛の長さ以外はマンクスとほぼ同じです。
尾の長さにはいくつかのタイプがあり、全く尻尾のないランピー、見た目には尻尾がないが尾椎が1~2個存在するランピーライザー、ほんの少しだけ尻尾があり短く折れていたりねじれているスタンピー、少し長めの尻尾のロンギーなどが存在します。
体は中型でがっしりとして丸みがあり、背中も丸くカーブしているため、お尻だけでなく全体的に丸いフォルムの猫です。
脚は前足よりも後ろ足の方が長く、ウサギのように跳ねながら歩くことから「ラビットキャット」「バニーキャット」と呼ばれることもあります。
頭は丸く頬はしっかりとしており、中くらいの大きさの耳がやや外側に向かってついています。
眼は丸くて大きく、色はブルー、グリーン、ヘーゼル、カッパー、オッドアイなど多くの色があります。
被毛は長毛のダブルコートで密集して生えており、オーバーコートは光沢と厚みがありふかふかとした手触りです。
被毛の色はブラック、ホワイト、ブルー、レッド、クリームなど多くの色が存在し、模様のパターンもソリッドタイプからタビー、バイカラー、パーティカラー、キャリコ、ポインテッドなど様々な組み合わせがあります。
キムリック同士での交配でも長毛の子猫が生まれる可能性は25%と低く、今でも飼育頭数の少ない希少種です。
キムリックの性格について
人見知りですが、家族にはべったりと甘えます。
キムリックは基本的に穏やかな性格で、内気で人見知りなところがあります。
家族以外の人には自分から積極的に近づこうとはせず、小さな子供の相手などはあまり得意ではなく多頭飼育にもあまり向いていません。
静かな場所でのんびり過ごすことが好きな性格です。
一方、飼い主に対しては忠誠心が強く、べったりと甘えます。
また家族を守ろうとする犬のような側面も持っているため、危険を察知すると敵とみなした対象に対して攻撃的になることもあります。
運動能力は高く活発です。
もともとネズミを捕るハンターであったため、その気質が残っており、動くものを捕まえようと遊んだりするのが大好きです。
また知的で物覚えがよく、飼い主さんの行動をよく観察してドアの開け方や水の出し方を覚えてしまうこともあります。
しつけはしやすいため、しっかりしつけを行えば飼い主さんが困るような行動はしなくなるでしょう。
キムリックの飼い方(日常の世話)について
尻尾の付け根はデリケートです。
尻尾の長さに関わらず、キムリックの尻尾の付け根部分は神経が集中しているためとても繊細でデリケートです。
基本的にその部分を触られることは嫌がりますので、ブラッシングの際にも強く刺激しないように気を付け、できるだけ触らないようにしましょう。
被毛のお手入れは定期的にしましょう。
キムリックはダブルコートで毛が密に生えており、長毛種のため抜け毛は多めです。
できるだけ毎日ブラッシングしてあげるようにし、換毛期にはシャンプーもしてあげましょう。
キムリックの歴史・起源について
マンクスの長毛種を繁殖させた猫です。
キムリックはマンクスの繁殖過程で突然変異により生まれた長毛種です。
マンクスはイギリスのアイリッシュ海に浮かぶ孤島、マン島で誕生しました。
島という隔離された環境内で自然に交配が行われるうちに近親交配が繰り返された結果、尻尾のない遺伝子を持った猫が突然変異で誕生し、それが広まったと考えられています。
尻尾のない猫マンクスには古くから時折長毛種が生まれることがありましたが、長毛とはいっても長毛としては中途半端なセミロングであったためか、マンクスの中でも価値が低いと考えられ、長い間注目されることはありませんでした。
1960年代に入り、長毛のマンクスを繁殖させたのはカナダの繁殖家でした。
長毛タイプのマンクスを他の長毛種と交雑させることで尻尾のない長毛種として確立し、1979年アメリカの猫種登録団体TICAでマンクスとは別の猫種として公認されました。
しかし、交雑を経なくてもマンクスの中に時折長毛種が生まれることなどから、猫の血統登録団体によっては別の猫種として認めない団体もあり、CFAなどではあくまでも「長毛のマンクス(ロングヘアーマンクス)」として認識されています。
キムリックという名前は、マンクスの故郷マン島にほど近いウェールズ地方の別名「キムルー」に由来するとされています。
キムリックの気を付けたい病気について
マンクス症候群と呼ばれる病気が存在します。
マンクスやキムリックの尻尾のない遺伝子は致死性をもたらす劣性遺伝子で、両親からそれぞれこの遺伝子を受け継ぎ、2つそろってしまうと流産や死産をひきおこします。
両親がランピーの場合、この致死性遺伝子が2つそろう確率が高くなるため、ランピー同士の交配や3代続けてランピーを交配することは禁止されています。
この遺伝子は1つしかなくても脊椎の形成に関わる疾患を起こすことがあり、脊椎破裂、椎間板異常、膀胱や直腸など内臓の機能障害を引き起こし、最悪の場合は死に至ります。
これらはマンクス症候群と呼ばれる独特の疾患で、生後しばらくしてからでないとわからない場合もあります。
また、神経の分布異常などによって便秘や尿路疾患になりやすい傾向があるとも言われています。
マンクス症候群には根本的な治療方法はありません。
排泄に障害がある場合はかかりつけの病院で排泄補助の治療を相談し、適切なケアを行いましょう。
キムリックの価格相場について
一般的な入手は難しい猫種です。
キムリックは日本ではほとんど繁殖・販売されていないため、手に入れるのは難しい猫種です。
どうしても家族に迎えたいという場合には海外から輸入するしかありません。
しかし、キムリック同士の繁殖であっても長毛の子猫が生まれる可能性は低いため、希望の子猫が手に入るまでには長い待ち時間を要することもあります。
価格は20~30万円ほどといわれていますが、猫の販売価格に加えて輸入にかかる手数料が加算され、高額になると考えられます。
猫の輸入をサポートしてくれる業者さんもありますので、信頼できるところを探して相談してみましょう。
獣医師から見たキムリックを飼う際のアドバイス
十分に運動できる環境を整えてあげましょう。
キムリックの祖先であるマンクスはネズミを捕るハンターとして働いていた猫のため、運動神経に優れ非常に活発です。
十分に運動できる環境を整え、ストレスが溜まらないようにしてあげましょう。
また飼い主さんと遊ぶのも大好きですので、時間のある時はおもちゃで遊んであげましょう。
下半身の異常には気を付けましょう。
キムリックが持つ遺伝子の影響により、先天的に背骨の異常や仙椎・尾椎の脊髄に問題を抱えて生まれてしまうことがあり、そこから腸や膀胱などに伸びる神経の働きが十分でないために慢性の便秘症や巨大結腸、尿路の疾患になりやすいとされています。
しかしこの兆候は生まれてすぐにはわからないこともあります。
日常生活の中で排泄の状態などを気にかけるようにし、異常があればすぐに見つけることができるように心がけましょう。
キムリックの飼育チャートについて
賢いためしつけもしやすく、飼い主さんには非常によく甘えるため、猫との濃密な時間を過ごしたい飼い主さんに向いています。
一方小さい子供がいる家庭や、たくさんの動物がいる多頭飼育家庭ではストレスをためやすくなってしまう可能性があります。
飼育に際しては飼育環境がキムリックに合っているかどうかよく考える必要があります。
また日本での入手はなかなか困難な猫種です。
初心者 | 7 初心者でもかなり飼いやすい |
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しつけ | 9 しつけは非常に簡単 |
お手入れ | 6 お手入れのし易さは普通程度 |
気性 | 7 気性はかなり穏やか |
多頭飼育 | 3 多頭飼育はやや難しい |
運動量 | 3 運動量はやや多い |
病気 | 4 病気への強さは普通程度 |
抜け毛 | 2 抜け毛はやや多い |
鳴き方 | 5 普通程度に鳴く |
におい | 7 あまり臭いがない |