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執筆獣医師:齋藤厚子先生
[記事公開日]  [最終更新日]
[ 目次 ]

ミンスキンの特徴について

短足のヘアレスキャットです。

ミンスキンはバンビーノと同様、スフィンクスとマンチカンの交配によって生まれた比較的新しい猫種です。
それぞれの猫種の特徴を受け継ぎ、マンチカンのように四肢は短く、スフィンクスのように被毛は無毛~極短毛で、大きな目と耳が目立ちます。

体は小型で、雄の成猫でも3kg程度にしかなりません。
体型はセミコビータイプでバンビーノによく似ていますが、毛の生える程度によって「ヘアレス」、「ファーポイント」、「フリーコーテド」の3種類のタイプが存在する点が異なります。
体は小さいですががっしりしており、四肢は短く、尻尾は長く先細りしています。

頭は小さめでやや丸みのあるくさび型、目と耳は大きく、眼の色はゴールド、グリーンをはじめ多くの色があります。

被毛は無毛から極短毛の毛が生えることがあり、全く無毛の「ヘアレス」、顔や耳、四肢、尻尾などのポイント部分にだけうっすらと毛が生える「ファーポイント」、全身にうっすらと毛が生える「フリーコーテド」の3タイプに分かれます。
キャットショーなどではファーポイントのミンスキンだけが賞を取れるようです。

被毛の色(地肌の色)は、ブラック、ブルー、ホワイトなど多くの色があり、そのパターンもソリッド、バイカラーなど多くのパターンが存在します。

ミンスキンの性格について

社交的で活発です。

ミンスキンはマンチカン譲りの社交的な性格の持ち主で、人によく懐き、他の動物とも仲良くできます。
初めて会う人に対しても人見知りをあまりしないため、来客が多くても割と平気です。

穏やかな性格で家族に対する愛情が深いため、子供と一緒に上手に遊べます。

遊ぶときは活発で、短い足ながら元気いっぱい走り回ります。
高いところへのジャンプは苦手ですが、賢いため自分なりに工夫することで高いところにも上ります。

頭が良いのでしつけにも苦労することはありません。

ミンスキンの飼い方(日常の世話)について

こまめに皮膚をお手入れしましょう。

ヘアレスやファーポイントのミンスキンは被毛がほとんどない、あるいは非常に少ないためブラッシングはほぼ必要ありません。
しかし被毛が少ない分、分泌された皮脂がべたつきがちになるため、毎日皮膚のケアをしてあげる必要があります。

特に皮膚の皺の間などに皮脂が溜まると細菌や真菌などが繁殖して皮膚炎を起こしやすいため、こまめにお手入れしてあげるようにしましょう。

皮膚の皺にたまった皮脂は濡れタオルや蒸しタオルでマッサージしながら優しく拭きとり、必要に応じてシャンプーを行うようにしましょう。
シャンプーの頻度は他の猫種よりも多く2週間~1か月に1回程度、皮脂の分泌量に合わせて行うようにしましょう。

温度管理に気をつけましょう。

体を覆う被毛がない、あるいは非常に少ないため、環境温度の変化には敏感です。
特に寒くなる時期には服を着せたり室温管理を徹底することで、体調を崩さないように気を付けてあげましょう。

ケガに注意しましょう。

被毛による保護がないため外傷に気を付ける必要があります。
活発で走り回って遊ぶことが多いため、怪我の原因になりうる尖ったものなどは置かないように生活環境を整えてあげましょう。

また猫同士のケンカによる傷も他の猫に比べるとひどくなりやすいため、誤って外に出ないように気を付け、基本的には室内で飼育しましょう。
極端に仲の良くない同居動物とは、必要に応じて生活環境を分けることも考慮しなければなりません。

ミンスキンの歴史・起源について

アメリカで人為的に作られた品種です。

ミンスキンはバンビーノと同様にスフィンクスとマンチカンを交配して生まれた猫種です。
アメリカのポール・マクサリーという人物が1998年に作出をはじめ、2000年には当初目標としていた短足でファーポイントを持つ猫、ミンスキンが誕生しました。

スフィンクスとマンチカンの特徴を受け継いだ、毛のない特徴的な皮膚と大きな耳、短い四肢を持つ姿はバンビーノによく似ていますが、ミンスキンの開発にはさらにデボンレックスやサイアミーズ(シャム)、バーミーズも交配に加わっているという点が異なり、被毛の生え方によってファーポイントというタイプが存在するのもミンスキンだけです。

ミンスキンを公認しているのは現在アメリカのTICAだけで、2005年に実験的な品種として、2008年には準備段階の新しい品種として公認されました。

ミンスキンという名前は、ミニチュアの「ミニ」と皮膚「スキン」を組み合わせてつけられた名前と言われています。

ミンスキンの気を付けたい病気について

皮膚疾患に注意しましょう。

被毛がない(薄い)ため、外界から皮膚に受ける刺激が多く、皮膚のトラブルが起こりやすいことに注意が必要です。

特に強い紫外線の影響を受けやすいため皮膚の腫瘍には少し注意が必要で、また皮脂の分泌によっておこる脂漏性の皮膚炎も多く見られます。

基本的には室内で飼育するようにし、紫外線をカットできるレースカーテンや窓ガラス用のフィルムを設置し、外に連れて出る際には服を着せるなど、直射日光に長時間当たらないように工夫しましょう。

また皮脂のべたつきや臭いが気になる場合にはこまめにシャンプーしましょう。

椎間板ヘルニア

手足の短い個体は、ジャンプなどの際に腰にかかる負担が大きく、高齢になると椎間板ヘルニアを起こす可能性があります。

椎間板ヘルニアは背骨の骨と骨の間に存在する椎間板が脊髄の通り道に飛び出し、脊髄を圧迫することで背中(主に腰部)の痛みや四肢の麻痺などを起こす疾患で、歩行が難しくなったり排尿や排便も自力でできなくなってしまうことがあります。

年齢に合った生活環境を整え、中年齢を過ぎたら高いところへのジャンプや高所から飛び降りる機会を減らすために、キャットタワーの段差を増やしてあげるなど、関節や腰にかかる負担を減らしてあげましょう。

ミンスキンの価格相場について

日本ではまだあまり見かけない猫種です。

ミンスキンは猫種としても比較的新しく、まだ認知度の低い猫種です。
日本での飼育頭数は非常に少なくブリーダーも少ないため、入手は非常に困難です。
それでも飼育を希望する場合には海外のブリーダーを自分で探すか、輸入代行業者を通じて輸入することも検討する必要があるかもしれません。

価格の相場は不明ですが、輸入する場合には猫の価格に加えて輸入にかかる輸送費や輸入代行業者への仲介手数料などが加算されるため、高額になると考えられます。

獣医師から見たミンスキンを飼う際のアドバイス

病気の発生に関しては未知の部分が多い品種です。

ミンスキンは他の猫種に比べ、まだ誕生してから日が浅い品種です。
その為、遺伝的な疾患の発生リスクなどについてはまだ十分に検討されていません。

猫全般に発生しやすい尿路疾患などをはじめ、品種の作出に使用されたスフィンクスやマンチカンに起こりやすい病気や、その他の加齢性疾患についても常に気を配り、体調の変化を見逃さないようにしましょう。

ミンスキンの飼育チャートについて

社交的で明るく活発な猫のため、様々な家族構成の家庭でも飼いやすい猫です。

甘えん坊なため一人で長時間お留守番することは苦手です。
こまめに皮膚をお手入れすることも必要ですので、猫との時間をたっぷりとれる方に向いているといえます。

初心者  4 初心者には普通程度の飼いやすさ
しつけ  8 しつけはかなり簡単
お手入れ  2 お手入れはやや難しい
気性  9 気性は非常に穏やか
多頭飼育  4 多頭飼育のし易さは普通程度
運動量  2 運動量はやや多い
病気  5 病気への強さは普通程度
抜け毛  9 抜け毛は非常に少ない
鳴き方  9 ほとんど鳴かない
におい  4 臭いは普通程度
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