猫のコクシジウム症とは
原虫の感染により消化器症状を起こす病気です。
コクシジウムは、原虫という寄生性・病原性のある単細胞生物の一種です。
回虫や条虫などの他の寄生虫の様に目で見えるものではなく、顕微鏡でしか見ることができない、非常に小さな生物です。
コクシジウムが腸管内に寄生しても成猫ではあまり症状を示しませんが、仔猫や免疫力の低下した老猫では下痢などの消化器症状を起こします。
適切に駆虫処理を行えば命に関わることはあまりありませんが、他の猫にも容易に感染してしまうため、多頭飼育の環境下では注意が必要な病気です。
猫のコクシジウム症の症状とは
主な症状は下痢です。
コクシジウムは腸の細胞に寄生し、症状として主に下痢を起こします。
よく見られる症状は以下の通りです。
・下痢
・血便
・嘔吐
・元気がない
・食欲低下
・脱水
仔猫の場合、下痢が長引くことによって脱水を起こし、元気や食欲が低下してしまうこともあるので注意が必要です。
健康な成猫の場合は、感染してもあまり目立った症状を示しませんが、ストレスがかかったり、免疫力が低下した時に発症することがあります。
また仔猫以外にも、抵抗力が落ちている高齢の猫で症状がみられます。
猫のコクシジウム症の原因とは
排泄物を介して経口感染します。
コクシジウムは腸管内に寄生する寄生虫です。
感染して数が増えると、オーシストという卵の状態で便に排出されるようになり、排泄されたオーシストは12~40時間ほどで感染力を持つようになります。
多頭飼育でトイレを共同で使っていると、汚染されたトイレから感染が起こります。
また、感染猫がグルーミングでお尻を舐めた後に体を舐めたりすると、体にも付着することがあり、他の猫がそれをグルーミングすることで感染が起こってしまう場合もあります。
ネズミを捕食して感染します。
コクシジウムはヒトや犬には感染しませんが、ネコ科動物とげっ歯類に感染します。
そのため、コクシジウムに感染したネズミを捕食することによっても感染します。
室内飼いが主流となり、最近は猫がネズミを捕食することは少なくなりましたが、外に出る猫の場合は十分危険性があります。
猫のコクシジウム症の好発品種について
全猫種で好発します。
特に好発品種はありません。
野良猫の仔猫などでよく感染がみられます。
猫のコクシジウム症の予防方法について
室内飼育にすることが感染予防に効果的です。
感染している猫と接触しないように、外に出さないことが感染の予防になります。
新しく迎える猫には必ず便検査を行いましょう。
新しく猫を迎える場合には、必ず便検査を受けさせましょう。
野良猫での感染率が高いですが、ペットショップやブリーダーから購入しても感染している可能性はゼロではありません。
便検査と健康診断を受け、寄生虫や感染症がないことが確認出来てから先住猫と徐々に一緒にしていくことで、先住猫を感染から守ることができます。
出産させる予定の場合には妊娠前に検査をしましょう。
母猫の便から仔猫が感染するのを予防するために、妊娠前に母猫の便検査を行いましょう。
感染していても、妊娠期間中は使用できない駆虫剤などもありますので、駆虫は妊娠する前に完了しておきましょう。
猫のコクシジウム症の治療方法について
内服薬で駆虫します。
コクシジウム症には、駆虫効果のあるお薬があります。
便検査で感染が確認されたら、駆虫薬を投与して速やかに駆虫しましょう。
しっかり駆虫薬を飲むことで2~3週間で治療が完了します。
内服薬を飲んだ後は、しっかり駆虫できたかどうかを確認するために再度便検査を行います。
中には駆虫した後に、トイレに残っているオーシストから再感染してしまうこともあるため、トイレの砂も一度すべて捨てて、洗浄・消毒した後で新しい砂を入れます。
コクシジウムは消毒薬に対して強い抵抗性を持ちます。
家庭で使用する一般的な消毒薬では効果がありませんが、熱に弱いので、食器やトイレは煮沸消毒や熱湯消毒すると効果的です。
必要に応じて支持療法を行います。
あまり重度の感染症となることはありませんが、仔猫で食欲が非常に落ちてしまった場合には、高栄養の缶詰を与えたり少量の皮下点滴をすることで、少し体調を持ち上げてあげる必要があります。
吐き気が強い場合には吐き気止めを使用して、まずはしっかり食べさせ、栄養をつけてあげましょう。