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執筆獣医師:齋藤厚子先生
[記事公開日]  [最終更新日]
[ 目次 ]

猫のジアルジア症とは

原虫の感染によって消化器症状を起こす病気です。

ジアルジアはコクシジウムなどと同じ原虫という寄生虫です。
原虫は、目には見えないほど小さな寄生虫で、他の動物への寄生性、病原性を持った単細胞生物です。

ジアルジアに感染すると、腸の粘膜の細胞に寄生して増殖し、腸粘膜を脱落させます。
そのため、下痢などの消化器症状を起こし、体力・抵抗力の低い子猫や老猫では元気・食欲の低下や脱水などを起こしてしまいます。
またジアルジアはヒトにも感染する人獣共通感染症としても注意が必要です。

内服薬で駆虫は可能ですが、生活環境を同時に消毒しないと再感染を繰り返してしまうため、管理には正しい知識が必要です。

猫のジアルジア症の症状とは

主に消化器症状を示します。

ジアルジアに感染した猫で見られる症状は、主に以下のような症状です。
・下痢
・吐き気
・元気がない
・食欲低下
・脱水
・体重減少

体力のある成猫では症状はほとんど示しません。
症状が出ても軽度の下痢や軟便という程度です。

仔猫や高齢の猫では強い消化器症状によって、全身状態の悪化がみられます。
特に仔猫は体が小さいため、嘔吐や下痢による脱水症状が出やすいので注意が必要です。

猫のジアルジア症の原因とは

ジアルジアを経口摂取することが原因です。

ジアルジアは感染した猫の便に排泄され、主にその排泄物を介して感染が広まります。
排泄物にはシストと呼ばれる休眠状態のジアルジアが排泄され、多頭飼育の場合、感染猫の便を踏んだり、汚染されたトイレを介して他の猫に感染します。

このシストは環境中でも長期間生存でき、便から猫の体に付着した後、環境中に落ちて新たな感染源となります。

またジアルジアは自然界の水や土壌など、生活環境の中にも潜んでいる原虫です。
汚染された食べ物や水を口にすることでも感染がおこります。

猫のジアルジア症の好発品種について

好発する品種はありません。

猫種による好発傾向はありません。
どんな猫でも感染し、抵抗力の低い仔猫や老猫での発症がみられます。

猫のジアルジア症の予防方法について

感染猫と接触させないようにしましょう。

完全室内飼育にすることによって、ジアルジアに感染している猫との接触リスクを減らすことができます。

新しい猫を迎える際には必ず便検査を受け、感染の有無を確認するようにします。
しかし、ジアルジアは便検査では検出できないことも多いため、無症状の場合には見落としてしまうこともあります。

下痢や軟便などの症状がみられるようであれば、便検査で異常がなくても、落ち着くまでは別々の生活環境で過ごさせるようにしましょう。

感染猫がいる場合は環境の消毒を徹底しましょう。

多頭飼育で感染猫がいる場合には、生活環境を他の猫と完全に分け、使用している食器やトイレなども徹底して消毒し、シストを環境中に残さないように心がけます。

ジアルジアのシストは一般的な消毒薬に対して強い抵抗性を持ちます。
しかし熱には弱いという性質があるため、熱湯に5分以上つけ置きする、あるいは煮沸消毒することで、シストを死滅させることができます。

布製の物は念のため一度処分して新しい物に変えた方が安心ですが、スチームクリーナーや乾燥機などで高温にさらすことでも対処できます。

トイレを清潔に保ちましょう。

排泄直後のジアルジアは感染力を持たず、少し時間が経過してから感染能を獲得します。
排便後、速やかに便を処理することで、感染力のあるジアルジアとの接触を断つことができます。

また、トイレの砂は時々すべて入れ替え、その際にトイレを熱湯消毒することでトイレを常に清潔な状態に保ちましょう。

猫のジアルジア症の治療方法について

内服薬での駆虫と念入りな環境整備が必要です。

ジアルジアの治療には抗原虫薬(内服薬)を使用します。
1週間ほど投薬したのち、便検査や検査キットで駆虫を確認していきます。

しかし、ジアルジアは同居猫や環境中からの再感染が非常に多いため、なかなか落ちにくいという問題があります。
駆虫が完了したと思ってもしばらくして再び症状が出ることもあり、治療に時間がかかる場合があります。

特に多頭飼育の場合は、すべてのトイレの消毒や、環境中に落ちたシストの除去などを徹底する必要があるため、より駆虫が難しくなります。

治療には、根気強い治療と徹底した環境整備が必要です。

支持療法で体調を整えます。

仔猫では下痢と吐き気、食欲不振によって脱水や発育不良が認められます。
身体が小さい分、全身状態の悪化も重度になりやすいので、抗原虫薬とともに皮下点滴や吐き気止めの投与を行い、高栄養の缶詰などでしっかり栄養補給してあげましょう。

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