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監修: 葛野 宗 獣医師
[記事公開日]  [最終更新日]
[ 目次 ]

犬の前立腺腫瘍とは

前立腺の腫瘍の多くは悪性です。

犬の前立腺腫瘍の発生はまれですが、その多くは悪性であると言われています。前立腺腫瘍は犬の全腫瘍の0.2%~0.6%とされています。
組織学的には腺癌や移行上皮癌が最も多く見られ、未分化癌、平滑筋肉腫、血管肉腫の発生報告もあります。

犬の前立腺腫瘍の症状とは

乏尿や血尿、便秘、しぶり、歩様の異常などがみられます。

前立腺腫瘍の一般的な臨床症状としましては、血尿、頻尿、尿淋滴、排尿困難などが見られます。

犬の前立腺腫瘍は局所浸潤性が強く、尿道、膀胱、直腸などの諸臓器の広がります。また、早期に肺、リンパ節、骨などに転移が認められることが多いとされています。
腫大した前立腺は、前立腺尿道や直腸を圧迫し閉塞することで排便および排尿障害を引き起こし、QOLを著しく低下させます。また、前立腺腫大にともなう尿路閉塞によって二次的な腎不全が生じている場合があります。
骨転移が認められる症例では、癌性疼痛や歩行障害が見られるようになります。

直腸検査において、前立腺の大きさ、形状、疼痛の有無を評価します。前立腺腫瘍が発生している場合、前立腺は腫大、硬化し、左右不対称で不整な形状を示します。とくに去勢済みの雄犬で前立腺の腫大や硬化が認められた場合は、前立腺腫瘍が疑われます。前立腺に炎症を伴うような前立腺腫瘍、前立腺炎、前立腺膿瘍などでは、触診時に疼痛が見られることがあります。

前立腺腫瘍の増殖は非常に速いため、腫瘍組織の内部が壊死を起こし、その壊死組織に石灰沈着が認められること多いです。前立腺実質の石灰沈着は前立腺腫瘍を強く疑う所見ですが、良性前立腺肥大や慢性前立腺炎でも認められることがあるため、注意が必要です。

 

 

犬の前立腺腫瘍の原因とは

前立腺や尿道などの細胞が腫瘍化します。

前立腺の細胞が腫瘍化しますが、原因はわかっていません。腫瘍が前立腺から発生したものなのか、尿道移行上皮から発生したものなのかを区別するのは困難であるとされています。ただし、前立腺腫瘍(前立腺が主な病変である腫瘍)と膀胱や尿道の移行上皮癌の生存期間を比較すると明らかに前立腺腫瘍の方が予後不良であると言われています。

犬の両性前立腺肥大症は、精巣から分泌されるアンドロジェンに関連して発生しますが、犬の前立腺腫瘍は精巣摘出の有無にかかわらず発生します。

犬の前立腺腫瘍の好発品種について

全犬種で好発します。

中高齢の雄犬見られることがあります。

犬の前立腺腫瘍の予防方法について

早期発見、早期治療をおこないます。

予防方法は無いため、早期発見、早期治療をおこないます。転移が認められない早期の場合は、生存期間が延長出来る可能性があります。

犬の前立腺腫瘍の治療方法について

外科的治療、内科的治療をおこないます。

前立腺癌が前立腺被膜内に限局し、かつ転移巣が無い早期の場合は、前立腺全摘出術などの外科的治療を検討します。しかしながら、前立腺摘出後に尿失禁などの合併症が起こること、転移が起こる可能性があることに留意しなくてはなりません。

現時点では前立腺腫瘍に対する有効性が確立された化学療法はありませんが、一部の抗癌剤の投与が有効であったとの報告があります。また、COX-2阻害薬と呼ばれる非ステロイド性の抗炎症薬の投与により、生存期間の延長が期待出来ると考えられています。

放射線治療は、排便および排尿困難に対する症状緩和や、骨転移に対する疼痛緩和目的で実施されることがあります。その他に緩和的治療として、尿道ステント設置や緩下薬の投与を考慮します。

犬の前立腺腫瘍の生存期間は、無治療で約1か月、内科療法(ステロイド性の抗炎症薬の単独、ステロイド性の抗炎症薬+化学療法の併用)で約2~6か月、外科手術(前立腺部分摘出術または全摘出)で約4~8か月と報告されています。

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