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執筆獣医師:齋藤厚子先生
[記事公開日]  [最終更新日]
[ 目次 ]

猫のパスツレラ感染症とは

パスツレラ菌による人獣共通感染症です。

パスツレラ感染症とは、Pasteurella murtocidaによっておこる日和見感染症です。
犬や猫の口腔内には高確率でパスツレラ菌が存在しており、猫ではほぼ100%の保有率とされています。

猫は通常、症状を示すことはありませんが、ケンカによって咬まれた部分が化膿する原因となり、免疫が低下した猫では気管支炎や肺炎などの呼吸器症状を示すことがあります。

パスツレラ菌は犬や猫だけでなく、人にも感染する人獣共通感染症の一つです。
人には、猫に引っ掻かれた、咬まれたという場合の他、猫との過剰なスキンシップ(キスをしたり、口移しで食べ物をあげるなど)によっても感染することがあります。
赤ちゃんや高齢者では重篤な症状を起こす場合もあるため、特に注意が必要です。

猫のパスツレラ感染症の症状とは

猫は通常は無症状です。

パスツレラ菌は、猫ではほぼ100%保有している常在細菌です。
健康な猫では症状を示すことはほぼありません。

免疫が低下するような病気になった場合、稀に呼吸器症状を示すことがあります。
・気管支炎
・肺炎

また、猫同士のケンカ傷が化膿する原因にもなります。
関節部分を深く咬まれると、関節内に感染が起こり、関節炎をおこすこともあります。

人獣共通感染症として重要です。

パスツレラ菌は猫だけでなく、人にも感染することがある人獣共通感染症です。
特に赤ちゃんやお年寄り、糖尿病などの基礎疾患がある人が感染すると、重篤な症状が出るため、注意が必要です。
・咬まれたり引っ掻かれた部分が化膿して腫れる
・発熱
・敗血症
・骨髄炎
・呼吸器症状

人のパスツレラ症の約60%は呼吸器症状が占めます。
基礎疾患として、気管支拡張症や結核、腫瘍などがあると慢性化しやすく、軽度の風邪症状から重篤な肺炎まで様々な程度の症状がみられます。

人が猫に咬まれると、皮膚から感染したパスツレラ菌によって、腫れや痛みなどの他、発熱や蜂窩織炎などを起こし、糖尿病などの基礎疾患がある場合には骨髄炎などに発展して命に関わる場合もあります。

猫のパスツレラ感染症の原因とは

猫との濃厚接触によって人に感染します。

猫の口腔内に常在しているパスツレラ菌によっておこります。

猫から人への感染は、猫に咬まれる、引っ掻かれるといったケガの他、猫とキスしたり、口移しで食事を与えるなどといった濃厚接触によっておこるとされています。
猫に人が使っているスプーンからアイスクリームを舐めさせる、という程度でも感染が起こります。

また、猫の咳やくしゃみなどの飛沫から感染することもあります。

猫のパスツレラ感染症の好発品種について

全猫種で好発します。

多くの猫が保有している常在菌です。

猫のパスツレラ感染症の予防方法について

室内で飼育し、爪をこまめに切りましょう。

室内で飼育することで、他の猫と接触してケンカする機会を減らすことができます。

また、爪をこまめに短く切っておくことで、多頭飼育の場合のケンカ(じゃれあい)や、飼い主さんが不意に引っ掻かれた際に傷から感染することを防げます。

過剰なスキンシップは避けましょう。

猫の口に直接接触するような過剰なスキンシップはやめましょう。
基本的なことですが、猫に触った後手洗いをすることも十分予防効果があります。

赤ちゃんのいる世帯では、赤ちゃんの哺乳瓶やオモチャなどを猫が舐めてしまうことがあります。
極力、猫が接触できないように片づけ、赤ちゃんが触れる物は定期的に消毒するようにしましょう。
また、赤ちゃんが猫に咬まれる、引っ掻かれるということがないように、気を付けて生活する必要があります。

室内の換気・掃除を定期的に行いましょう。

猫の咳やくしゃみの飛沫からも感染が起こることがあります。
定期的にお部屋の換気をし、室内を掃除して衛生的に保つことも、感染の予防となります。

猫のパスツレラ感染症の治療方法について

抗生物質で治療します。

猫では通常症状を示さないため、治療が必要になることはありませんが、ケンカ傷などが化膿した場合には抗生物質の投与が有効です。

猫同士のケンカによってケガをした場合には、傷口をこまめにチェックし、腫れたり痛みが強い場合には早めに病院へ連れて行きましょう。

特に咬み傷は、パスツレラ菌が傷の深部に押し込まれ、化膿することが多いので注意が必要です。

人が猫に咬まれた、引っ搔かれたら病院を受診しましょう。

まずは傷口をよく洗いましょう。
傷が浅く、そのまま治れば問題ありませんが、腫れたり痛みが出たり、熱が出たりした場合には速やかに病院を受診し、猫に咬まれた旨を伝えましょう。

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