犬の骨折とは
骨折とは、骨組織の連続性が絶たれることです。
骨折とは、骨組織の連続性が絶たれることを言いますが、体の色々な部分に起こります。犬の場合は、多くは四肢に見られます。
犬の骨折の症状とは
骨折の症状
骨折した骨の周りの組織は腫れて熱を持ち、痛みを伴います。その他の症状は骨折が起こった部位や程度によって様々です。
足の骨折であれば、多くは骨折した足を地面に着けずに足を挙げて歩きます。
背骨の骨折では、同時に脊髄の損傷を伴うことがあり、足の麻痺などの神経的な症状を示すことがあります。
骨折の分類
骨折のタイプの分類には様々なものがあります。
1.不完全あるいは完全骨折
不完全骨折とは、その部位の骨は骨皮質の破損を有するが、完全な不連続性ではない骨折のことを言います。不完全骨折のタイプには、骨皮質が凸面側で破損している若木骨折、骨皮質が凹面側で破損している隆起骨折があります。
完全骨折とは、骨折が骨皮質全体に広がっているものを言います。完全骨折のタイプには、横骨折、斜骨折、螺旋骨折、粉砕骨折などが挙げられます。
2.非開放性骨折あるいは開放性骨折
非開放性骨折とは、骨折部を覆う皮膚および軟部組織に損傷がないものを言います。
開放性骨折とは、骨折を覆う皮膚および軟部組織に穿孔があるものを言います。
3.圧迫骨折
骨折片の端部が通常、骨の短縮や圧縮を引き起こすように互いに圧迫している骨折のことを言います。明瞭な骨折線は見えないことが多いです。
4.病的骨折
基礎疾患あるいは不完全部分の発達によって脆弱化した骨の骨折のことを言います。腫瘍、上皮小体機能亢進症、骨嚢胞などが原因として挙げられます。
5.疲労骨折
ストレス骨折と呼ぶこともあります。反復的なストレスが、骨の修復よりも早く骨構造に障害を引き起こすときに骨折が発生します。
犬の骨折の原因とは
外傷、病気などの原因があります。
交通事故や高所からの落下、咬傷などが主な原因で骨に対して外側から異常な力が加わることによって発生します。
他には、骨の腫瘍などによって骨組織が傷害され、骨が脆弱化したときに起こる病的骨折や、稀ではありますが、小さな力が同じ箇所に連続して加わった時に起こる疲労骨折もあります。
犬の骨折の好発品種について
以下の犬種で好発がみられます。
- アイリッシュセッター
- イタリアングレイハウンド
- サルーキ
- チワワ
- トイプードル
- パピヨン
- ポメラニアン
- ボルゾイ
- マルチーズ
- ミニチュアピンシャー
- ヨークシャーテリア
イタリアングレイハウンド、チワワ、トイプードル、パピヨン、ポメラニアン、マルチーズ。ミニチュアピンシャー、ヨークシャーテリアなどの小型犬種は骨があまり強くないため、ソファーなどのある程度の高さがある場所から飛び降りただけでも前肢が骨折することがあり、注意が必要です。
アイリッシュセッター、サルーキ、ボルゾイなどのスリムで筋肉が少ない大型犬種も注意が必要です。
犬の骨折の予防方法について
普段の生活に注意しましょう。
抱っこしている時に落とさない、ソファーなどの高さがある場所にはスロープを設置する、滑りやすいフローリングにはマットを敷く、など普段の生活や環境を整えることで骨折のリスクを減らすことが出来ます。
また、交通事故に遭わないように外に出る時はリードでコントロール出来るようにしましょう。
犬の骨折の治療方法について
骨の整復をおこないます。
骨折の治療の原則は、骨折した骨を正常な位置に戻し、骨が再生、癒合するまでずれないように安定化させることです。治療方法は骨折の形態や発生部位、動物の年齢などによって様々です。
金属製のプレート、スクリュー、ピンなどを用いて骨折を固定する方法や、外部から骨折を固定する創外固定法などがあります。また、骨折が軽度であれば、ギプスによる固定のみの保存的な治療をおこなうこともあります。
手術後、全身状態に問題が無ければ、自宅で抗生物質を経口投与しながら経過を観察することができます。併せて通院し、術部の感染の有無を確認したり、ギプスをを巻き替えたりします。また、定期的にレントゲン撮影をおこない、術部の状態を調べます。レントゲン検査で骨折が治癒した所見が得られるまでは、運動制限が必要になる場合があります。手術の内容によっては、プレートやスクリューなどの固定器具の除去のため再手術をおこなう場合があります。
治癒にかかる時間は、骨折の程度や動物の年齢、健康状態などによって様々です。通常、予後は良好ですが、骨折の程度が重度だった場合は、機能的に完全に回復しないことがあります。また、術後再骨折や固定器具のずれなどによって再手術が必要になることがあります。