猫のノミ刺咬性皮膚炎とは
ノミに刺されることによっておこる皮膚障害です。
外に出る猫には、ネコノミが寄生することがあります。
日本では夏から秋の終わりにかけてノミが活発に繁殖し、動物に寄生すると約5時間で吸血を始め、吸血後24時間で卵を産むとされています。
ノミのメスは1回の産卵で20~50個もの卵を産むため、ノミ対策をしていなければ数日でノミが爆発的に増えることになり、そのノミに刺されることによって全身には痒みなどの症状が出ます。
ノミによっておこる皮膚障害には、ノミアレルギー性皮膚炎とノミ刺咬性皮膚炎がありますが、アレルギー性皮膚炎は免疫反応によって引き起こされる痒みであるのに対し、ノミ刺咬性皮膚炎は刺された部分の皮膚に直接的な皮膚障害です。
いずれの場合も、ノミを早急に駆除することが解決のカギです。
猫のノミ刺咬性皮膚炎の症状とは
ノミに刺された部分の皮膚の痒み・炎症がみられます。
ノミ刺咬性皮膚炎では、刺された部分に限局して以下のような症状が出ます。
・発疹
・瘡蓋
・赤み
・痒み
気付くのが遅れて大量増殖してしまうと、全身に発疹や痂皮ができるため、体全体を痒がるようになり、撫でると皮膚がボコボコしていることに気づきます。
寄生するノミの数が増えれば増えるほど、痒みなどの症状が強くなり、足で強く掻くことによって脱毛や皮膚の掻き壊しなども起こってしまいます。
ノミが大量に寄生することによって、被毛をかき分けると毛の付け根にノミの糞(黒い細かな粒)が付着しているのが見えるようになり、ブラッシングすると糞やノミがパラパラと落ちるようになります。
ノミの糞は吸血した血液成分を含むため、水を付けると赤くにじむのが特徴です。
ノミは非常に素早く、毛をかき分けても見つからないこともありますが、多数寄生するようになると毛の付け根を走って逃げるノミの姿を確認することができます。
猫のノミ刺咬性皮膚炎の原因とは
ノミの刺咬によっておこります。
ノミが吸血のために皮膚を刺すため、その部分に炎症が起こり、発疹や瘡蓋、痒みなどが現れます。
猫のノミ刺咬性皮膚炎の好発品種について
全猫種で好発します。
どんな猫にも起こります。
猫のノミ刺咬性皮膚炎の予防方法について
ノミの予防・駆除薬を定期的につけて予防しましょう。
ノミの予防・駆除薬として、多数のメーカーから利便性の高い薬剤が販売されています。
多くの商品はノミだけでなく、ダニや消化管内の寄生虫にも同時に対応しているため、生活スタイルや目的に合わせて選ぶと良いでしょう。
ノミが活発に繁殖するのは温かい時期ですが、多くの家庭では暖房設備が整っており、そのような家庭内にノミが入り込んだ場合、冬でもノミの寄生・増殖がみられることがあります。
一度ノミに寄生されたことがある猫ちゃんの場合は、ノミの駆除とともに室内の徹底的な清掃をしたのち、念のためできるだけ長い期間予防薬を継続して付けることをお勧めします。
室内で飼育することでノミとの接触機会を断つことができます。
ノミは一般的には屋外におり、外で遊んで帰ってきたときに寄生していることが多い寄生虫です。
感染の機会を減らす、断ち切るためには、完全室内飼育にすることが効果的です。
猫のノミ刺咬性皮膚炎の治療方法について
ノミの駆除を行います。
ノミ刺咬性皮膚炎の治療にはノミの駆除が第一です。
ノミ駆除薬を投与し、ノミを死滅させた後、皮膚や被毛に付着したノミの死骸や卵、幼虫をシャンプーで念入りに洗い流しましょう。
多頭飼育の場合は、すべての猫(犬がいる場合は犬も)に同様の処置が必要です。
皮膚病変の治療を行います。
小さな発疹が数か所ある程度であれば、皮膚自体の治療は特に必要ありません。
掻き壊して広い範囲に炎症が起こったり、細菌感染を伴っている場合にのみ、消炎剤や抗生物質を使用することがあります。
生活環境の清浄化は念入りに行う必要があります。
一度家庭内にノミが入った場合は、念入りに室内の掃除をする必要があります。
ノミは繊維性のもの(クッションやベッド、カーペット、ソファなど)に隠れるため、廃棄できるものは一度新しいものに変え、ソファやカーペットなど、交換できないものに関してはリビング用の殺虫スプレーや燻煙剤を検討しましょう。
しかし、これらは動物の体にも影響を与えます。
使用する際はペットも人も部屋から避難し、使用した後はよく換気をするようにしましょう。
また、毎日掃除機を念入りにかけ、ノミの死骸などを取り除くとともに、殺虫剤成分が動物の口に入らないように気を付けましょう。
サナダムシにも対応が必要です。
ノミが媒介する寄生虫として、サナダムシ(瓜実条虫)にも気を付けなければなりません。
サナダムシは消化管の中に寄生する白く細長いテープ状の寄生虫で、ノミに吸血されることによって感染が成立します。
寄生されても無症状の場合も多いですが、下痢や体が痩せるなどといった症状が出ることもあります。
また、お尻から白いテープ状、または粒状の虫が出てくることもあります。
ノミの駆除薬の中には、サナダムシにも対応したものがあります。
そのような駆除薬を使用すると、一度でノミとサナダムシを駆除でき便利です。
また、サナダムシはノミとは別に内服薬で駆虫することも可能です。
ノミがいる場合には、ほぼサナダムシにも寄生されていると考えていいほど感染率が高いため、一緒にケアしてもらうようにしましょう。