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監修: 葛野 宗 獣医師
[記事公開日]  [最終更新日]
[ 目次 ]

犬の急性膵炎とは

膵臓が自己消化を引き起こす疾患です。

膵臓とは胃と小腸に挟まれた内分泌・外分泌器官であり、この疾患では時間~日単位の短い期間で炎症が劇的に発生します。重度の場合、強い腹痛が認められることがあり、ふせのままお尻だけを上げる「祈りの姿勢」と呼ばれるポーズでお腹を庇います。

急性膵炎は全身性炎症性反応症候群(SIRS)をはじめとして、播種性血管内症候群(DIC)、多臓器不全(MOF)と連鎖的な急激な病状の悪化により死に至ることがあり、すみやかに動物病院に連れていく必要があります。また、治療後に糖尿病や膵外分泌不全などの大きな病気が続発することがあります。

急性膵炎では発症から~48時間までに治療を開始できるかが予後に大きく関わります。

犬の急性膵炎の症状とは

嘔吐、下痢、食欲不振が見られます。重度の場合強い腹痛が見られます。

さきほどまで元気だった犬が急に激しい嘔吐、元気消失を起こし、激しい腹痛により「祈りの姿勢」をとることもあります。膵臓の位置する上部消化管の出血が原因になる黒い便がみられる場合もあります。

膵臓には強力な消化酵素が含まれており、正常な状態では食物の消化を助けます。この酵素は不活性化された状態で保管されており膵臓を溶かすことはありません。様々な原因により膵臓の消化酵素が異常に活性化し、膵臓自身を消化しはじめることで急激な炎症反応が引き起こされます。

急性膵炎が進行すると消化液が腹腔に漏れ出し腹膜炎を起こし、また肝臓から分泌される消化液である胆汁の流れを障害することによる肝障害や、腸管から逆流した腸液に含まれる細菌の膵臓への感染など多様で劇的な症状が一気に併発します。

これらの傷害により炎症を発生させる物質(炎症性サイトカイン、フリーラジカル)が全身に波及し、SIRSが発生します。全身の血管では微小出血とその修復が繰り返され、また活性化した膵臓の酵素により血液凝固系(血小板や関係する物質で血を固め、出血を抑えるシステム)が異常に活性化します。全身のいたる臓器で血栓ができ、血小板が不足し、出血が止まらなくなります。この状態をDICといい、最終的にMOFに至り犬は死亡します。

犬の急性膵炎の原因とは

肥満や高脂肪食、他にも色々な要因が報告されています。

膵臓の酵素が自己消化を起こすきっかけとして、肥満や脂肪の多く含まれる食事の多給、物理的な衝撃などによる膵臓の障害、クッシング症候群、糖尿病、腎不全などの代謝性の疾患、腫瘍などの関連が報告されています。

犬の急性膵炎の好発品種について

以下の犬種で好発がみられます。

5歳以上の中高齢の犬がよく罹患する疾患です。

トイ・プードル、ミニチュア・シュナウザー、ヨークシャー・テリア、ウェスト・ハイランド・ホワイト・テリア、イングリッシュ・コッカー・スパニエル、アメリカン・コッカー・スパニエル、コリー、ボクサー、キャバリアキングチャールズスパニエルなどが好発犬種だと言われています。

犬の急性膵炎の予防方法について

肥満症を予防するための食事管理をおこないます。

脂肪の多く含まれた食事や、肥満状態は急性膵炎の高リスク群だと言われています。犬を適切な体重に維持し、必要以上のおやつを上げないことである程度の予防効果を期待できます。

犬の急性膵炎の治療方法について

膵炎の強い炎症を抑え、輸液や鎮痛剤で状態を改善させます。

早期の治療では輸液、制吐剤、鎮痛剤、抗炎症剤などの投与を行います。脱水を改善し、循環動態を保つために輸液を行います。制吐剤の投与は、胃酸の過剰分泌による悪影響を抑え、食欲を回復させ早期の食事の開始を目的としています。腹痛が強い場合、鎮痛剤を投与します。また、感染の所見がある場合は抗生物質の投与も行われます。

症状が回復してきた場合、食事療法食である低脂肪食の給餌が行なわれます。低脂肪食の給餌は膵炎の再発を防ぐ目的があります。

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