猫の皮膚血管炎とは
毛細血管に炎症が起こる病気です。
皮膚血管炎とは皮膚や皮下組織に分布する毛細血管の壁に炎症を起こす病気です。
猫ではあまり多くみられる病気ではありませんが、稀に耳の先端などに発症し、耳の皮膚の辺縁が壊死してギザギザになることがあります。
細い血管で炎症が起こることで、その先への血流が悪くなり、皮膚の血行障害や壊死が起こります。
発症する過程には免疫反応が関与していると考えられており、薬物に対する副作用(ワクチンも含む)や感染症、食べ物に対する反応、ノミ・ダニ・蚊などの刺咬症、腫瘍、皮膚の免疫疾患などが誘因になるとされています。
よく見られる症状は耳にみられますが、足の先や尻尾の先端など、他の体の末梢部分に症状が出ることもあります。
また、免疫反応によって発熱や食欲不振などの全身症状がみられることもあり、発症した場合には全身的な治療が必要になります。
猫の皮膚血管炎の症状とは
主に皮膚病変が見られます。
猫の皮膚血管炎では、主に耳の辺縁の皮膚に症状が現れます。
血流が悪くなることにより、皮膚にクレーター状の潰瘍を形成したり、脱毛、斑点状の内出血、壊死などがみられます。
皮膚が壊死した結果、耳の縁がギザギザと不整形になるのが特徴的です。
また耳の他では、足の先端や尻尾の先端などにも症状が現れることがあり、症状の重いものでは発熱や食欲不振といった全身症状も見られます。
猫の皮膚血管炎の原因とは
免疫異常によっておこります。
はっきりとした原因はわかっていませんが、免疫に何かしらの刺激があることによって免疫異常が起こり、血管炎になるのではないかと考えられています。
犬では皮膚だけでなく腎臓など内臓にも炎症が起こることがありますが、猫では発生自体少なく、皮膚以外の症状はあまり報告されていません。
免疫異常を起こすきっかけとしては、以下のようなものが考えられています。
・細菌や寄生虫などの感染
・腫瘍
・ウイルス感染
・蚊などによる刺咬症
・食べ物へのアレルギー反応
・薬剤への副反応
体の中ではこれらの原因物質(抗原)に対する抗体が作られて結合し、抗原抗体複合体というものを作ります。
これが血管の内側に付着して炎症を起こし血管が腫れるために、血流が悪くなり発症すると考えられています。(Ⅲ型アレルギー)
猫の皮膚血管炎の好発品種について
好発する品種はありません。
特にありません。
猫の皮膚血管炎の予防方法について
予防することはできません。
皮膚血管炎を予防する効果的な方法はありません。
原因となる物質を避けることができればいいのですが、何が原因となるかを事前に知ることは難しく、発症後も特定できない場合があります。
猫の皮膚血管炎の治療方法について
原因物質を除去します。
原因を特定するのは非常に難しいですが、例えば薬剤の投与や食事の変更によって発症したと考えられる場合には、それらを中止することが必要です。
犬ではワクチンに反応して発症する症例があり、そのような場合にはワクチン接種を検討する必要がありますが、猫ではワクチン接種との関連性は報告がありません。
皮膚に病変を作るため、細菌感染やノミ・ダニ・ニキビダニなどによる皮膚炎との鑑別診断も行い、感染があればそれぞれに対応した治療を行うことで進行が抑制できます。
軽症の場合はペントキシフィリンを投与します。
症状が軽度の場合には、ペントキシフィリンというお薬を投与します。
このお薬は毛細血管や細血管の循環を改善するとともに、免疫細胞にも働きかけ、炎症を抑える効果があります。
重度の場合にはステロイド剤などを使用します。
炎症が重度の場合には、ステロイド剤や免疫抑制剤で治療を行う場合もあります。
これらのお薬には強い副作用が起こる場合があり、また原因疾患によっては症状の悪化がみられる場合もあるため、慎重に投与することが必要です。
外用薬の塗布も補助的に行います。
血流改善効果のある外用薬の塗布を行う場合もあります。
劇的な効果は期待できませんので、内服薬での治療の補助として行います。