猫の疥癬症とは
ネコショウセンコウヒゼンダニによる感染症です。
猫の疥癬症はネコショウセンコウヒゼンダニが寄生することによっておこる皮膚疾患です。
ヒゼンダニは皮膚の角質層に穴を掘り、そこに寄生してメスは卵を産みます。
卵から孵化すると約14日間で成虫へと成長しますが、幼虫期から成虫期まですべての形態の虫体が猫の皮膚に感染性を持ちます。
ネコショウセンコウヒゼンダニは猫同士の接触によって感染し、主に屋外やペットショップ、保護施設などで感染がみられます。
感染すると、虫体や虫体からの排泄物に対するアレルギー反応が起こり、それによって皮膚症状が現れます。
ヒゼンダニが多数寄生する耳を中心に症状が現れ、徐々に頭や顔、首へと拡大します。
分厚い鱗屑(ふけ)と、強い痒みが現れるのが症状の特徴です。
人や犬の皮膚では増殖しませんが、一過性に感染することで痒みなどの症状が出ることがあります。
多頭飼育下では全頭に感染が蔓延することがあるため、早めの対応が重要です。
猫の疥癬症の症状とは
耳から頭部、頚部の皮膚症状が顕著です。
ネコショウセンコウヒゼンダニは猫の耳介を好んで寄生します。
そのため、病変の中心は主に耳の周りですが、発見が遅れると徐々に拡大し、頭部、顔、首などにも症状がみられます。
さらに重症化すると、体幹や四肢にも症状が拡大します。
主に見られる症状は以下の通りです。
・強い痒み
・皮膚の赤み、腫れ
・分厚い鱗屑(ふけ)
・脱毛
・掻き壊しによる傷、出血
激しく耳を掻いたり頭を振ったりすることによって、時には耳血腫(耳の皮膚の下で出血が起こり腫れる)になってしまうことがありますので、痒みの症状が見られたら早めに病院を受診するようにしましょう。
猫の疥癬症の原因とは
ネコショウセンコウヒゼンダニの寄生が原因です。
猫の疥癬症の原因はネコショウセンコウヒゼンダニの寄生です。
このヒゼンダニは猫の皮膚でしか繁殖を行えず、猫同士の接触によって感染します。
屋外に出る猫では、野良猫などから感染し、またペットショップや保護施設などでも感染が蔓延しているとうつされてしまうことがあります。
感染している猫に使用したコームやブラシなどに付着した虫体などからも感染が起こる場合があるため、皮膚症状がある猫をトリミングなどに連れていくことはやめましょう。
人や犬にもヒゼンダニの寄生がありますが、種類が異なるため、猫には一般的には寄生しません。
また猫のヒゼンダニも人や犬の皮膚では繁殖できませんが、一過性に寄生することで痒みなどの症状が現れることがあります。
猫の疥癬症の好発品種について
全猫種で好発します。
特にありません。
どんな猫でも感染し、特に屋外へ出ることが多い猫に感染がみられます。
猫の疥癬症の予防方法について
外に出さないことが予防策の一つになります。
感染している猫との接触によって感染が成立しますので、室内飼育を徹底することで予防できます。
猫を新しく迎える場合には注意しましょう。
新しく猫を迎える場合には、すでに感染している可能性があるため、注意が必要です。
健康診断を受け、ワクチン接種が終わるまでは先住猫と生活環境を分け、その間は皮膚に痒みや脱毛、多量のフケなどの症状が出ないか確認します。
可能であれば、予防を兼ねて一度駆虫薬を投与してから他の猫と一緒にするようにしましょう。
予防薬(駆虫薬)があります。
室内飼育が主流となり、お散歩で外に出ることは少なくなった猫ですが、脱走癖のある子や自由に外に出かける猫の場合は、定期的に予防薬(駆虫薬)を投与して感染を予防しましょう。
今はスポットタイプの背中に月一回つけるだけのお薬もあり、非常に便利です。
猫の疥癬症の治療方法について
駆虫薬を投与します。
感染が確認出来たら、速やかに駆虫薬を投与する必要があります。
今では背中に垂らすスポットタイプのお薬が主流になりましたが、皮下注射で投与するタイプの駆虫薬もあります。
どのお薬で治療するかは動物病院ごとに方針が異なるため、かかりつけの獣医さんとよく相談しましょう
また、駆虫薬の投与後は副作用で体調が悪くなることもあるため、少し安静に過ごし、様子をよく観察しましょう。
同居猫と生活環境への対策が必要です。
感染が確認された猫の他に、同居している猫がいる場合には、すべての猫への駆虫薬の投与が必要です。
ヒゼンダニは猫同士で感染が起こるため、症状の有無に関わらず、全ての猫が感染している可能性があります。
また、生活環境にはあまり移動しないとされていますが、脱落した鱗屑や毛に付着している場合がありますので、念のためベッドや使用しているタオルなどは念入りに掃除機をかけたり洗浄するようにし、再感染を予防しましょう。