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執筆獣医師:齋藤厚子先生
[記事公開日]  [最終更新日]
[ 目次 ]

猫のエプリスとは

歯肉にできる良性の腫瘤です。

エプリスとは、歯肉に形成される腫瘤を総称したものです。

エプリスは構成する組織によって炎症性エプリスと腫瘍性エプリスに大きく分けられ、腫瘍性エプリスは骨組織を含むか含まないかによって線維腫性エプリスと骨形成性エプリスに分けられます。
大きな分類は以下の通りです。

 炎症性エプリス
 ・線維性エプリス
 ・巨細胞性エプリス
 腫瘍性エプリス
 ・線維腫性エプリス
 ・骨形成性エプリス

以前は犬で見られる棘細胞性エプリスもこの中に含まれていましたが、現在は歯原性腫瘍に分類されるようになりました。

エプリスは腫瘍性であっても肺など他の臓器への転移はありませんが、稀に外科手術後に再発することがあります。
しかし、猫ではエプリスの発生自体稀です。

猫のエプリスの症状とは

歯肉に盛り上がった腫瘤がみられます。

エプリスが形成されても、あまり目立った症状は見られないことがほとんどです。
歯磨き時や投薬時など、飼い主さんが口の中を見る機会がある際に、歯肉から突出する腫瘤を発見することで初めて気づかれます。

腫瘤は歯肉からカリフラワー状、またはボタン状に突出した、付け根にくびれのある有茎状のことが多く、歯が当たる部分にできていると出血していることがあります。

良性ですが、少しずつ大きくなっていくため、徐々に食べづらさが出てきたり、涎を垂らしたり、口臭の原因となることがあります。

猫のエプリスの原因とは

炎症性に発生します。

炎症性エプリスは、歯肉や歯を支える歯根膜、歯槽骨膜に何らかの刺激が働いて増殖したものと考えられています。
歯石の付着や歯周病などが要因の一つとなります。

腫瘍性に発生します。

線維腫性エプリスは歯根膜由来の結合組織からできる良性腫瘍で、骨形成性エプリスはその亜型とされています。
腫瘍が発生する原因は明らかにはなっていません。

猫のエプリスの好発品種について

好発する品種はありません。

特にありません。
猫ではエプリスの発生自体が少ないとされています。

猫のエプリスの予防方法について

口腔ケアで予防と早期発見に努めましょう。

日常的に口腔ケアを行う習慣をつけ、歯石の付着や歯肉炎の発生を予防することは、炎症性エプリスの予防につながるとともに、早期発見・早期治療を可能にします。

猫のエプリスの治療方法について

外科切除します。

エプリスの治療方法は外科的切除です。
付け根にくびれのある有茎状のものはその付け根から切除し、境界が不明瞭なタイプはできるだけ付け根を広く切除します。

腫瘍性エプリスの場合は歯を支える歯根膜から発生しているため、歯肉や歯槽骨を含めて深く切除することが必要となり、場合によってはその部分の抜歯を余儀なくされることもあります。

口腔ケアを行います。

腫瘍の切除と同時に、歯石の除去と歯肉のケアも行います。
特に炎症性エプリスは歯周病などの外的刺激によって生じるため、治療と再発予防の観点から日常的な口腔ケア(歯磨きなどのデンタルケア)を継続することが重要です。

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