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監修: 葛野 宗 獣医師
[記事公開日]  [最終更新日]
[ 目次 ]

犬のインスリノーマとは

膵臓のβ細胞の腫瘍です。

膵臓の機能には外分泌(膵液分泌)と内分泌(ホルモン分泌)があります。膵臓の組織の90%以上は外分泌腺が占め、アミラーゼやリパーゼなどの消化酵素を含む膵液を合成し、分泌します。外分泌腺の中に島のように存在する内分泌腺は、ランゲルハンス島(膵島)細胞と呼ばれ、主に4種類(α細胞、β細胞、σ細胞、PP細胞)から合成されています。α細胞からはグルカゴン、β細胞からはインスリン、σ細胞からはソマトスタチン、PP細胞からは膵ポリペプチドをそれぞれ分泌しています。

インスリノーマは、膵臓のβ細胞の機能的な腫瘍で、罹患した動物では過剰なインスリン産生によって低血糖を生じます。

犬のインスリノーマの症状とは

低血糖を引き起こします。

過剰なインスリン産生、分泌されることで低血糖が生じ、発作、虚脱、運動失調などの神経症状が認められ、進行すると腫瘍に随伴して末梢性ポリニューロパチー(運動や感覚の障害)も認められることがあります。しかしながら、血糖値の低下が軽度である場合や時間をかけて低下したような場合は、低血糖に耐性を示し、神経症状などが認められないことがあります。

犬のインスリノーマの場合、悪性であることがほとんどであり、診断時には所属リンパ節転移や肝転移などを起こしていることが多いとされていますが、肺への転移はまれとされています。

犬のインスリノーマの原因とは

膵臓のβ細胞由来の腫瘍です。

インスリノーマは、膵臓のβ細胞の機能的な腫瘍であるとされています。インスリノーマは膵臓の内分泌腫瘍の代表的なものであり、それ以外の内分泌腫瘍(ガストリノーマ、グルカゴノーマ、ソマトスタチノーマなど)も少数ながら発生例が報告されているものの、日常遭遇する機会はほとんどないとされています。

犬のインスリノーマの好発品種について

全犬種で好発します。

アイリッシュセッター、ゴールデンレトリバー、ジャーマンシェパード、ボクサー、ラブラドールレトリバーなどの犬種で多く見られます。

犬のインスリノーマの予防方法について

早期発見、早期治療をおこないます。

インスリノーマには予防方法はありません。早期発見、早期治療をおこないます。

犬のインスリノーマの治療方法について

外科療法

切除が可能であれば、膵臓にある腫瘍を外科手術により摘出します。
基本的にはインスリノーマに対する膵臓部分切除術は、減量手術もしくは緩和的手術と位置付けられており、インスリンを過剰生産する腫瘍細胞を可能な限り減らし、血糖値を長期間維持できることを目的としておこないます。早期にインスリノーマを発見することができれば、膵臓の部分切除で肉眼的に取り切れる可能性があります。周囲に存在するリンパ節に転移を起こしやすいため、可能な限りリンパ節の切除が推奨されています。また、肝臓への転移が疑われる場合にはその領域を切除します。

内科療法

最終的には手術をおこなっても転移が認められることから、抗がん剤による治療を術後に検討すべきであるとされています。腫瘍が膵体部にあって切除が困難な場合も投与を検討します。ストレプトゾシンと呼ばれる抗がん剤が膵島のβ細胞に対して選択的に毒性を示すため、インスリノーマの治療に用いられています。ストレプトゾシン以外の内科療法は、緩和的なもにになります。食事は少量頻回にして、できる限り血糖値の維持に努めます。

予後

ヒトのインスリノーマは90%以上が良性とされていますが、犬のインスリノーマは90%以上が悪性のため、予後は悪いとされています。診断時には30~50%の犬で転移が確認されています。
ステージⅠおよびステージⅡのインスリノーマの罹患犬における生存期間の中央値は18ヶ月とされていますが、ステージⅢでは6ヶ月と悪くなってしまいます。可能な限り早期に診断をおこない、外科療法によって血糖値がコントロールできるようになれば、QOLの改善と生存期間の延長が得られる確率が高くなります。
外科療法もしくは抗がん剤療法単独、あるいは併用であっても、実施後に糖尿病となってインスリンの補充が必要となる場合が、もっとも生存期間の延長とQOLの長期間維持が見込めるとされています。したがって、これらの治療法を組み合わせて総合的に治療を展開することがインスリノーマの症例にとって最良の方法であると言えます。

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