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監修: 葛野 宗 獣医師
[記事公開日]  [最終更新日]
[ 目次 ]

犬の多発性筋炎とは

全身性の炎症性の筋肉の疾患です。

多発性筋炎とは、犬における全身性のミオパチーです、ミオパチーとは、筋肉の疾患のことであり、この中で炎症を伴うものを筋炎と呼びます。

犬の多発性筋炎の症状とは

全身性の症状が見られます。

全身の筋力低下による運動不耐性、筋硬直による木馬様歩行、痛みによる頸部屈曲、全身(とくに体幹部)の筋委縮と巨大食道症などが認められます。嚥下障害が認められる場合もあります。その他に、声がかすれるような発声障害、全身の筋肉痛、間欠的発熱なども見られます。咀嚼筋も一緒に侵されることもあり、その際には開口困難なども見られます。四肢の筋肉が虚弱になるため、全身の下位運動ニューロン徴候を示します。巨大食道症による二次的な誤嚥性肺炎を呈することもあります。

多発性筋炎が疑われる場合、まず感染性筋炎や傍腫瘍性のミオパチーを除外します。筋炎の診断では、臨床所見の合致、CKの上昇、電気生理学的な検査の所見、感染症の除外、筋生検による炎症所見、の中で3つ以上当てはまる場合に多発性筋炎と診断します。とくに治療については免疫抑制療法が使用されるため、感染症の除外は必須となります。

犬の多発性筋炎の原因とは

免疫介在性疾患と考えられています。

筋炎は感染(トキソプラズマやネオスポラなどの原虫、レプトスピラなど)が原因となる疾患と、免疫が関与すると思われる非感染性に分類されます。多発性筋炎は、体幹、四肢や顔面などの全身の骨格筋に広範に認められるリンパ球と組織球系の細胞浸潤を伴った免疫介在性疾患と考えられています。ただし、抗原が惹起される原因、抗体の存在は不明であるとされています。

 

 

 

 

犬の多発性筋炎の好発品種について

全犬種で好発します。

年齢、犬種に関係なく発症しますが、大型犬ならびに高齢犬に好発する傾向にあるとされています。

犬の多発性筋炎の予防方法について

早期発見、早期治療をおこないます。

多発性筋炎は、免疫介在性疾患と考えられているため、予防は難しいと言えます。早期発見、早期治療をおこないます。

犬の多発性筋炎の治療方法について

免疫抑制療法をおこないます。

免疫抑制療法を徹底しておこないます。コルチコステロイドを免疫抑制量で投与します。重度の病態であると判断された場合は、さらに高用量で投与することもあります。ただし、巨大食道症などに続発した誤嚥性肺炎が認められる場合には、肺炎の悪化防止のためにも抗菌薬の投与をおこないます。免疫抑制薬の投与量は、2週間を1つの目安として、徐々に減量していきます。

コルチコステロイドの長期投与は、とくに犬においては医原性クッシング症候群を誘発するため(皮膚や被毛の菲薄化、肝酵素値の上昇)、肺炎がなければ他の免疫抑制薬を併用します。

多発性筋炎の治療は免疫抑制療法が主体となりますが、誤嚥性肺炎の管理、巨大食道症に対する食事管理が重要な支持療法になります。したがって、積極的な強制食事ルートの確保(胃造瘻チューブの設置)や肺炎治療(ネブライジングなど)の併用も考慮します。

免疫介在性疾患のため、免疫抑制療法を根気強く続ける必要があります。その一方で、どのタイミングで投薬をやめてよいかの明確な判断基準がなく、さらには投薬をやめた後には再発する可能性があります。

予後

予後は薬剤の反応によってさまざまですが、比較的早期から免疫抑制療法が開始された場合には寛解、治癒が期待できるとされています。治療が遅れた場合には、重度の症例では呼吸不全、またときには、咀嚼筋の萎縮などによる嚥下や摂食の困難から栄養不良によって死亡します。巨大食道症を伴っている例では、誤嚥性肺炎により死亡することも多いとされています。また、多発性筋炎に心筋炎が合併することで、心不全を引き起こすこともあります。

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