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監修: 葛野 宗 獣医師
[記事公開日]  [最終更新日]
[ 目次 ]

犬の組織球肉腫とは

間質の樹状細胞由来の悪性腫瘍です。

組織球肉腫は、間質の樹状細胞由来の悪性腫瘍で、孤立性組織球肉腫および播種性組織球肉腫に細分されます。

犬の組織球肉腫の症状とは

孤立性組織球肉腫

孤立性組織球肉腫は、肺、皮膚、皮下、骨、関節、大脳などが原発巣であることが多いとされています。孤立性組織球肉腫は緩徐に進行することが多いとされています。

肺原発の組織球肉腫は、単発性あるいは多発性腫瘤性病変として大小さまざまなX線不透過性腫瘤を形成し、8割以上の症例で胸腔内リンパ節腫大を伴います。胸部X線検査のみでは、原発性肺癌や悪性腫瘍の多発性肺転移との鑑別が困難ですが、ウェルシュコーギーペンブローク、バーニーズマウンテンドッグ、フラットコーテッドレトリバーなどに好発すること、発生部位(組織球肉腫は右肺中葉抹消に発生する傾向が強い)、リンパ節腫脹の有無(組織球肉腫は胸骨あるいは気管気管支リンパ節腫大を伴うことが多い)、多臓器への播種(肝臓、骨髄、リンパ節など)、肺腫瘤の細胞診、などを組み合わせて鑑別診断をおこないます。

骨原発の組織球肉腫は、さまざまな程度の溶骨性病変が認められ、骨肉腫や形質細胞腫(多発性骨髄腫)との鑑別が重要となります。骨病変の診断には骨生検が必須ですが、領域リンパ節の転移や腹腔内臓器への播種から組織球肉腫を疑うこともあります。関節周囲に発生する組織球肉腫は、フラットコーテッドレトリバーに好発します。

播種性組織球肉腫

播種性組織球肉腫は、肝臓、脾臓、リンパ節、肺、皮膚、中枢神経、骨、骨髄などの臓器に多中心性に発生する傾向があります。播種性組織球肉腫は急速に進行することが多いとされています。

犬の組織球肉腫の原因とは

組織球肉腫は悪性腫瘍です。

組織球肉腫は、間質の樹状細胞由来の悪性腫瘍です。

犬の組織球肉腫の好発品種について

以下の犬種で好発がみられます。

ウェルシュコーギーペンブローク、ゴールデンレトリバー、バーニーズマウンテンドッグ、フラットコーテッドレトリバー、ミニチュアシュナウザー、ラブラドールレトリバー、ロットワイラーなどに好発し、通常は中高齢犬に発生しますが、3歳齢での発生も報告されています。性差は報告されていません。

ゴールデンレトリバー、バーニーズマウンテンドッグ、ロットワイラーなどの犬種では、過去に整形外科的疾患を患った部位、とくに前十字靭帯断裂の病歴を有する場合に組織球肉腫が高率に発生することが報告されています。

犬の組織球肉腫の予防方法について

早期発見、早期治療をおこないます。

組織球肉腫は予防が難しい疾患であると言えます。早期発見、早期治療が非常に重要になります。

犬の組織球肉腫の治療方法について

孤立性組織球肉腫

孤立性組織球肉腫は、転移率が高く、外科や放射線療法など局所療法単独の効果は緩和療法に近いと言えます。ただし、肺、皮膚、皮下、骨、関節などに発生した孤立性組織球肉腫において、局所療法後の顕微鏡的病変に対して抗がん剤を投与することで、比較的長期間生存できる可能性が示唆されています。

また、関節周囲に発生した孤立性組織球肉腫の症例の生存期間中央値が13か月であったのに対し、その他の部位に発生した孤立性組織球肉腫の症例の生存期間中央値は4.3か月と、関節周囲の孤立性組織球肉腫では積極的な治療によって長期生存が見こめる可能性が示唆されています。

播種性組織球肉腫

播種性組織球肉腫に対して抗がん剤を投与した際の奏効率は29~55%、奏効期間中央値は2.8~3.7か月、生存期間中央値は3.5~4.1か月であり、貧血、血小板減少症、低アルブミン血症、脾臓浸潤などが負の予後因子であったとされています。

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