猫のアルファリポ酸中毒とは
ヒト用サプリメントなどに含まれる成分に対する中毒です。
アルファリポ酸という成分は、ヒト用のサプリメントなどに含まれ、生体内でエネルギー生成過程の補酵素として働き、抗酸化作用もあるビタミン様物質です。
以前はチオクト酸という名前で医薬品に含まれていましたが、疲労回復、抗老化、痩身効果があるされ、健康食品やサプリメントとしても販売されるようになりました。
このアルファリポ酸は、人には適切に摂取することで良い効果が期待できますが、猫には重篤な中毒を起こす成分の一つです。
猫が摂取すると重大な急性肝障害や低血糖を起こし、命を落としてしまった事例もあります。
人や犬に比べ、猫では強く毒性を示すことがわかっており、人が摂取するサプリメント1錠でも、命の危険があります。
にもかかわらず、アルファリポ酸の臭いは猫を強く引き付けるようで、袋を噛みちぎって盗食してしまう事故が多く報告されています。
人用のサプリメントや医薬品は、猫が絶対に口にすることがないようにしっかりと管理する必要があります。
猫のアルファリポ酸中毒の症状とは
重篤な肝障害と低血糖を起こします。
アルファリポ酸中毒では、重篤な肝障害と低血糖を起こし、以下のような症状が見られます。
・涎を大量に垂らす
・吐き気
・元気消失
・フラフラしてうまく歩けない
・ぐったり横たわっている
・震えがみられる
・痙攣する
猫では摂取から症状が発現するまでの時間も短く、早ければ30分~数時間後には症状が現れます。
摂取量が多ければその分症状も重篤となり、命に関わります。
猫のアルファリポ酸中毒の原因とは
ヒト用サプリメントの盗食が原因です。
アルファリポ酸は、疲労回復効果や痩身効果がある成分として様々な健康食品に添加され、サプリメントとしても販売されている成分です。
これらを猫が誤って口にすると中毒が起こります。
アルファリポ酸の臭いは猫が非常に好む様で、普段はあまり悪戯しない猫ちゃんでも袋を噛みちぎってまで食べてしまうことがあるようです。
アルファリポ酸の最大耐量は、人や犬では体重1kgあたり約120mgであるのに対し、猫では30mg以下と報告されています。
ヒト用サプリメントは1錠に100mgのアルファリポ酸を含有しているものもあり、体重3kg前後の体の小さな猫では、たった1錠でも命の危険があるということになります。
猫のアルファリポ酸中毒の好発品種について
好発する品種はありません。
どんな猫でも起こる可能性があります。
猫のアルファリポ酸中毒の予防方法について
厳重に管理することが一番の予防策です。
飼い主さんがアルファリポ酸を含む食品やサプリメントを常用している場合、猫が絶対に接触できない場所に入れて管理しなくてはなりません。
猫が開けることができない戸棚の中にしまう、鍵付きのボックスに入れる、袋ではなく瓶に詰め替える、などといった工夫をして、留守中に猫ちゃんが悪戯して口にすることが絶対にないようにしましょう。
猫のアルファリポ酸中毒の治療方法について
誤食から間もなければ催吐処置や胃洗浄を行います。
アルファリポ酸を解毒する方法はありません。
そのため、できるだけ吸収される量を減らすことが重要です。
誤食から1時間後位までであれば、催吐処置を行い、胃の中に残っている成分を少しでも排出させます。
食べた量が多い場合は胃洗浄を行うこともあります。
上手く吐けた場合でも、大抵は錠剤やカプセルは少し崩壊して多少なりとも成分が吸収されてしまっているため、その後は排泄を促進しながら対症療法を行うことになります。
対症療法を行います。
アルファリポ酸は重篤な肝障害や低血糖を起こします。
催吐処置の後、あるいは既に症状が発現してしまっている場合には、成分の排泄を促し、対症療法をするしかありません。
治療としては主に点滴です。
低血糖が出ないかどうか、肝障害の程度がどの程度かを血液検査でモニタリングしながら、低血糖予防の点滴をしたり、肝保護剤を点滴します。
低血糖発作や重度の肝障害から痙攣などが見られる場合には、抗けいれん薬を使用します。
治療の効果が出るかどうかは、摂取量がどれくらいか、催吐処置が功を奏したかどうかなどによって左右されます。
中には治療の甲斐なく亡くなってしまう場合もありますので、猫には絶対にアルファリポ酸を食べさせてはいけません。