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監修: 葛野 宗 獣医師
[記事公開日]  [最終更新日]
[ 目次 ]

犬の皮膚の良性腫瘍とは

皮膚組織球腫、毛芽腫、脂腺腫などが挙げられます。

皮膚に発生する良性の腫瘍としましては、皮膚組織球腫、毛芽腫、脂腺腫などが挙げられます。

犬の皮膚の良性腫瘍の症状とは

皮膚組織球腫

皮膚組織球腫は通常、孤立性で、頭部、耳介、四肢にもっとも多く発生します。病変の増殖はきわめて速く(1~4週間)、しばしば発症後1~2ヶ月以内に免疫活性化に続発して自然に退縮します。

まれに多発性病変が認められる場合や所属リンパ節転移を伴う場合がありますが、これらは持続性および再発性皮膚組織球腫、またはランゲルハンス細胞組織球症と分類されます。ランゲルハンス細胞組織球症は、リンパ節だけでなく肺、心臓、脾臓、腎臓、膵臓などさまざまな臓器にも浸潤し、予後の悪い疾患とされています。

毛芽腫

毛芽腫は5歳以上の犬に発生します。病変は通常、単発性、硬結性、ドーム状、直径1~2cmであり、しばしば脱毛、潰瘍化、黒色性とされています。まれに非常に大型の腫瘤を形成する場合もあります。病変は一般的に頭部および頸部に発生し、とくに耳根部に好発します。

脂腺腫

脂腺腫は犬の皮膚腫瘍の6~21%を占め、罹患した犬の平均年齢は9~10歳とされています。組織学的所見に基づいて、皮脂腺過形成、皮脂腺上皮腫、皮脂腺腫、皮脂腺癌の4群に分けられます。

・皮脂腺過形成
高齢の犬でよく認める非腫瘍性病変で、犬の脂腺腫に分類される病変の23~53%を占めるとされています。病変は限局性もしくは多発性、黄白色、脱毛性、硬結性、半球状、乳頭状の結節であり、多くは直径5mm程度ですが、7cm程度の病変も存在します。後頭部、顔面、四肢、体幹、眼瞼に好発します。

・皮脂腺上皮腫
主に脂腺の基底細胞様支持細胞に分化を認める腫瘍です。犬ではかなり一般的で、脂腺腫の約37%を占めます。病変は限局性もしくは多発性、黄白色、硬結性、茸状、局面状の結節であり、直径0.5~5cm程度、しばしば潰瘍化します。眼瞼、頭部、耳介、背部に好発します。

・皮脂腺腫
脂腺または腺と導管の両者を由来とする良性腫瘍です。犬の皮膚および皮下腫瘍の約6%を占めます。病変は限局性もしくは多発性、黄白色、脱毛性、半球状、乳頭状の結節であり、多くは直径1cm以下です。東頭部に好発します。

・皮脂腺癌
犬ではまれな悪性腫瘍です。

犬の皮膚の良性腫瘍の原因とは

原因はわかっていません。

皮膚組織球腫、毛芽腫、脂腺腫の原因はわかっていません。

 

被毛の根元にある組織である毛包に関係したに良性腫瘍であり、皮膚腫瘍全体の9.34%でみられ4番目の発生率を持ちます。毛芽腫、毛包上皮腫、漏斗部角化性棘細胞腫が多くみられます。

 

毛包などにみられる皮膚の油脂の分泌腺に関係した良性腫瘍です。脂肪種、良性毛包腫瘍につぎ8.50%でみられ6番目の発生率を持ちます。皮脂腺腫、皮脂上皮腫が多くみられます。

犬の皮膚の良性腫瘍の好発品種について

以下の犬種で好発がみられます。

皮膚組織球腫は、しばしば3歳未満の若い犬で見られます。アメリカンコッカースパニエル、イングリッシュコッカースパニエル、グレートデーン、シェットランドシープドッグ、ブルテリア、ボクサー、ミニチュアダックスフンドなどが好発犬種として挙げられます。

毛芽腫は、ジャーマンシェパード、ペキニーズ、ヨークシャーテリアなどが好発犬種として挙げられます。

脂腺腫は、イングリッシュコッカースパニエル、ウェストハイランドホワイトテリア、シーズー、シベリアンハスキー、トイプードル、ミニチュアダックスフンドなどが好発犬種として挙げられます。

犬の皮膚の良性腫瘍の予防方法について

予防方法はありません。

予防方法はありません。早期発見し、治療をおこなうか検討する必要があります。

犬の皮膚の良性腫瘍の治療方法について

皮膚組織球腫

一般的な皮膚組織球腫の治療選択肢としましては、外科的切除、凍結切除、無治療での経過観察が挙げられます。大多数の症例で、3ヶ月以内に自然退縮が認められるため、無治療での経過観察が選択されることが多いです。しかしながら、潰瘍化、感染、掻痒などQOLの低下を伴っている場合は、自然退縮を待つことが困難であるため、外科的切除や凍結切除が適応となります。外科的切除はしばしば根治的であり、補助療法が必要となることはまれです。また、外科的切除が困難な部位にある皮膚組織球腫は、副腎皮質ホルモン剤の局所投与に良好な反応を示すことがあります。

毛芽腫

毛芽腫の治療としましては、外科的切除、凍結切除がおこなわれます。また、治療をおこなわずに経過観察する場合もあります。
毛芽腫の予後は良好です。

脂腺腫

脂腺腫の治療としましては、外科的切除、凍結切除、CO2レーザー手術、無治療での経過観察があります。一般的には切除後の再発はまれですが、皮脂腺上皮腫の場合、局所再発の可能性に注意する必要があります。
脂腺腫の予後は良好です。

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