ウィズぺティ
初めての方へ会員登録ログイン買い物かご
TOP > 犬の病気辞典 > 犬の破傷風
Youtube 病気辞典
Youtube 病気辞典

監修: 葛野 宗 獣医師
[記事公開日]  [最終更新日]
[ 目次 ]

犬の破傷風とは

持続的な筋緊張を引き起こす致死的な感染症です。

破傷風は、破傷風菌(Clostridium tetani)が産生する毒素である神経毒(tetanospasmin)によって、全身性あるいは限局性の持続的な筋緊張を引き起こす致死的な感染症です。

犬の破傷風の症状とは

持続的な筋緊張が見られます。

破傷風の臨床症状としましては、四肢の硬直、顔面筋の収縮による痙笑、眼球後引筋の収縮による眼球陥凹と瞬膜突出といった特徴的な症状の他、開口困難、嚥下困難などが挙げられます。

犬の破傷風に対する感受性はウマやヒトに比べると低いため、発症した場合でも臨床症状が比較的軽度であったり限局性であることも少なくありませんが、重症例では積極的な治療を行わなければ致死的とされています。

犬の破傷風の原因とは

破傷風菌(Clostridium tetani)が原因となります。

破傷風は、破傷風菌(Clostridium tetani)が産生する毒素である神経毒(tetanospasmin)によって引き起こされます。破傷風菌は芽胞を形成する嫌気性のグラム陽性杆菌であり、屋外で怪我をした場合に創傷部位から体内に侵入することが多いとされています。創傷部位から侵入した芽胞は発芽して栄養型として増殖し、神経毒を産生します。神経毒は脳幹と脊髄内の抑制性介在性ニューロンと結合し、抑制性神経伝達物質であるグリシンを阻害することにより、持続的な筋緊張を引き起こします。

破傷風菌は、わずかな傷から感染する可能性もあること、発症までの潜伏期間が数日~2か月弱と比較的長期間であることから、発症時にあ創傷部位が既に治癒しており、確認できない場合もあります。

破傷風の臨床症状は極微量の毒素によって引き起こされるため、免疫応答の誘導に至らず血清診断が有用ではない場合が多く、創傷部位からの菌の分離も難しいとされています。

犬の破傷風の好発品種について

全犬種で好発します。

破傷風は感染症であるため、どの犬種でも起こり得ます。

犬の破傷風の予防方法について

怪我をさせない、怪我をしているときは土壌に近付かせないことで予防します。

犬には、人ようのな破傷風のワクチンは存在しません。
破傷風の予防方法としましては、なるべく外で怪我をさせない、怪我をしてしまった場合は土壌に触れさせない、などの方法が挙げられます。ただし、破傷風菌はわずかな傷から感染する可能性もあるため、予防が難しい場合もあります。
また、滅菌が不十分な手術器具により感染し発症する場合もあるとされ、獣医師は注意する必要があります。手術器具は、高圧蒸気滅菌などの芽胞が死滅する滅菌方法を選択する必要があります。

犬の破傷風の治療方法について

抗毒素、抗生物質、鎮静薬などの投与をおこないます。

破傷風の治療の基本は、抗毒素による破傷風毒素のコントロール、毒素源である破傷風菌の除去、筋硬直に対する対症療法の3点となります。

抗毒素は中枢神経に結合していない毒素を中和します。犬の抗毒素は無いため、ウマの抗毒素血清またはヒト破傷風免疫グロブリン製剤を使用します。抗毒素血清を静脈内、筋肉内、あるいは皮下に投与します。抗毒素はアナフィラキシーショックを起こす可能性があるため、予防のためにグルココルチコイドおよび抗ヒスタミン薬を投与する場合もあります。

創傷部位に存在する栄養型の破傷風菌に対しては、殺菌作用を有する抗菌薬を投与します。外傷部位が壊死している場合や膿瘍が形成されている場合には、壊死組織の除去や掻爬、辺縁切除をおこないます。

破傷風毒素による影響は長期間継続するため、筋硬直を緩和し痙攣を制御するための対症療法も重要になります。フェノチアジン誘導体、バルビツール、ベンゾジアゼピン誘導体などの鎮静薬が有効とされています。また、破傷風になると接触や音、光などの刺激に敏感になり、これらの刺激により筋硬直が悪化するため、暗く、刺激のなるべく少ない静かな環境で安静にします。処置による刺激も最小限となるように、毎日同じ時間に実施することが望ましいとされています。

予後

予後は治療開始時の重症度によって異なります。迅速かつ適切な治療が行われれば、治癒する症例も少ないとされています。しかしながら、進行が急速な場合や治療開始時に四肢が硬直して横臥状態で動けない場合には、呼吸不全により死亡する可能性が高いとされています。
診断後すぐに積極的治療を開始することによって回復に向かう症例では、1週間以内に回復傾向が認められるようになり、4週間程度で回復するとされていますが、治療開始から完全な回復までに約3か月要する場合もあります。

ナンバーサプリのウィズメディカ
ページ先頭へ SSL グローバルサインのサイトシール