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監修: 葛野 宗 獣医師
[記事公開日]  [最終更新日]
[ 目次 ]

犬の尋常性天疱瘡とは

自己抗体がデスモソームの細胞間接着を障害する自己免疫性皮膚疾患です。

天疱瘡とは、自己抗体がデスモソームの細胞間接着を障害する自己免疫性皮膚疾患です。犬で報告されている天疱瘡には、尋常性天疱瘡と落葉状天疱瘡があります。

犬の尋常性天疱瘡の症状とは

皮膚や口腔粘膜に症状が認められます。

尋常性天疱瘡では、皮膚や口腔粘膜に水疱や糜爛が認められ、とくに口腔粘膜の糜爛は痛みを伴い、採食、飲水に支障を来すことから、一般状態が悪くなる傾向があります。

診断には、特徴的な臨床症状を認める症例に対して、皮膚感染症、とくに膿痂疹を皮膚糸状菌症の除外をおこない、その他の内科疾患も除外する必要があります。そのうえで天疱瘡を疑う場合には、水疱を遺して得たサンプルから細胞診をおこなうが、この際には好中球の浸潤を認めるものの細菌塊は認めず、好中球による細菌の貪食が認められない。また、細胞間接着を失い、円型となった角化細胞である棘融解細胞を認めるが、この細胞は他の皮膚病変においても出現するので確定診断にはなりません。このため、最終的には皮膚生検による病理組織学的検査が必要になります。

犬の尋常性天疱瘡の原因とは

自己免疫性疾患です。

天疱瘡では、自己抗体がデスモソームの細胞間接着を障害します。

尋常性天疱瘡においては、デスモグレイン3(Dsg3)に対する自己抗体が血清中に存在することが報告されています。

犬の尋常性天疱瘡の好発品種について

以下の犬種で好発がみられます。

尋常性天疱瘡の好発品種としましては、秋田犬、チャウチャウ、ドーベルマン、ニューファンドランド、ミニチュアダックスフンドなどが挙げられます。

犬の尋常性天疱瘡の予防方法について

早期発見、早期治療をおこないます。

尋常性天疱瘡は予防が難しい疾患であるため、早期発見、早期治療が重要となります。

犬の尋常性天疱瘡の治療方法について

免疫抑制療法をおこないます。

治療薬の第1選択となるのはグルココルチコイドで、プレドニゾロンを使用すことが多いとされています。免疫抑制量で投薬を開始しますが、治療に対する反応によってはさらに投与量を増やすこともあります。多くの症例では、この治療により2週間程度で皮膚病変の改善が認められます。症状の改善が認められれば、1週間ごとに投与量を減少させていき、1~2か月かけて病変をコントロールできる最低用量まで減量をおこないます。

多飲多尿はミネラルコルチコイド作用による副作用ですが、これを低く抑えるためにメチルプレドニゾロンを使用する場合もあります。重度の症例においては、プレドニゾロンコハク酸エステルナトリウムやデキサメタゾンを用いる場合があります。これらの薬剤を高用量で使用する際には、消化器への副作用を軽減するため、粘膜保護薬などを併用することが推奨されています。

報告によりますと、グルココルチコイドのみによる治療で症例の35~38%がコントロール可能であるとされています。ただし、グルココルチコイドの長期にわたる投与によって免疫抑制状態を持続させる場合には、膿皮症をはじめとする様々な感染症に注意が必要です。また、医原性クッシング症候群を発症するリスクもかなり高いため、なるべく少ない投与量での維持が望ましいとされています。

グルココルチコイド単独による治療が困難な場合には、他の免疫抑制薬を組み合わせて治療をおこないます。とくに尋常性天疱瘡の場合は、しばしば急性で重篤な症状を呈することから、他の免疫抑制薬を組み合わせた積極的な治療が必要になることが多いとされています。

落葉状天疱瘡に対する抗菌薬の使用については議論が分かれていますが、尋常性天疱瘡においては抗菌薬の併用が必須となります。ブドウ球菌属の二次感染を防ぐために、セファレキシンの投与をおこなう場合が多いですが、薬剤耐性菌の感染を疑う場合には細菌培養、薬剤感受性試験を実施し、適切な抗菌薬を選択する必要があります。

予後

尋常性天疱瘡の予後は悪く、1年後の生存率は25%とされています。

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