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執筆獣医師:齋藤厚子先生
[記事公開日]  [最終更新日]
[ 目次 ]

猫の巨大結腸症とは

結腸が拡張して排便困難になる病気です。

巨大結腸症とは、慢性的な便秘によって、結腸が大きく拡張した状態になってしまう病気です。

巨大結腸症になってしまうと腸管自体が伸びて拡張してしまうため、便を運ぼうとする蠕動運動も弱くなり、排便しようと猫自身が力んでも便が大きすぎて排便できず、嘔吐、食欲不振、脱水などを起こしてしまいます。

早めに対処してあげないと、高齢猫や心臓病を抱える猫では命を脅かすことにもなりかねません。

猫の巨大結腸症の症状とは

便秘と排便困難が見られます。

巨大結腸症では以下のような症状を示します。
・慢性的な便秘
・何度もトイレに行く
・トイレで排便姿勢をとるが便が出ない
・嘔吐
・食欲不振
・毛艶が悪くなる
・腹囲膨満
・腹痛(うずくまって動けない)
・流涎
・脱水
・下痢

巨大結腸症では水分を吸収する大腸(結腸)に便が停滞してしまうため、便秘が長引けば長引くほど、便の水分が吸収されて硬くなり、排便をより困難にしてしまいます。

便秘といえど、重度になると腹痛や吐き気を伴い、時には致命的になることもあります。
特に高齢の猫や、心臓疾患を持つ猫では、何度も力むことによって呼吸が苦しくなったり、倒れたりすることもあります。

何度も繰り返し力むうちに、硬くなった便の隙間から、小腸から流れてきたばかりの下痢状の便が少しずつ出ることがありますが、これを見て便秘が解消したと勘違いしてはいけません。

多くの場合、便塊が骨盤を通れないほどの大きさになってしまうため、自力での排便は不可能です。
異変に気づいたら、できるだけ早く病院で治療してもらいましょう。

猫の巨大結腸症の原因とは

骨盤や腸自体の異常によって起こります。

巨大結腸症は便秘が続いた結果引き起こされる病態のことを言います。そのため、便秘を引き起こすあらゆる病気が原因となり得ます。

巨大結腸症の原因には
・骨盤の変形
・腸の神経の損傷
・食べ物
・腫瘍や炎症による腸の狭窄
・先天性尾椎脊髄異常
などがあります。

交通事故などで骨盤を骨折したことがある猫では、骨盤がきれいに整復されないまま変形して癒合してしまうことがあります。
それによって骨盤腔が狭くなってしまうと、便の通り道が狭くなってしまい、大きく硬くなった便は通過できません。
通過できない便を先頭に便秘が進行し、結腸に便が詰まった状態になってしまいます。

また、骨盤骨折に伴って大腸に分布する神経に損傷を起こすと、腸の蠕動運動が正常に起こらなくなり、便が停滞しやすくなってしまいます。

食べ物に原因がある場合もあります。
食物繊維の少ない食事は、便が硬くなりやすく慢性的な便秘を誘発します。

大腸にできた腫瘍や炎症による後遺症で腸が狭窄している場合も、硬い便が通れず、便秘を引き起こしてしまいます。

このような原因で慢性的に便秘状態が続くと、結腸が次第に拡張し、巨大結腸となってしまいます。

先天性に骨盤の形に異常がある場合や、神経の異常がある場合にも巨大結腸になりやすくなります。
マンクス種の猫では、先天的に尾椎の脊髄に問題を抱えて生まれてしまうことが多く、そこから腸に伸びる神経の働きが十分でないために巨大結腸になりやすいとされています。

このほか、原因がよくわからない特発性のものも多くみられます。

猫の巨大結腸症の好発品種について

全猫種で好発します。

マンクス種の猫で先天的な異常からの発生が多いとされていますが、どんな猫にでも起こる病気です。

猫の巨大結腸症の予防方法について

食事管理と適度な運動で予防しましょう。

慢性的な便秘を起こさないために、食事管理と適度な運動、充分な水分補給が重要です。

猫は本来肉食動物ですが、適度な柔らかさの便の形成と腸の蠕動運動には、繊維質と水分を適度に摂取することが大切です。
だからといって、食物繊維をとるために野菜を食べさせる必要はありません。
総合栄養食の中には、適度に食物繊維が配合されています。
飼い猫が便秘がちであれば、便秘になりやすい子のための処方食などが販売されていますので、それらを上手に使って便秘を予防しましょう。

また、体を動かすことによって腸の蠕動運動も刺激され、スムーズな排便につながります。

骨盤のケガは受傷時に整復することが重要です。

骨盤骨折などのケガをした際には、できるだけ手術できれいに整復してもらいましょう。
一度変形して癒合してしまうと、整復はより困難になります。

排便チェックを習慣にしましょう。

健康な猫では、毎日1~2回排便するのが普通です。
トイレ掃除の際に排便状況を簡単にチェックし、便が出ていないときにすぐに気付いてあげられるようにしましょう。

猫の巨大結腸症の治療方法について

浣腸で便を出します。

巨大結腸症で硬い便が大量に溜まってしまうと、自力での排便は難しくなってしまいます。
まずは病院で温湯や潤滑剤を浣腸してもらい、便を柔らかくして、溜まっている便を出してもらいましょう。

浣腸は時には強い吐き気を伴い、体力を消耗します。
特に甲状腺の病気や心臓の病気を抱えている猫、高齢の猫では、排便に伴う血圧の変化で体調が急変することがあるので、排便が終わるまでは注意深く様子を観察しなくてはなりません。
浣腸前に体の状態をよく見てもらい、点滴などを併用しながら行う必要がありますので、必ず病院で処置してもらいましょう。

うまく排便できれば、嘔吐や食欲不振は解消し、徐々に元気を取り戻します。
しかし、大きく拡張した結腸には、すぐにまた便がたまってしまうので、再発予防のための内科治療を始めます。

内科治療で便秘対策を行います。

内科治療では、腸の蠕動運動を正常に保つお薬や、便を柔らかく滑りやすくする潤滑剤、定期的に排便刺激を与える緩下剤などを併用し、できるだけ硬い便がたまらないような腸内環境づくりをします。

食事変更も効果的です。

食事を高繊維食に変更するのも良いですが、繊維が増えると便量が増えて大きくなりやすいので、慎重に選ぶ必要があります。
繊維の中でも可溶性繊維を含むものを与えると、水分を保持して適度な柔らかさの便が出やすくなります。

このような内科療法をしても便秘になってしまう場合は、定期的に浣腸をして便を出してあげなければなりません。
しかし、浣腸は体力を消耗し、便をかき出す際に腸粘膜を傷つけてしまう可能性もあります。

根本的な治療は外科手術です。

手術に耐えられる状態であれば、手術によって拡張してしまった結腸を切除する治療も選択できます。

手術では水分吸収の役割を持つ結腸を大きく切除するので、術後しばらくは便が下痢状になります。
しかし、数か月すると、小腸の一部が代償的に水分を吸収するようになってくるので、徐々に便の状態は改善します。

骨盤が狭窄している場合には、骨盤を矯正する手術も同時に必要になります。

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