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監修: 葛野 宗 獣医師
[記事公開日]  [最終更新日]
[ 目次 ]

犬の卵巣腫瘍とは

犬の卵巣に発生する腫瘍で、さまざまな種類があります。

現在、犬と猫では卵巣腫瘍は発生頻度は高くありません。卵巣腫瘍は、卵巣に発生する腫瘍ですが、避妊出術が広く普及しているため犬の卵巣腫瘍はまれになってきました。卵巣腫瘍の多くは中高齢で発生しますが、胚細胞性腫瘍は若齢犬に多いとされています。無症状で進行することが多いとされています。

犬の卵巣腫瘍の症状とは

さまざまな症状がみられます。

卵巣腫瘍の臨床症状は非特異的で、多くは臨床症状を伴わずに進行するため、触診で腹部に腫瘤が触知されたり、腹部膨満によって気づくこともあります。腹部膨満になることで、食欲不振、呼吸促迫などの臨床症状がみられる場合もあります。
顆粒膜細胞腫は、性ホルモンを分泌する機能性腫瘍である場合があり、エストロジェン(卵胞ホルモン)によって外陰部の腫大や持続性発情、脱毛、汎白血球減少症がみられることがあります。また、プロジェステロン(黄体ホルモン)の過剰分泌により濾胞性子宮内膜過形成や子宮蓄膿症が生じることもあります。

血液検査で特異的な所見はなく、腫瘍が大きい場合には腹部X線検査で検出できます。腹部超音波検査やCT検査は診断に有用であり、卵巣腫瘍の他に腹腔内臓器への転移、腹水の有無を確認できます。卵巣の経皮的針生検は腫瘍播種のリスクがあるため推奨されませんが、腹水は貯留している場合には、腹水の細胞診を実施し評価することが可能です。

犬の卵巣腫瘍の原因とは

卵巣腫瘍の発生原因は不明です。

卵巣腫瘍の発生の原因は不明ですが、避妊手術を受けていない雌犬でみられます。

犬の卵巣腫瘍は上皮系腫瘍、胚細胞性腫瘍、性索間質性腫瘍、間葉系腫瘍に分類されますが、上皮系腫瘍と性索間質性腫瘍がほとんどを占めます。上皮系腫瘍は全体の40~50%であり、良性腫瘍より悪性腫瘍の発生が多いとされています。卵巣腺癌の48%で転移が認められ、腹腔内リンパ節、大網、肝臓などへの転移が報告されています。腫瘍の腹膜播種による腹水貯留が見られることもあります。性索間質性腫瘍の中では顆粒膜細胞腫が一般的であり、卵巣腫瘍全体の半数を占めます。顆粒膜細胞腫の転移率は約20%であり、転移部位は腰下リンパ節、膵臓、肺など、腹膜播種が生じることもあります。胚細胞性腫瘍には未分化胚細胞腫や奇形腫が含まれます。間葉系腫瘍はまれであり、血管肉腫や血管腫、平滑筋腫、横紋筋肉腫などが報告されています。

犬の卵巣腫瘍の好発品種について

全犬種で好発します。

卵巣腫瘍は避妊手術を受けていない雌犬であればどの犬種でも起こり得ます。卵巣腫瘍の多くは中高齢で発生しますが、胚細胞性腫瘍は若齢犬に多いとされています。

犬の卵巣腫瘍の予防方法について

避妊手術により予防します。

避妊手術(卵巣子宮摘出術、卵巣摘出術)は卵巣を完全に切除する手術ですので、避妊手術をうけることで卵巣腫瘍を予防することが可能です。

犬の卵巣腫瘍の治療方法について

卵巣子宮摘出術をおこないます。

転移の徴候が認められない場合には、卵巣子宮摘出術が適応となります。開腹時には腹膜や大網、横隔膜、他の臓器を注意深く観察し、異常がある場合には生検をおこないます。腹膜播種を防ぐために、組織を丁寧に扱う必要があります。
卵巣腫瘍への化学療法や放射線療法の有用性については明らかになっていませんが、転移により胸水や腹水の貯留が認められる場合には、白金化合物(シスプラチンなど)の体腔内投与により生存期間を延長させる可能性があると報告されています。

予後

腫瘍が限局しており、完全切除が可能であれば予後は良好と言えます。転移は認められる症例での予後は悪いとされています。

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