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執筆獣医師:齋藤厚子先生
[記事公開日]  [最終更新日]
[ 目次 ]

猫の骨折とは

外力によって骨の連続性が失われた状態です。

骨折は骨に強い外力がかかることによって完全に、または部分的に連続性を失った状態を指します。

猫の骨折は主に交通事故や高所からの落下によっておこりますが、稀に骨にできた腫瘍によって病的に骨折が起こったり、重度の歯周病によって骨が感染性に融解して骨折する場合もあります。

猫はギプスをしても安静にすることができないため、外傷性の骨折で骨の変位がある場合には、外科的に修復して固定する必要があります。

一方骨の腫瘍による骨折は治癒することはなく、強い疼痛により生活の質を著しく低下させるため、四肢骨の場合は断脚を余儀なくされます。

治療期間は骨折のタイプや発生年齢にもよりますが、骨が癒合するまでは激しい運動や高所からのジャンプなどは制限する必要があります。

猫の骨折の症状とは

強い疼痛に伴う症状がみられます。

骨折が起こると、非常に強い痛みが発生し、骨折部の周囲は内出血や炎症によって腫れ、触れるとさらに強い痛みが生じます。
猫は元気・食欲がなくなり、動くことを嫌がってじっとしているようになります

その他の症状は骨折部位によって様々です。

四肢の骨に起こった骨折では患肢を着かなくなり、場合によっては明らかな変形や、皮膚を貫通して骨が露出しているのが確認できる場合もあります。

骨盤骨折や背骨の骨折では起立できないことが多く、背骨がずれて脊髄を圧迫している場合には四肢や内臓(膀胱など)の麻痺が起こり、排尿や排便が自力でできなくなることがあります。
また頚椎の骨折によって上方の脊髄が圧迫されると、呼吸中枢が抑制されて呼吸停止し、命を落としてしまいます。

肋骨の多発骨折などでも呼吸に伴い強い痛みが生じ、そのため呼吸困難となることもあり、注意が必要です。

顎の骨折では口の開閉ができなくなることがあります。
そのため、涎が垂れ流しになり、飲水や摂食が困難になってしまいます。

いずれの場合も骨折部位をレントゲンで確認し、できるだけ早く治療を行うことが必要です。

猫の骨折の原因とは

多くは外傷性におこります。

猫の骨折の多くは交通事故か高所からの転落によるものです。
室内飼育が主流になった今では昔ほど交通事故は多くはありませんが、逆に高層マンションからの転落事故が増えています。

ヒトでは即死するような高さであっても、体重の軽い猫では一命をとりとめることがありますが、四肢の骨折などは免れません。

病的骨折が起こる場合があります。

骨の腫瘍や、重度の歯周病によって顎骨が菲薄化している場合、転んだ程度の衝撃で骨折が起こることがあります。

猫の骨折の好発品種について

好発する品種はありません。

好発品種はありません。
どんな猫でも起こる可能性があります。

猫の骨折の予防方法について

室内飼育で事故を予防します。

交通事故の予防のためには、やはり室内飼育の徹底が効果的です。

また窓からの転落を予防するためには、ベランダには猫を出さない、すべての窓に網戸を設置する、極力窓を開放しないといったことに気を付ける必要があります。

歯周病は早目に治療しましょう。

歯周病は近年、犬猫でもその危険性が大きく取り上げられている疾患の一つです。
できれば日ごろからデンタルケアを習慣づけ、歯周病が疑われる場合には放置せず、積極的に治療を行いましょう。

猫の骨折の治療方法について

手術で整復します。

外傷性の骨折は、多くの場合手術で整復します。
手術せずに放置すると変形したまま癒合してしまい、歩行などの運動に障害が残ることがあります。

方法は骨折した場所や骨折のパターンなどによって変わりますが、プレート法や髄内ピン法、創外固定法などがあります。

・プレート法 骨の表面に金属のプレートをあててスクリューで数か所留める方法
・髄内ピン法 骨の中に髄内ピンという金属の棒を入れて固定する方法
・創外固定法 ある程度大きさのある骨に金属の棒を皮膚の外から差し込み、形を整復した後、体の外で固定する方法

プレート法や髄内ピン法は比較的長さのある骨の単純骨折の整復で行われます。
創外固定法は、骨が砕けて断片化しプレートなどでは固定できない多発骨折(複雑骨折)などの時に行われる方法です。
骨が癒合するまでの間は感染などに気をつけなければなりませんが、様々なパターンの骨折に対応できます。

手術をした後は足を着いて歩くことができるようになりますが、骨が癒合するまでは激しい運動や高所からのジャンプは控え、安静に過ごす必要があります。

病的骨折の場合にはそれぞれに対応した治療が必要です。

骨肉腫や、骨に転移性の腫瘍ができて病的骨折が起こってしまった場合、その部分は正常な骨組織が少ないため、治癒することはありません。
四肢で起こった病的骨折は痛みの管理のために断脚術を選択することを余儀なくされます。

歯周病が原因で起こる下顎骨の骨折もまた、感染によって骨組織が融解しているため、そのままでは治癒しません。
感染源となっている歯を抜歯し、感染が起こっている骨組織を取り除いた後、プレートなどで固定します。

ナンバーサプリのウィズメディカ
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