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監修: 葛野 宗 獣医師
[記事公開日]  [最終更新日]
[ 目次 ]

犬の耳道の腫瘍とは

耳道にできる腫瘍には耳垢腺癌などがあげられます。

耳垢腺は外耳道粘膜に存在するアポクリン腺の一種で、耳垢腺および皮脂腺の分泌物が落屑した角質化表面細胞と混合して耳垢が形成されます。
犬の耳道の腫瘍は、外耳炎との関連性が示唆されており、外耳道の慢性的な炎症が過形成性あるいは異形成性の変化を起こし、腫瘍化します。

犬の耳道の腫瘍の症状とは

外耳炎や中耳炎が続発します。

耳道の腫瘍により、耳道が狭窄または閉塞することで、耳道粘膜の分泌物が排泄しづらくなり、外耳炎・中耳炎が悪化する要因になります。
犬の耳道の腫瘍全体のうち悪性腫瘍は60%であり、なかでも耳垢腺癌がもっとも多く、鑑別診断として扁平上皮癌、皮脂腺癌、未分化癌、肥満細胞腫などが挙げられます。通常は片側性ですが、両側性の発生も報告されています。
犬の耳垢腺癌は転移率が低く、診断時のリンパ節転移はまれで、肺転移は10%程度ですが、浸潤性が高く、約半数の症例で耳道軟骨への浸潤が見られます。腫瘍の外耳道への浸潤は、二次性の外耳炎を引き起こし、水平耳道の炎症が重度の場合には開口時に顎関節の疼痛や顔面神経麻痺などが生じ、中耳に浸潤するとホルネル症候群や前庭障害などの神経症状が見られることがあります。

犬の耳道の腫瘍の原因とは

外耳炎との関連性が示唆されています。

犬の耳道の腫瘍は、外耳炎との関連性が示唆されており、外耳道の慢性的な炎症が過形成性あるいは異形成性の変化を起こし、腫瘍化するとされています。

外耳炎による耳道粘膜の肥厚が軽度の場合には、耳鏡検査にて腫瘤を確認することができ、鎮静下で腫瘤の組織生検も可能ですが、耳道の狭窄が重度の場合には、診断と治療を目的として外耳道を切除しなければならないこともあります。
腫瘤の正確な位置や浸潤度や転移の評価にはCT検査が有用であり、切除範囲に応じた外科手術を実施します。

犬の耳道の腫瘍の好発品種について

以下の犬種で好発がみられます。

アメリカンコッカースパニエル、イングリッシュコッカースパニエルは好発犬種とされています。耳垢腺癌の約16%、耳垢腺腫の約39%をコッカースパニエルが占めるとされています。

犬の耳道の腫瘍の予防方法について

外耳炎の早期発見、早期治療をおこないます。

犬の耳道の腫瘍は、外耳炎との関連性が示唆されているため、外耳炎の早期発見、早期治療をおこなうことが、耳道の腫瘍の予防につながる可能性があります。

犬の耳道の腫瘍の治療方法について

外科手術

犬の耳垢腺癌は転移率が低く、局所コントロールが重要となるため、積極的な外科手術が治療の第1選択となります。耳珠付近に存在する小さな腫瘤の場合には、垂直耳道切除や外側耳道切除を実施する場合もありますが、このような緩和的手術は再発率が高いため、適応となるのはまれで推奨されていません。一方で、全耳道切除および鼓室胞骨切り術は、外耳道の深部や鼓室内、あるいは耳道周囲の軟骨を越えるような浸潤が無い場合には再発率が低く、根治が期待できる術式のため、犬の耳垢腺癌に対してもっとも頻繁に実施されています。

放射線療法

耳垢腺癌は放射線感受性が高い腫瘍であるため、放射線療法は犬の耳垢腺癌に対する局所治療として有効ですが、積極的な外科手術により良好な局所コントロールが得られやすいため、第1選択となるケースは少ないと言えます。犬の耳垢腺癌に対する放射線療法は、手術によりマージンが確保できず残存病変が存在している症例や、耳介軟骨や鼓室胞外への浸潤が重度であるため切除不能な症例に対して用いられます。

予後

犬の耳垢腺癌は、臨床的な挙動から局所コントロールが可能であれば、良好な予後が期待できます。

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