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Youtube 病気辞典
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監修: 葛野 宗 獣医師
[記事公開日]  [最終更新日]
[ 目次 ]

犬の筋ジストロフィーとは

筋肉が進行性に変性する疾患です。

筋ジストロフィーとは、骨格筋と心筋が進行性に変性し、筋力が低下する遺伝性の疾患です。ほとんどの場合、症状が現れるのは雄犬であり、雌犬は遺伝子のキャリアーとなります。

犬の筋ジストロフィーの症状とは

筋力低下による様々な症状が見られます。

筋ジストロフィーの臨床症状としましては、運動をしてもすぐに疲れてしまう、肘の外転、うさぎ跳びや大げさな歩き方などが見られます。体幹、四肢、側頭筋の萎縮も起こり、生後6か月までに筋力の低下が見られる場合が多いとされています。舌の筋肉が肥大したように見えることもあります。重症例では、嚥下困難、嚥下困難に起因する誤嚥性肺炎を引き起こす場合があります。

また、筋ジストロフィーは心筋の筋力低下を引き起こす場合があり、心不全を引き起こすことがあります。咳が見られる、呼吸が速くなる、疲れやすくなる、などの他に肺水腫、腹水などが見られる場合があります。

犬の筋ジストロフィーの原因とは

遺伝性の疾患です。

筋ジストロフィーは遺伝性の疾患ですが、多くはX染色体に原因遺伝子があるとされています(X染色体性筋ジストロフィー)。X染色体に異常があるため、多くの場合は症状が現れるのは雄犬であり、雌犬は遺伝子のキャリアーとなります。

筋ジストロフィーの診断は、好発犬種の若い雄犬に典型的な臨床症状が見られた時にこの疾患を疑います。血液検査では筋酵素値(クレアチンキナーゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、乳酸脱水素酵素など)の上昇が見られます。また、筋生検や筋電図検査などがおこなわれる場合もあります。

 

 

犬の筋ジストロフィーの好発品種について

以下の犬種で好発がみられます。

ゴールデンレトリバーに特に多く見られます。他の犬種としましては、アイリッシュテリア、ウェルシュコーギーペンブローク、サモエド、日本スピッツ、ミニチュアシュナウザー、ラブラドールレトリバー、ロットワイラーなどに見られます。

 

 

犬の筋ジストロフィーの予防方法について

発症の予防方法はありません。

筋ジストロフィーは遺伝性疾患であり、発症を予防することはできません。しかし、罹患動物の繁殖を制限することで筋ジストロフィー罹患犬の増加をコントロールすることができます。犬の遺伝性疾患は罹患犬の同系交配を避けることで罹患する犬の増加を抑制することが可能となり、継続して遺伝性疾患の繁殖制限をすることが全ての遺伝性疾患の根本治療につながると言えます。
犬の筋ジストロフィーは、末期まで歩行可能である場合が多く、繁殖可能な年齢まで生存します。筋ジストロフィー罹患犬を繁殖させないように注意が必要です。

犬の筋ジストロフィーの治療方法について

有効な治療方法はありません。

現在、筋ジストロフィーに対する有効な治療方法はありません。歩行不可能な場合は、呼吸筋力を注意深く観察する必要があります。横臥状態の場合は、体位変換を2~4時間ごとにおこないます。褥瘡が見られるような場合はその治療をおこないます。

また、海外では筋ジストロフィーの犬の遺伝子治療に成功したという報告があります。今後、筋ジストロフィーの治療ができるようになる可能性があります。

誤嚥性肺炎を引き起こしてしまった場合は、酸素療法、輸液療法、抗菌薬の投与が治療の中心となります。誤嚥性肺炎の犬の予後は、一般的に支持療法のみで良好であることが多いとされていますが、筋ジストロフィーが基礎疾患にある場合は再発を繰り返す可能性があるため注意が必要です。

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