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監修: 葛野 宗 獣医師
[記事公開日]  [最終更新日]
[ 目次 ]

犬の小脳障害とは

小脳に問題が発生している状態を言います。

小脳とは、脳全体の10%程度を占めていますが、大脳よりも多くの神経細胞があるとされています。小脳は、運動や平衡感覚などの調節を司どっています。

犬の小脳障害の症状とは

様々な運動失調がみられます。

小脳に障害がある場合、意識や知覚には異常を引き起こすことはなく、運動機能や平衡感覚に異常をきたします。

小脳性運動失調のうち測定過大がよくみられます。動作における頻度、範囲、強度の異常を測定障害と呼びますが、測定障害が過大なものを測定過大と呼び、犬の場合はほとんどが測定過大とされています。歩行時に肢を高く挙げる、歩幅が延長する、などが挙げられます。
捻転斜頸、旋回運動などの前庭障害が見られることがあります。
その他に随意運動をしようとしたときに悪化する振戦である企図振戦、左右へ規則正しく振れる振り子眼振、頭部を後ろに反らせて弓なりの状態になる後弓反張、開脚姿勢などがみられます。
後弓反張がみられる場合はてんかん発作と間違われてしまうことがあるため注意が必要です。

小脳梗塞の場合、急性の発症であり、数時間~数日(24~72時間)の悪化傾向を示し、以降は非進行性で改善傾向がみられます。

小脳低形成の場合、誕生後、歩行を開始する頃から症状が認識されるようになります。低形成の程度により、様々な非進行性の小脳症状を呈します。水頭症などの他の脳奇形を伴うことがあります。

犬の小脳障害の原因とは

外傷

交通事故や転落などの外傷によって引き起こされることがあります。

小脳梗塞

小脳梗塞は、中高齢の小型犬にみられることがあります。小脳に血液を供給する前小脳動脈あるいは後小脳動脈の梗塞により虚血性の障害と二次的な浮腫を起こしている状態です。
梗塞の原因としましては、心原性の血栓、高血圧、凝固系の異常、甲状腺機能低下症、糖尿病、副腎皮質機能亢進症、高コレステロール血症、糸球体腎炎、敗血症などが挙げられますが、梗塞の原因検索のためのACTH刺激試験、甲状腺ホルモン測定、血圧測定、凝固系検査などをおこなっても原因が判明しないことも多いとされています。

小脳低形成

小脳低形成は、小脳が正常な大きさまで発育できていない状態です。小脳の発生過程における障害のタイミングにより、一部あるいは全体の欠損、全組織の分化の不完全、一部の組織の低形成などさまざまな奇形が発生します。小脳全体の低形成は、原発性あるいは二次性に起こり、パルボウイルスの子宮内感染の関与が疑われています。

犬の小脳障害の好発品種について

以下の犬種で好発がみられます。

先天性の小脳障害は、アイリッシュセッター、サモエド、ジャックラッセルテリア、チワワ、ビーグル、ラブラドールレトリバーなどでみられることがあります。

犬の小脳障害の予防方法について

原因によって予防できる可能性があります。

外傷による小脳障害は、交通事故や落下などの大きな事故を防ぐことが予防につながります。

小脳梗塞は心原性の血栓、高血圧、凝固系の異常、甲状腺機能低下症、糖尿病、副腎皮質機能亢進症、高コレステロール血症、糸球体腎炎、敗血症などが原因として挙げられます。これらの基礎疾患のコントロールが発症の予防につながる可能性があります。

先天的な小脳低形成は予防することは難しいと言えますが、パルボウイルスの子宮内感染が疑われているため、妊婦犬はワクチン接種および多くの犬が集まる場所に行かないことが発症の予防につながる可能性があります。

犬の小脳障害の治療方法について

特別な治療方法はありません。

小脳障害そのものに対する治療方法はありません。重度の運動失調や起立不能の場合は、転倒による外傷を防ぐ適切な看護が必要です。横臥状態の場合は、体位変換を2~4時間ごとにおこないます。褥瘡が見られるような場合はその治療をおこないます。

振戦、眼振、前庭障害などから嘔吐や食欲不振が見られる場合は、それらの対症療法をおこない、脱水が認められる場合は、補液をおこないます。

先天的な小脳障害の場合は、日常生活に不自由なく飼育可能~安楽死が必要まで、予後は様々です。

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