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監修: 葛野 宗 獣医師
[記事公開日]  [最終更新日]
[ 目次 ]

犬の前庭疾患とは

前庭に問題が生じている状態です。

前庭が何らかの原因で障害され、平衡感覚に異常がみられる疾患です。高齢犬でしばしば遭遇する疾患です。

犬の前庭疾患の症状とは

旋回運動や捻転斜頸などがみられます。

前庭疾患の発症は、甚急性あるいは急性であり、症状の程度は軽度~重度まで幅があります。症状としましては、末梢前庭症状、すなわち緩徐相が病変側に向かう水平眼振あるいは回転眼振、病変側への捻転斜頸、前庭性の運動失調、病変側への旋回運動あるいは軸転(=横転:横臥状態でごろごろと横方向に転がる)が認められ、同時に嘔吐や流涎が認められる場合もあります。意識は清明であり、四肢の姿勢反応の異常や顔面麻痺、ホルネル症候群などその他の神経症状は認められません。

前庭疾患は、甚急性あるいは急性発症の末梢前庭症状を呈し、その他の神経症状が認められず、発症後は無処置で徐々に改善するという特徴と合致することを確認することで診断します。さらに同様の症状を呈する可能性のある脳幹部の脳炎、内耳炎、中耳炎、前庭系に浸潤する腫瘍、外傷などその他の疾患を除外することで診断します。神経学的検査で抹消前庭症状であることを確認します。身体検査で鼓膜の状態を確認し、鼓室包のX線検査もあわせておこない、内耳炎・中耳炎の可能性をできるだけ否定しておく必要があります。

特発性前庭疾患は、MRI検査で異常を検出できません。

犬の前庭疾患の原因とは

前庭神経が関連しています。

前庭疾患は高齢犬でしばしば遭遇する疾患ですが、病態については前庭神経炎の可能性が示唆されていますが不明とされています。

犬の前庭疾患の好発品種について

全犬種で好発します。

どの犬種でも起こり得ますが、高齢犬でしばしば遭遇します。

犬の前庭疾患の予防方法について

前庭疾患の予防方法はありません。

前庭疾患の予防方法はありません。発症した場合、転倒による外傷を防ぐ適切な看護をおこないましょう。

犬の前庭疾患の治療方法について

特に効果的な治療方法はありません。

前庭疾患そのものに対する治療方法はありません。急性あるいは甚急性発症の末梢前庭症状という症状に合致することを確認できたら無処置で経過観察し、改善傾向をたどることを確認します。多くの場合が、48~72時間程度で改善傾向が認められます。まず病的眼振が消失し、歩様の改善、捻転斜頸の改善が認められ、3~4週間で症状が消失します。ただし、回復にかかる期間には個体差があり、眼振の消失に2週間かかる場合もあります。

ステロイド剤の投与がおこなわれることがありますが、その有効性を示す報告はありません。MRI検査を用いた除外診断がなされていない場合は、安易なステロイド剤の投与は慎むべきであるとされています。腫瘍や脳炎などが原因であった場合は診断の遅れや病態の進行につながり、感染性の内耳炎・中耳炎であった場合は病態の悪化につながる可能性があります。また、症状の改善傾向が認められない場合はただちにMRI検査を受けるべきです。

高齢犬での発症が多いこともあり、食欲不振や嘔吐などがみられる場合には全身状態の悪化につながりやすいため、それらの対症療法をおこないます。嘔吐に対してはマロピタントクエン酸を投与します。自力で食器から飲食が出来るようになるまでは介助します。脱水がみられる場合は補液が必要ですが、旋回運動を呈することが多いため静脈点滴はラインが絡まりやいため実施しにくく、皮下補液が実施されます。

予後

前庭疾患の予後は良好とされています。眼振は比較的早期に治まることが多いとされていますが、捻転斜頸や軽度の運動失調は残存することが多いとされています。

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