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Youtube 病気辞典
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監修: 葛野 宗 獣医師
[記事公開日]  [最終更新日]
[ 目次 ]

犬の膝蓋骨脱臼とは

小型犬で多い先天性疾患です。

ひざのお皿である膝蓋骨が正しい位置からずれてしまう疾患です。獣医学的用語でパテラと呼ばれることがあります。後肢を挙上する、触ると嫌がる、後肢を引きずって歩くなどの症状がみられます。

膝蓋骨脱臼の多くは先天性疾患であり、犬で最も多い(広義での)先天性疾患の一つといえます。足の関節の構造が繊細な小型犬でよくみられます。

治療やケアをせずに放置すると病状が進んでしまう可能性があり、前十字靭帯断裂や、それに伴う半月板損傷、関節にダメージが蓄積することで老化性に発症する骨関節炎などの疾患を続発する恐れがあります。

犬の膝蓋骨脱臼の症状とは

後肢の痛み、歩行困難がみられます。

後肢を地面につけたがらず、挙上する。後肢を引きずって歩く。後肢を触られると痛がるなどの症状がみられます。

痛みが急に現れ、しばらくすると普通にする。足を痛そうにしている期間と、そうでない期間がある。ずっと足を痛めている。などのバリエーションに富んだ症状がみられますが、これは膝蓋骨の安定性が個々で異なり、それに従って様々なタイミングで膝蓋骨脱臼が起きたり、整復したりを繰り返すためです。

犬の膝蓋骨脱臼の原因とは

膝蓋骨周辺の組織の形成不全が原因のひとつです。

膝蓋骨の形状、膝蓋骨の収まる骨のくぼみの形状、膝蓋骨を支える靭帯の位置や強度などの要因が組み合わさり、骨の脱臼が引き起こされます。または高所からの落下、交通事故などの衝撃により脱臼が起こる場合もあります。

特に小型犬では、これらの要因に対して先天的に高いリスクがあり、成長とともに膝のゆるみが膝蓋骨脱臼として発症する、またすでに発症していた膝蓋骨脱臼が悪化することがあります。ただし、子犬は身体が未発達であり、ある程度のひざのゆるみ自体は正常な状態で持ちえるものです。この正常な膝のゆるみは成長とともに収まっていきます。ひざのゆるみの程度が気になるときには、かかりつけの獣医師に相談するといいでしょう。

犬の膝蓋骨脱臼の好発品種について

以下の犬種で好発がみられます。

チワワ、トイ・プードル、カニヘン・ダックスフント、ミニチュア・ダックスフント、ポメラニアン、ヨークシャー・テリア、シー・ズー、マルチーズなどのよく飼われている小型犬でよくみられる疾患です。

犬の膝蓋骨脱臼の予防方法について

肢に負担がかからないようにケアします。

膝蓋骨に衝撃が加わるまたは、脱臼を何度も繰り返すことで膝蓋骨脱臼はさらに起こりやすくなり、病状も悪化していきます。

室内がフローリング張りなどの滑りやすい床材だと、運動した際に足を滑らせて膝蓋骨にダメージを与えることがあります。クッション性の高いマットを敷くことでトラブルを減らすことができます。

子犬や好奇心旺盛な性格の犬では、新しいマットをかじって食べてしまう可能性があり、誤食・誤嚥による消化管閉塞の原因になります。設置後しばらくはマットのある部屋で一人にさせない工夫が必要です。

犬の肉球の間には毛が生えており、床で滑る原因の一つです。動物病院やトリマーなどで毛を切ってもらうことができます。肉球の間には複雑な形状をした皮のひだがあり、自己流でカットして怪我をさせてしまうことがあります。基本的には専門家に任せるべきですが、自宅で行う場合、十二分に気をつけてください。

肥満も膝に負担をかける1つの要因となります。膝蓋骨脱臼があると診断された場合は、肥満にならないように食事のコントロールをしてあげましょう。

犬の膝蓋骨脱臼の治療方法について

症状が重い場合、外科的な整復をおこないます。

症状が見られない場合、積極的な治療はせず、日常生活でのケアのみを行い経過観察を行います。膝蓋骨に負担がかからないような生活を行い、これ以上の悪化を防ぐ目的があります。

症状が軽度の場合は鎮痛剤を使い、安静にします。関節に良いサプリメントやドッグフードを使うこともあります。

強い痛みにより後肢を挙上し続けたり、十字靭帯断裂などが見られる場合、外科的な治療を行います。

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