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監修: 葛野 宗 獣医師
[記事公開日]  [最終更新日]
[ 目次 ]

犬の腺腫・腺癌とは

腺腫・腺癌ともに腺細胞の腫瘍のことを言います。

腺腫・腺癌ともに腺細胞が腫瘍化したものになります。腺細胞の腫瘍の中で、良性の腫瘍のことを腺腫と呼び、悪性の腫瘍のことを腺癌と呼びます。

犬で代表的なものに肛門周囲腺腫・腺癌、下垂体腺腫・腺癌、副腎腺腫・腺癌などが挙げられます。

犬の腺腫・腺癌の症状とは

肛門周囲腺腫・腺癌

肛門周囲腺腫は、肛門周囲の毛が生えていない部位に発生しやすく、単発性の場合と多発性の場合があります。長期間無治療で経過すれば数㎝まで成長し、腫瘍の表面が潰瘍化することもあります。

肛門周囲腺癌は、腺腫と比較して成長が早く、潰瘍も発生しやすいとされています。また、単発性に発生することが多いとされています。

下垂体腺腫・腺癌

犬の下垂体腺腫における一般的な臨床症状は、下垂体に由来する内分泌疾患である下垂体依存性副腎皮質機能亢進症、下垂体巨大腺腫による正常の圧迫に伴う神経症状が挙げられます。

機能性下垂体腫瘍の場合、多飲多尿、腹部膨満、脱毛、皮膚の菲薄化、頻呼吸などの副腎皮質機能亢進症に関連した臨床症状が認められます。

下垂体巨大腺腫に伴う神経症状としましては、意識障害(沈鬱、傾眠、昏迷など)、行動異常(徘徊、認知機能障害)、運動失調、旋回運動、頭位回旋、てんかん発作、視覚障害などが見られることがあります。

副腎腺腫・腺癌

副腎腺腫・腺癌に特徴的な病態はそれほど多くなく、副腎皮質機能亢進症の診断から腫瘍を発見するこもあります。

多飲多尿、皮膚の菲薄化などの所見があると、高コルチゾール血症によって周術期管理や創傷治癒に影響があるため注意が必要です。また、肺血栓は副腎皮質機能亢進症症例の約17%で認められるとされています。また、易感染性によって膀胱炎などが生じている可能性もあります。

犬の腺腫・腺癌の原因とは

肛門周囲腺腫・腺癌

肛門周囲腺は、男性ホルモンであるテストステロンによる刺激により良性の腫瘍化をきたすため、肛門周囲腺腫は去勢手術されていない高齢の雄で最も多く認められます。雌での発生はまれではありますが、避妊手術を受けた個体や、副腎からのテストステロン分泌が起こっている個体で認められます。

肛門周囲腺癌の発生に関しては性ホルモンとの関連はなく、どの性別でも認められますが、その発生頻度は肛門周囲腺腫と比較して低いです。

下垂体腺腫・腺癌

犬の下垂体腫瘍の多くは、腺性下垂体から発生する(前葉70%、後葉30%)ことから下垂体腺腫と呼ばれています。

下垂体腺腫は機能的な分類としてホルモンを過剰分泌する機能性下垂体腺腫と、ホルモンを分泌しない非機能性下垂体腺腫に大別されます。

下垂体腫瘍は、組織学的に下垂体腺腫(80%)、浸潤性下垂体腺腫(15%)、下垂体腺癌(5%)に分類されます。
また、腫瘍の大きさによっても分類され、直径が10mm以下の腫瘍を下垂体微小腺腫、直径が10mmを超える腫瘍を下垂体巨大腺腫と呼びます。

副腎腺腫・腺癌

副腎に発生する腫瘍の中では、副腎腺腫・腺癌は遭遇機会は多いものであると言えます。副腎腫瘍は比較的高齢の犬に多く認められ、発症年齢中央値は約11歳です。

犬の腺腫・腺癌の好発品種について

全犬種で好発します。

どの犬種でも起こり得ますが、肛門周囲腺腫は未去勢の高齢雄に見られることが多いです。

犬の腺腫・腺癌の予防方法について

早期発見、早期治療が重要になります。

肛門周囲腺は、男性ホルモンであるテストステロンによる刺激により良性の腫瘍化をきたすとされています。そのため、肛門周囲腺腫に関しては去勢手術を受けることで予防につながると言えます。

その他の腺腫・腺癌に関しては、早期発見、早期治療が重要になります。

犬の腺腫・腺癌の治療方法について

肛門周囲腺腫・腺癌

肛門周囲腺腫の治療の第1選択は去勢手術になります。多くの場合で去勢手術のみで腫瘍の退縮が認められます。雌やすでに去勢された雄の場合には、腫瘍本体の切除をおこないます。

肛門周囲腺癌では、早期ステージの場合は完全な外科的切除を実施した場合に良好な予後が得られることが報告されています。

下垂体腺腫・腺癌

機能性下垂体腺腫に由来する内分泌疾患に関しては、それぞれの疾患に対する治療(副腎皮質ホルモン合成阻害薬)を実施します。また、機能性下垂体微小腺腫に対しては、経蝶形骨アプローチによる外科的切除をおこなう場合があります。

下垂体巨大腺腫に対する治療としましては、放射線療法、外科療法、対症療法が挙げられます。

副腎腺腫・腺癌

基本的は治療は、腫瘍化した副腎の摘出手術になります。しかしながら、高齢で無徴候の症例では、比較的高い周術期死亡リスクを伴うことから、この病態の重症度に加え、基礎疾患や併発疾患を見極めた上で検討する必要があります。

機能性副腎腫瘍によって副腎皮質機能亢進症が認められる場合は、外科療法を実施するか否かにかかわらず、トリロスタンを用いた内科治療を実施します。

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