ウィズぺティ
初めての方へ会員登録ログイン買い物かご
TOP > 犬の病気辞典 > 犬の平滑筋腫・平滑筋肉腫
Youtube 病気辞典
Youtube 病気辞典

監修: 葛野 宗 獣医師
[記事公開日]  [最終更新日]
[ 目次 ]

犬の平滑筋腫・平滑筋肉腫とは

平滑筋に発生する腫瘍のことです。

平滑筋とは、胃や腸などの消化管、子宮、血管、気管などの管状や袋状の器官官の壁にある筋肉のことを言います。 消化器官の蠕動運動や血管の運動は平滑筋が収縮及び弛緩して行われており、 自分の意思では動かせない不随意筋と呼ばれています。
平滑筋に発生する良性の腫瘍のことを平滑筋腫と呼び、平滑筋に発生する悪性の腫瘍のことを平滑筋肉腫と呼びます。
犬に発生する平滑筋の腫瘍としましては、子宮腫瘍、胃腸管平滑筋肉腫などが挙げられます。

犬の平滑筋腫・平滑筋肉腫の症状とは

子宮腫瘍

犬の子宮腫瘍は偶発的にみつかることが多いですが、腫瘍が大きくなった場合には、排尿困難や便秘、しぶり、食欲不振、嘔吐、腹部膨満、体重減少などが生じます。腹腔内に存在して巨大化しない限りは全身への悪影響は少ないとされていますが、まれに骨盤腔内で大きくなり、不動化した場合には、深刻な排便、排尿障害を引き起こします。
犬の子宮腫瘍は比較的まれな疾患と言われており、中高齢での発生が多いとされています。多くの場合は、間葉系腫瘍であり、その中の約90%が平滑筋腫、残りの約10%が平滑筋肉腫であると報告されています。

胃腸管平滑筋肉腫

胃腸管平滑筋肉腫の臨床症状は、発生部位や潰瘍、閉塞、穿孔などの有無や程度により異なります。非特異的な臨床症状としましては、体重減少、食欲不振、嘔吐、下痢などが挙げられます。筋層内に限局する場合には消化管出血の徴候が無いことが多いですが、粘膜面への浸潤、潰瘍化により消化管出血が見られる場合には貧血、胃では吐血、小腸ではメレナ、大腸では血便につながります。

犬の平滑筋腫・平滑筋肉腫の原因とは

子宮腫瘍

子宮腫瘍がまれと言われる要因として、避妊手術を受けている犬が多いということが挙げられますが、避妊手術後の残存子宮からの平滑筋腫の発生が見られることもあります。
平滑筋腫は徐々に増大し、周囲組織への浸潤や転移は生じないとされています。平滑筋肉腫の増殖速度は一般的には平滑筋腫と比較して速いとされていますが、遠隔転移の発現はステージの早期には認められないことが多く、末期もしくは高悪性度の症例で、癌性腹膜炎、腹腔内臓器および肺などへの転移が起こります。

胃腸管平滑筋肉腫

犬の胃腸管における腫瘍の発生はまれであり、平滑筋肉腫は造血器腫瘍や腺癌に次いで発生するとされています。一般的には高齢(平均11~12歳)で発生要因は不明とされています。
平滑筋より発生するこの腫瘍の多くは限局性で境界明瞭な腫瘤を形成し、表面は滑らかな形状を呈することが多いとされています。胃では潰瘍を伴うことがあり、しばしば噴門や幽門に見つかります。腸管では小腸が多く盲腸に見られることもあります。

犬の平滑筋腫・平滑筋肉腫の好発品種について

以下の犬種で好発がみられます。

ジャーマンシェパードは、多発性子宮平滑筋腫、両側性の腎臓の嚢胞状腺癌、結節性皮膚線維症により特徴づけられる症候群が報告されており、子宮腫瘍に関連している遺伝子変異が存在すると考えられています。

腸の平滑筋肉腫は雄で発声が多いとされる報告もありますが、好発品種は無いとされています。

犬の平滑筋腫・平滑筋肉腫の予防方法について

子宮腫瘍

子宮にできる腫瘍ですので、避妊手術(卵巣子宮摘出術)を受けることで予防することができます。ただし、子宮の切除に際しては、子宮頸部を含めて切除することが平滑筋腫の発生を予防する上で大切とされています。
避妊手術を受けていない場合は、偶発的に見つかることが多い疾患であるため、早期発見は難しいかもしれませんが、腹部膨満などの気になる症状が見られたらすぐに動物病院を受診するようにしましょう。

胃腸管平滑筋肉腫

予防方法は無いため、早期発見・早期治療が重要になります。

犬の平滑筋腫・平滑筋肉腫の治療方法について

子宮腫瘍

子宮腫瘍に対しては、腫瘍の外科的摘出にて治療します。卵巣子宮摘出術が適応となります。外科手術時には、腹腔内を注意深く観察し、異常がある場合には生検をおこないます。
化学療法の有用性については明らかになっていませんが、組織学的悪性度が高く、脈管浸潤がある場合は、補助療法として、シスプラチンまたはカルボプラチンの全身もしくは腹腔内投与、ドキソルビシンの全身投与等を実施することもあります。
原発巣が巨大で手術により完全摘出が困難な場合には、まず放射線治療を実施して、腫瘍の縮小を試みたのちに摘出手術を実施することもあります。

胃腸管平滑筋肉腫

胃腸管平滑筋肉腫に対しては、切除可能であれば外科的切除が第1選択となります。腫瘤の浸潤範囲、リンパ節浸潤、遠隔転移の有無について超音波検査、内視鏡検査、CT検査などで出来る限り精査し、外科的切除の可否を検討する必要があります。

外科的切除が可能な場合はある程度の長期生存が期待できます。1年生存率は80%とされています。

ナンバーサプリのウィズメディカ
ページ先頭へ SSL グローバルサインのサイトシール