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監修: 葛野 宗 獣医師
[記事公開日]  [最終更新日]
[ 目次 ]

犬の特発性免疫介在性多発性関節炎とは

多発性関節炎のうち説明ができないものを特発性免疫介在性多発性関節炎と呼びます。

非感染性びらん性の多発性関節炎のうち、既知の多発性関節炎では説明できないものを特発性免疫介在性多発性関節炎と呼びます。特発性免疫介在性多発性関節炎は、犬に発生する多発性関節炎の中でもっともよく見られます。

犬の特発性免疫介在性多発性関節炎の症状とは

全身症状および関節症状が見られます。

発熱、食欲不振、活動性の低下などの非特異的な臨床症状に加えて、跛行や負重の忌避行動を示します。とくに移動性の跛行は、多発性関節炎に特徴的です。しかしながら、関節症状は必ずしも認められず、約3割では発熱、活動性の低下などの全身症状しか示しません。これらの臨床症状は、疾患特異性が低いため、全身的なスクリーニングが欠かせません。

全血球検査では、白血球数の高値とともに、慢性炎症に伴う非再生性貧血が認められることがありますが、これは治療に伴って改善します。血液化学検査ではCRPの高値が認められます。CRPの値は、治療反応のモニタリングにも役立つため測定する必要があります。

組織学的に重度の滑膜炎が見られる一方、関節軟骨や骨にはほとんど病変が認められません。この点が関節リウマチとの違いであると言えます。

 

 

犬の特発性免疫介在性多発性関節炎の原因とは

免疫複合体が増加することで多発性関節炎が誘導されます。

特発性免疫介在性多発性関節炎の犬では、血液や滑液で免疫複合体が増加しており、これが滑膜や腎糸球体に沈着します。滑膜に付着した免疫複合体は、補体の他、好中球やマクロファージを活性化させます。活性化したマクロファージはIL-8やCCL2を分泌し、さらなる炎症を誘導して組織障害を引き起こします。また、腎糸球体に沈着した免疫複合体によって、70~80%の症例に軽~中等度の蛋白尿が認められ、約40%の犬では死後に糸球体腎炎が確認されます。特発性免疫介在性多発性関節炎において、免疫複合体ができる原因や抗原はまだわかっていません。

犬の特発性免疫介在性多発性関節炎の好発品種について

以下の犬種で好発がみられます。

あらゆる年齢の犬に発症し、性差は無いとされています。ウェルシュコーギーペンブローク、ミニチュアダックスフンドによく見られ、遺伝的素因の存在が疑われています。

犬の特発性免疫介在性多発性関節炎の予防方法について

発症の予防方法はありません。

特発性免疫介在性多発性関節炎は原因がわかっていないため、発症の予防は難しいと言えます。関節症状が見られる場合は、運動を制限して受診するようにしましょう。

犬の特発性免疫介在性多発性関節炎の治療方法について

免疫抑制療法

特発性免疫介在性多発性関節炎と診断したら、免疫抑制療法により治療を開始します。治療反応性は、臨床症状とCRPの値で確認します。ただし、特発性免疫介在性多発性関節炎は基本的には進行して関節構造が破壊される疾患ではありません。そのため、難治性の場合はCRPの基準値に固執せず、QOLを維持できるような内科的管理が重要であると言えます。

免疫抑制療法がうまくいかない場合には、他の疾患の可能性を考えることも重要です。整形外科疾患を見逃していないか、基礎疾患が無いか、他の免疫介在性疾患が無いか、滑液中の病原体を見逃していないか、などあらゆる方面から検討しなくてはなりません。

予後

約14%の症例は、1年以内に休薬できる一方で、継続的な治療が必要な症例も少なくありません。とくにプレドニゾロンによる治療を開始しても。CRPの値が下がりきらない症例と、初診時に貧血を認める症例では、休薬が難しいことが多いです。特発性免疫介在性多発性関節炎の犬の生命予後に関するデータはありませんが、使用する薬剤の副作用をうまくコントロールすることがもっとも重要であると言えます。

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