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監修: 葛野 宗 獣医師
[記事公開日]  [最終更新日]
[ 目次 ]

犬の線維軟骨塞栓症とは

脊髄組織に虚血・梗塞を引き起こす疾患です。

線維軟骨塞栓症とは、椎間板由来の線維軟骨の一部が脊髄の血管内に流入することで引き起こされる脊髄組織の虚血・梗塞であり、急性に発症する非進行性の麻痺が見られます。
確定診断が難しい疾患であるため、国内での線維軟骨塞栓症の報告は多くはありません。

犬の線維軟骨塞栓症の症状とは

急性の歩行異常や麻痺が見られます。

線維軟骨塞栓症は非進行性の疾患であるため、麻痺の状態が時間の経過とともに進行することは無いとされています。数時間前までは元気に動けていたのに、突然歩けなくなるなどの場合があります。脊髄のどの部位で線維軟骨塞栓症が発生するかによって麻痺や歩行異常が出る部位が異なり、頸髄の線維軟骨塞栓症を発症した場合、急性の四肢麻痺が特徴となります。

椎間板ヘルニアに類似した臨床症状を示すため注意が必要です。線維軟骨塞栓症は、急性発症し、左右のいずれかに偏った非進行性の麻痺が見られますが、発症後は症状は安定するため死亡例は少ないとされています。また、症状が改善する場合もあり、病理解剖による確定診断にまで至る症例は多くないとされています。

犬の線維軟骨塞栓症の原因とは

脊髄の血管に線維軟骨が流入することで引き起こされます。

線維軟骨塞栓症の発症の原因は解明されていませんが、椎間板由来の線維軟骨の一部が脊髄の血管内に流入することで引き起こされます。

線維軟骨塞栓症の診断法としましては、神経学的検査、画像診断、脳脊髄液検査などが行われます。神経学的検査は、病変の所在を示すことができ、予後についての判断材料になり得るとされています。深部痛覚の有無が予後に大きく影響するとされています。

線維軟骨塞栓症に対する画像診断としましては、脊髄造影検査がおこなわれることがあります。脊髄の腫脹などの異常所見が発見されることがありますが、病変の検出の割合は、40~60%程度とされています。脳脊髄液検査では、細胞数の増加、パンディー反応陽性などの異常所見が認められる場合がありますが、異常所見が認められない場合もあります。

確定診断は病理解剖によって行うため、生前には行えません。

犬の線維軟骨塞栓症の好発品種について

以下の犬種で好発がみられます。

線維軟骨塞栓症の好発犬種としましては、グレートデーン、ゴールデンレトリバー、ラブラドールレトリバー、シェットランドシープドッグ、ジャーマンシェパード、ミニチュアシュナウザーなどが挙げられます。また、好発年齢は3~6歳とされています。

犬の線維軟骨塞栓症の予防方法について

発症の予防方法はありません。

線維軟骨塞栓症は、椎間板ヘルニアなどの治療を要する疾患と類似した症状が認められます。突然の麻痺や歩行異常などの疑わしい症状がみられた場合は、早急に動物病院で診察を受ける必要があります。

犬の線維軟骨塞栓症の治療方法について

状態に応じたケアをおこないます。

手術をおこなう必要はありませんが、発症時のみ疼痛が認められることがあり、その際は消炎剤や鎮痛剤の投与をおこなうことがあります。脊髄が障害された範囲が小さい場合は、理学療法をおこなうことで多くの場合は2週間以内に徐々に運動機能の改善が見られます。梗塞が起こっている部位や重症度によっては、改善が見られるまで数か月かかる場合もあります。

歩行異常が認められる場合は、転倒による外傷を防ぐ適切な看護が必要です。横臥状態の場合は、体位変換を2~4時間ごとにおこないます。褥瘡が見られるような場合はその治療をおこないます。

自力排尿ができない場合は、排泄のケアを行うことが重要になります。膀胱には常時尿貯留が持続するため、膀胱炎を起こしやすくなります。必要に応じて圧迫排尿を行い、膀胱炎を起こしていたら抗菌薬の投与を行います。

予後

改善が認められる場合は、約70%程度が2週間以内に改善が認められるとされています。深部痛覚が低下している場合、発症から3週間以上経過していても改善が認められない場合、などは予後不良の可能性が考えられます。

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