犬の遺伝性好中球減少症とは
遺伝性疾患で、血液中の好中球が著しく減少する疾患です。
好中球とは、血液成分である白血球の中のひとつで、細菌など病原体が体内に侵入したときに、免疫システムとして、病原体を排除し体を守る非常に重要な役割を果たします。
遺伝性好中球減少症は、遺伝性の疾患で、生後早期に発症し、血液中の好中球が著しく減少します。
犬の遺伝性好中球減少症の症状とは
食欲不振、元気消失、易感染性、などの症状が見られます。
遺伝性好中球減少症が発症した子犬は、食欲が無い、元気が無い、遊びたがらない、同腹仔と比較して発育が遅い、などの症状が見られるようになります。その他には、発熱、歩行困難、下痢、などの症状が見られる場合もあります。
遺伝性好中球減少症の子犬は、頭蓋骨の横幅が狭く、縦に細長いという特徴を持つことが多いとされています。その他には、骨密度の低下などで骨折が起こったり、骨の内部である骨髄に炎症が生じる骨髄炎が起きたりする場合もあります。
そのため、体を触ったり、体に衝撃があったりすると、痛みでくんくん鳴き続けることもあります。
末梢血中の好中球の顕著な減少や骨髄における骨髄系細胞の過形成を特徴とします。好中球減少により致死的な感染症にかかりやすくなります。
多くの場合は、生後数週間から7カ月までには発症するとされています。そして、生後4カ月ほどまでに死亡、または安楽死が実施されることもあります。
犬の遺伝性好中球減少症の原因とは
劣性（潜性）遺伝によって発症するとされています。
遺伝性好中球減少症の原因となる遺伝子が常染色体上にあり、一対の遺伝子両方に変異があると発症します。このようば場合を劣性（潜性）遺伝と呼びます。
グレーコリー症候群とも呼ばれ、灰色の体毛のボーダーコリー犬が報告されています。罹患犬は好中球と呼ばれる免疫細胞がうまく機能せず（好中球は骨髄で産生されますが、骨髄に捕捉されてしまい血液中にうまく移行できません）、免疫力が著しく低下します。生後すぐより様々な感染症にかかりやすくなるため、
遺伝性好中球減少症では、11～13日周期で造血抑制がおこり、全系統の血球が減少します。その際に、最も寿命が短く、ライフサイクルの早い好中球の減少が顕著に確認されます。
犬の遺伝性好中球減少症の好発品種について
以下の犬種で好発がみられます。
- コリー
- ボーダーコリー
遺伝性好中球減少症は、ボーダーコリー、コリーで見られる疾患です。
犬の遺伝性好中球減少症の予防方法について
発症の予防方法はありません。
遺伝性好中球減少症の発症の予防方法はありません。しかし、罹患動物の繁殖を制限することで遺伝性好中球減少症罹患犬の増加をコントロールすることができます。犬の遺伝性疾患は罹患犬の同系交配を避けることで罹患する犬の増加を抑制することが可能となり、継続して遺伝性疾患の繁殖制限をすることが全ての遺伝性疾患の根本治療につながると言えます。
犬の遺伝性好中球減少症の治療方法について
根本的な治療方法はわかっていません。
現在、遺伝性好中球減少症の根本的な治療方法はありません。しかしながら、副腎皮質ホルモン剤や免疫抑制剤などの内服による抗炎症作用、免疫抑制作用などによる治療方法で効果が見られたというが報告あります。
遺伝性好中球減少症の多くの場合は、生後数週間から7カ月までには発症するとされています。一般的に予後は非常に悪いとされており、殆どの場合は生後4カ月ほどまでに死亡、または安楽死が実施されることもあります。中には4歳以上生存している症例もいます。
